企業を揺るがすネット戦争~その表裏~
城島電機…社員数20万を誇る国内有数のメガカンパニー、城島グループの一翼を担う社員数一万の企業である。そして俺…城田はそこの専務を任されている。
近い将来、社長になることを約束されている。
毎日、仕事に追われているが、そんな僕でも楽しみがある。
夏の暑い日にデパートの屋上で冷たいビールを飲むことではない。普通のサラリーマンならそう思うはずだが。
ビアガーデンというものであろうか。
私は人と酒を飲むことが嫌いだ。苦手なのである。
何を話せばいいのか分からなくて。
そんな僕がはまっていることは、荒らしである。
ご存知の通り、グループチャットを破壊する行為の事を指す。
俺はネット上で闇猫劉宮と名乗っている。
闇劉団を結成し、多くの団員を確保した。
しかし、グルチャ破壊が出来なくなるようにアップデートされた。暇というか落胆した。
そして闇劉団を解散しようとした。
しかし、そこであるグループに挑戦を挑まれた。
そこのグループの名は、豪龍帝会。
グループのボス、豪龍帝は大手企業に勤めていて社長に就任したということを聞いた。若者の多いネット社会で行動を起こすアダルト世代の鑑だと思いながら、脅威と見なしていた。
「豪龍帝…何するものぞ。」
【重要】豪龍帝会主催第三回ボーリング大会、強制参加。拒否する場合、闇劉団を併合する。三日後、猪狩県大東市沼田町三丁目の山越ボーリングで実施する。時間は9時より。絶対に来い。
「豪龍帝…なめやがって。」
すぐさま、参加することを宣言した。
明日は次期社長の三木公平とのカラオケ大会である。
早く寝よう。そう思ったのだ。
翌日、仕事の帰り、三木やその友人達とカラオケに行った。
「いやぁ、今日はありがとう。私のためにこのようなイベントを開いていただいて。」三木が言った。
「いえいえ。気にしないで下さいよ。次期社長就任おめでとうございます。」部下の一人で主催した広田が返答する。
「じゃあ、何か頼みますか?」
夕食は食べていないのだ。当然腹も減っている。皆、食事を注文した。カラオケ屋の食事は決して安くはない。すぐに一万を超えてしまう。けれども、キャバクラとかよりは高くはない。
「じゃあお姉ちゃん。オムライス一つ頼もうかな。」三木新社長が注文する。
「お姉ちゃんなんてそんな。私はもう60ですよ。オムライス一つかしこまりました。他には?」
皆、オムライスを注文していた。
「皆。ワシと同じものを注文しなくてもエエんですよ。先代がどうであれ、ワシはワシじゃ。」
先代は部下の意見を尊重せず、部下と自分が同じ考えでなければ厳しく叱責するそんな社長であった。当然のことながら社員のやる気は激減し、株価も下がり続け、百万年に一度の赤字が起こった。
南無三、「城島安牌」と呼ばれていた安全神話が崩壊したのだ。
銀行の信用も失いかけていた。
「赤字回復政権とレッテルを貼られたがよ、このチャンスものにしてみせる。皆、ワシについてきてくれ。」
「勿論です。社長。」室内が盛り上がった。
「よし。私のテーマ曲を歌うとしよう。では聞いてくれ。『与作』。」
数多くの人がカバーしているあの名曲である。
そうして三時間くらいが経ち、解散した。
明後日に迫る。豪龍帝会とのボーリング大会に備えて、次の日は一日ボーリング場で腕を磨いた。
絶対に負けられないゲームがそこにはある。
「豪龍帝…勝負だ!」
今日は土曜日…一日練習に打ち込める。
一生懸命練習して、家に帰った。
そして当日を迎えた。
闇劉団のメンバー四人を乗せて車を走らせた。
そしてボーリング会場に行った。
ハッ!私はビックリした。見知った方が居たのだ。
「闇劉団の皆さんですか?どうも豪龍帝会の豪龍帝です。宜しくお願いします。」
「どうも、豪龍帝さん。闇猫劉宮です。宜しくお願いします。」
とニンジャ○レイヤーのように挨拶した。
豪龍帝…三木新社長とは。どういう風の吹き回しだ。
「さて行きましょうか。闇劉団の皆さん。おい!お前ら行くぞ。」
「分かりました。兄貴。」
城島電機の三木新社長とは全く違うようにお見受けした。
彼はむしろ旧社長と同じような姿勢だと感じた。
「そしてすぐに勝負がはじまった。」
四人ずついる各陣営から二人づつ別れて試合をした。
中々の接戦が続いた。そうして2ラウンドやったが決着がつかなかった。そして引き分けとなった。
翌日、三木社長の記者会見があった。
「豪龍…いや、三木社長。そろそろ出立のお時間です。」
「闇猫…いや、城田。行きましょう。」
まさか荒らしグループの二人だとは思わなかったであろう。君達もグループを潰すのには気を付けたまえ。