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時は戦国  作者: 田中 遼
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第十三話   光る稲妻


「……どうされました?」


雷助は老人を観察していた。彼の目が戸や、雷助の刀、さらに自分の武器との距離を見ているのが手をとるように分かった。


「あ……うむ……」


「逃げますか?それとも戦う?」


雷助がせせら笑った。老人はたじろいだ。


「何をそんなに恐れているのですか?俺たちがあなたのいんちきを見破ること?」


「……見える……わしには見えるのだ……!」


彼は立ち上がり、血走った目で叫んだ。


「うぬらがわしを殺すのが見える!!」


「ほう。因果応報という奴を受けるようだな」


「なんだと!?」


雷助は刀を取り、ゆっくりと立ち上がった。翁が足をもつれさせながら慌てて離れる。


「風丸の言っていた“インチキ”が何かは知らんが……」


雷助はしゃべりながら居合い術の構えをした。


「それ相応の行いがあるのだろう?」


老人は奇声を上げて飛びのき、左手を突き出した。


それが破裂して、目もくらむ様な光と、地が震えるような音を出す。


「フハハハハ!!!!」


翁が刀を取り出し、一気に雷助に襲い掛かった。



ギン!!!



が、受け止められる。


「な!?」


「生憎、こっちは火薬に慣れているんだ」


刀越しに雷助が笑う。


「……抜いたからには後戻りは出来ないな」


山神の目に恐怖が宿った。彼は渾身の力で雷助を押し返すと、家から飛び出した。


「……何なんだ??」


雷助は刀をいったん鞘に戻すと、ゆっくりその後を追った。



彼が外に出たとき。



「今じゃ!!!放て!!!」




バン!バン!ババン!!



銃声が鳴り響いた。




―――風丸たち



「今のは!?」


元が二人を振り返る。


風丸はあくまで冷静に言った。


「銃声、だな」


「雷助が!!!」


風丸は呟いた。


「危ないぞ……」


「そんなの分かってる!!助けに行くぞ!!」


「あぁ、銃を向けた奴らをな」


「あ???」


風丸は駆け出した。


“まずいな”




―――村



「馬鹿な!」


発射の瞬間、雷助が横に飛びのいた。それで弾は全て外れた。


「……惜しかったな。いい作戦だった」


太陽の光が、彼の刀に反射して一番近くにいた村人の目をくらます。


“……う……”ザシュ!


「ただ、相手を間違えた」


その村人は真横に雷助がいることと、自分のわき腹から血と腸が流れていることを不思議そうに眺めた。


その体がゆっくりと崩れ落ちる。


あまりにゆっくりで、現実感がなかった。


「……その翁の指示とはいえ、考えが足りなかったな」


雷助はすぐ横の村人を見た。彼は瞬間、はたと我に返った。恐怖がやってくる。


「く、来るなぁ!!」


村人は震えながらも火縄銃を持ち上げ、雷助の目の前に構えた。


しかし雷助は微塵も動揺しなかった。


それどころか目の前の銃口を覗き込んでせせら笑っている。


「……撃ってみろ」


村人は言われてはじめて、引き金を引いても弾が飛び出さないことに気がついた。


刀が振り上げられ、銃がはじきとばされた。


「残念だったな」


雷助は冷たく笑い、刀を突き出した。




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