VS108号室
えっと、ちょっと待て、状況を整理しよう。
俺は108号室にあいさつしに行って、女子高生の藤宮さんと夕飯食べて、おしゃべりして、眠くなって・・・そして今、全裸で拘束されている。ごめん。意味不明だわ。
「お目覚めはいかがかなー?鈴木君?」
「えっとー、藤宮さん?俺はこういうプレイの性癖はないんですけど・・・w?」
「あ?まだ寝ぼけてんの?テメーはもう終わりなんだよ。割り込みしてまで入居したってことはよっぽどの自信があったみたいだけど、私の隣だったのが運の尽きよ。」
もう、先ほどのように文末に♪が付くような口調ではない。今どきのJKはみんなこうなの?怖い。
てか、この子といい、さっきのデブ男といい何言ってんの?割り込み?訳が分からん。
「わざわざ、あいさつしに来るからどんな奴かと思って警戒してたけど、あっさりカレーに盛った睡眠薬で爆睡しちゃってくれて拍子抜けね。」
「え、す、睡眠薬!?んなもん盛ってたのかよ!?」
「男ってみんな単純よねー。ちょっと可愛い顔見せたらデレデレしちゃってwあなたの前に住んでた男はかなり慎重だったけど、私の可愛さの敵ではなかったわ!(ドヤァ…」
「俺の前に住んでた・・・?ってことは・・・?と、とにかく今はどうでもいい!おい、早く手錠外してくれよ!なんでこんなことするんだよ!」
「何でって・・・あなたまだ寝ぼけてるの?まぁいいわ。早く土下座して、『参りました。僕は変態で下心いっぱいのクズ野郎です』って言いなさい。」
「は?なんで俺がそんなことしないといけねーんだよ!」
「あっそう。そんな態度とるんだー。じゃあ、ちょっと痛い思いすることになるよー?クスクス」
そう言うと彼女は台所にあった包丁を俺の前でちらつかせ始める。やばい。この鬼畜JK、目がマジだ。
言うことを聞かないと何されるか分かったもんじゃない。とにかく今はこのわけのわからん状況を切り抜けるのが重要だ。
「わ、わかったから!なんでもするから!包丁だけはやめてくれ!言います!言いますから!参りました!僕は変態で下心いっぱいのクズ野郎です!!」
その時、部屋に無機質な機械音の女の声が響き渡る。
『___107号室の敗北が確認されました。今月の108号室の家賃は107号室の鈴木様が負担することが決定しました____』
ん?なんだこの声。いやその前に、俺が家賃を負担って・・・?
「ふぅー。終わった終わった~。楽勝だったわねー。あ、あと今のあなたの土下座シーン、こっそり撮影させてもらったからw大学でばら撒かれたくなかったら、毎月私の前で負け宣言してね♪」
「そ、そんな。こんな理不尽なことがあってたまるか!け、警察に通報してやる!」
「けいさつぅ~?ほんっとあなた何も知らないのね。通報できるもんならしてみなさい。それじゃ、私眠いから寝るね。来月もよろしくねー♪おやすみ~」
『バタン』
パンツ一丁&手錠状態の俺は、アパート廊下に立ち尽くす。足元には俺が来ていた服。
あの鬼畜JK、せめて手錠外してくれよ・・・。
寒い。今は何時だろうか。朝の3、4時といったところか。
これからどうしよう。どうやら俺はとんでもないアパートに引っ越してしまったようだ。
『ガチャ』
そのとき、106号室のドアが突然開く。
「だから言ったろ、気を付けろって・・・。まぁいい、とにかく入れ。菓子折りの礼だ。手錠外してやるよ。」
「デブお・・太田さんっ・・・!」
この時俺はデブ男が神に見えた。
その後、俺はここでのルールを知ることになる。