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八章

八章


「バレット! 来たぞ! 俺だけじゃない、レジナもいる!」

「東愛ビル」は、廃墟となった病院だった。荒れ果てた病院のロビーに悠斗の声がひびく。

「どこだバレット! 美悠を返せ!」

 再度、悠斗が叫ぶと、すべての電灯がついた。

 そして、廊下の奥から人影があらわれる――バレットだった。

「よーう! また会ったな玖藤ちゃん! レジナも歓迎するぜ!」

 バレットはニヤニヤと笑いながら、悠斗達の元へ近づいてくる。

 手には、変わったライフルのような武器を持っている。

「バレット! 美悠はどこだ! 無事なんだろうな!」

 悠斗は警戒しながらも、バレットに美悠の無事をたずねた。

「妹ちゃんは賞品なんで無事でーす。上にいまーす。上なら安全だし。俺、優しくね?」

「――そうだな。おまえにしては、上出来だ」

「はっ! えらっそーに! ま、欲しかったら俺を倒して上に行けっつーことだ!」

 バレットがライフルを構えるのを見て、悠斗もニコラを抜いた。

「やっぱりおまえがやるんだ。レジナちゃーん? どうしたのかなー? あの日かなー?」

 バレットが、悠斗の後ろで控えているレジナを挑発するが、レジナは黙っている。

「ふーん――本気出すと、しばらく休まないといけないって、本当だったんだ」

 バレットがつまらなそうに言うと、悠斗とレジナに動揺が走った。

 やはり、バレットはレジナの力について知っている。

「ま、それなら二人一緒に来いよ。弱い君達にハンデな、ハンデ」

「そうか。なら、遠慮なくそのハンデをいただこう――行くぞ、悠斗!」

 レジナの掛け声に合わせて、悠斗が動いた。一直線にバレットを目指す。

「バレットォォォー!!」

 先程の戦いと同じようにバレットを攻撃するが、今回も当たりはしなかった。

「はいはい、遅い遅い――っと、今度はそっちか!」

 悠斗の斜め後ろからレジナがバレットを襲うが、かわされた。やはり力が落ちている。

 二人の間をくぐり抜けるようにして距離を取ったバレットが、悠斗にライフルを向けた。

「そいじゃ、こっちもとりあえず――バンバーン!」

 ライフルにしては妙な音が二発――バレットが持っていたのは、ライフルではなく連射式のショットガンだった。ショットガンの名前はAA12。バレットは大型のドラムマガジンをつけているので、最大二十発の連射が可能だ。破壊力の高い散弾が、二十連射でくる。

「悠斗! 頭を守れ!」

 撃つ瞬間、レジナの声が聞こえた悠斗は、伏せて頭を守った。

「くっ!」

 悠斗の頭の上を散弾がかすめていく。もう少し下に向けて撃たれていたら、危なかった。

「あれ? 思ったより広がらねーな、これ」

 散弾銃は普通のものであれば、広がる範囲はせいぜいがソフトボールの大きさだ。

「っだよこれ! 高かったのによ! もういいわ! さっさと撃って、別の使うわ!」

 持っている武器が想像と違ったのか、バレットは一人で悪態をついていた。

 だが、その威力と連射力は、悠斗達を警戒させるには十分だった。ただでさえ凶悪なショットガンが連射できるのだ。弾は、残り十八発。悠斗達は距離をとって警戒していた。

「レジナ、何か策はあるか?」

 悠斗がレジナにたずねると、レジナは少し考えてから答えた。

「――どうだろうな。先程とは逆に、私がフェイント、動ける悠斗を本命にするか」

「作戦とは……いえないよな」

「かもな――悠斗、一応これを持っていろ。バレットには見られないようにな」

 そういうと、レジナは鉄製の丸い物体を悠斗に渡した。

「これって――手榴弾?」

「武器庫から持ってきた。私も持っている。いざというときは至近距離でやれ。相打ちなら、一人残った私達の勝ちだ」

「自爆か――壮絶だな。でも、それしかないかもな」

 悠斗が手榴弾を、そっとポケットにしまう。使い方は、以前リノスに教わっていた。

「おい! クソども! 何ごちゃごちゃやってんだ! さっさと来いよクソが!」

 バレットがショットガンをくるくると回しながら、二人を挑発する。

「私が先に行く。いいか? 何があっても、おまえはバレットだけを狙え」

「わかった」

 悠斗の返事をきくと、レジナはスタスタとバレットに向かって歩き出した。

「あ? 何してんだ? んなことしたって、俺は撃つぞ」

「撃てばいいだろう。ただ、おまえはヘタクソだから――当たらんだろうがなっ!」

 レジナが突然、速度をあげてバレットに飛びかかった。悠斗もそれに合わせて、レジナの後ろからバレットに突っ込む。

「ははっ! 今度は逆か! 俺はヘタクソでもよぉ! 回数がいけるんだぜぇ!」

 バレットはAA12をフルオートで撃ち続けた。銃口から軽快に散弾が飛び出していく。

「オラァ! 今度は全弾サービスだ! 遠慮なく持ってけよぉ!」

 ショットガンがポンポンと音を立て、次々と弾を吐き出し、散弾をまきちらす。

 合計十八発――散弾は弾幕となり、レジナ達を削り殺そうとする。

 だが、レジナはひるむどころか、自分を盾にして悠斗に道を作った。いくら防護服を着たASHとはいえ、ただでは済まないだろう。レジナも動いているので直撃はなかったが、それでも散弾は、レジナの服を、そして足を削っていた。

