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異界の果て  作者: 蒼花
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始まりの朝

 「ピピピッ」 「チィ」「チィ」


 眩しい光、  気だるい手足をなんとか動かし 携帯で時間を確認すれば 5時20分・・・


 「ピピー ピピー ピピピピ」 「ピピピピ」


 「はぁぁぁ~ また 10分前!」


 ここんとこ 毎日正確に5時20分に 起こされている。ツバメに・・・・   鳥の声で目覚めるってシチュエーションは、長閑な感じでいいんだけど、 こう毎日だとイラっとするものがある。


 「10分損した気が・・・」


 なんとか気を取り直して1階に降りていくと、首にタオルをかけ ランニングから帰ってきたところの母親と 鉢合わせする。


 「あれっ!今から? ん? 今日はちょっと早くない?」


 「あー ツバメ起こされた。 じゃ 行ってくる」


 毎朝20分走る。

 俺の日課だ。

 学校への通学時間を考えたら20分というのが今のところベストだ。 

 ちなみに母親は 10分弱だ。 年々短くなっている。


 ランニングから帰って来ると コーヒーの香りが立ち込めていて 二人で朝食をとる。


 「ねェ。 ツバメって 可愛いよねー」


 「うん。あー つぶらな瞳」


 「そういえば 颯ちゃん幼稚園の頃、 イワトビペンギン好きだったよね。 ふふっ! あの黄色い飾り毛?って言うんだっけ? 眉毛見たいで・・・

 ○○ワールド行ったとき ぬいぐるみ買うってゴネたよね。あの時まじで我が子が怪獣に見えたよ。」


 「そんな昔のことで文句言われても… で!! なんで買ってくれなかったわけ? ぬいぐるみ好きなくせに。」


 「えぇとー  あの時は、『閉園時間でございます。 御気をつけてお帰りください』って放送流れてたのよね、 すごい人だし・・・・

 麗花さん 疲れさせたくなくって車椅子借りてて、  園の係りの人が扉開けて待っててくれてて、そんでもって ぬいぐるみ買うから待っててって頼めなかったのよ。ごめんね~

 今ならおばさん力あるから あつかましーく頼めるのになー、ピッチピッチの十代だったからねー」


「そっか 麗花さんと一緒だったんだ。あれ?あのリスザルと写真撮った日?」


「そうそう」


 そう言って二人で ライティングビューローの上にある写真と薄い水色の兎のぬいぐるみを見る。

 麗花さんの優しい笑顔を思い出し チクリとした痛みを感じながら


「じゃ 行ってきます」







 この日が 始まり   そう 思う。


 確かに全てが変わったんだから。この日だ。


 俺  朝倉 そうにとっては。










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