「うぁっ――悠斗! いけぇっ!」

 痛みに耐えながらの叫び声。レジナは最初から、自分が盾になるつもりだった。

 悠斗はレジナの意図を理解し、心配する気持ちを押し殺してバレットに飛びかかった。

「喰らえバレットォ!」

 レジナの後ろから、悠斗はニコラを突き出してバレットを襲った。

「ちっ! 捨て身かよ!」

 弾幕で二人が止まると思っていたバレットは、逃げるのが遅れてしまった。

「――もらった」

 悠斗のナイフが、バレットの首筋を襲う――だが、バレットは寸前で身体を引いたため、刃はバレットの胸を切り裂くにとどまった。

「――ってえだろうよぉぉぉ! このクソASHがぁぁぁ!」

 初めて悠斗に傷つけられたバレットは、胸から血を流して苦しむ。

「殺すっ! てめえクソが今すぐ殺すッッッ!」

 バレットは逃げず、ショットガンで悠斗を殴りつけようとした。

「やってみろ、ヘタクソ」

 悠斗はそれをかわし、膝をついているレジナのを抱えると、さらに後ろに下がった。

「逃げんのかクソがぁぁぁ!」

 目を血走らせて叫ぶバレットに、レジナは傷を負いながらも、にやりと笑いかけた。

「そりゃ、逃げるさ――そこにいると危ないからな」

「――あ?」

 間抜けな顔をするバレットの足下で、爆発が起きた。

 レジナは悠斗に抱えられて逃げる前に、手榴弾をバレットの足下に転がしていたのだ。

 爆風が、破片が飛び散る。悠斗はその瞬間、今度は自分を盾にしてレジナをかばった。

 煙がおさまり、バレットの姿が見えた。生きているか、死んでいるか。

「――駄目かっ!」

 レジナが悔しそうに吐き捨てる。バレットは――笑ってこちらを見ていた。

「いやいや……やってくれるじゃねーかクソども。さすがの俺様でも危なかったぜクソども。でもな、覚えとけクソども。弾丸っつーのは、何よりも速く動けるんだよ」

 バレットは悪態をつきながら、AA12の弾倉を交換した。今度はボックスマガジンで、装弾数は八発。数は減っているが威力は同じ。そして、レジナは足をやられて動けない。

「思ってたより盛り上がったなぁ……よし、あとは安全に殺させてもらうわ――死ね」

 バレットが、傷の癒えないレジナに向かってAA12の引き金をひいた。

「レジナっ!」

 悠斗は、再びレジナに覆いかぶさり、彼女をかばおうとした――が、

「――やらせない」

 レジナは身体を入れ替えて、逆に悠斗をかばう。

「バカっ! 何してるんだレジナっ!」

 一発、二発――三発目が、とうとうレジナの背中に命中した。

「うぐ……あっ!」

 防護服を来たレジナでも、耐えきれるものではなかった。背中がズタズタに引き裂かれる。骨まで見えているかもしれないほどに。苦悶の声をあげ、表情は痛みにゆがんだ。

「レジナ! やめろ!」

 悠斗は暴れたが、レジナはそれを押さえつけながら、にこりと笑った。

「いずれ――弾も尽きるだろう。そうしたら、反撃のチャンスがあるかもしれん」

「その前にレジナが!」

「――悠斗が死んでは、私も妹も救われないからな」

 そう言っている間にも、バレットは手を休めなかった。

「もう弾も少ねえからなぁ! 慎重に削り殺してやんよクソどもぉ!」

 バレットは、いつものようにギャハハと笑いながら、狙いを定めて撃ってきた。

 レジナの足を片方ずつ、背中にもう一発――残りの弾は二発。

「レジナ! もうやめてくれ、レジナ!」

 悠斗は必死でレジナをどかそうとするが、レジナは引きつった笑いを浮かべ、動かない。

「馬鹿、泣くな。元々、巻き込んだのは私だ。悠斗は私が守る」

 その言葉を聞いた瞬間、悠斗の脳裏に古い記憶がよみがえった。

 以前にも似た経験をしたことがある――母に守られた経験が。

 子供のころ、暴走したASHから自分を守るため、犠牲になった両親。

 あのとき、自分に覆いかぶさり、守ってくれたのは母だった。

 母に救ってもらった命を、今度はレジナが守ってくれようとしている。

(俺は――また、失うのか?)

 嫌だ。自分のために、大切な女性が死ぬのは、もう嫌だ――。

 助けたい、助けたい。レジナを助けたい――この女性を、失いたくない――


 そして、悠斗は血が燃えるのを感じた。

 身体が何かをしたがっている。血を燃やせと、身体が波うっている。

 そうか。これが、血を燃やすということ――力を使うということ――

「レジナ、少しだけ血をもらう」

 悠斗が、間近にあるレジナに話しかける。その目は、赤に染まりつつあった。

 レジナはそれを見ると、苦しみながらも口だけでにやりと笑った。

「血なら、たくさん出ている。好きなだけ飲め。胸でなくて悪いが――それは、また今度な」

 悠斗はレジナの腕に、首に、舌をはわせて血をなめとる。一滴たりとも無駄にはしない

 取り込んだレジナの血が燃えて、さらに身体が熱くなる――一瞬、世界が止まって見えた。

 悠斗は、ようやく自分のASHとしての力を理解した。

「レジナ――いってくる」

「ああ、頼んだぞ」

 完全に紅くなった悠斗の目を見ると、レジナは悠斗を押える力を緩めた。そして、そのまま転がるように悠斗の上からどくと、意識を失った。

(すぐ、迎えにくる)

 悠斗は立ち上がった。レジナの頭に狙いをつけていたバレットが、構えを解いた。

「――ん? レジナ死んだ? じゃあ、レジナじゃなくておまえの頭にするか」

 バレットが、立ち上がった悠斗の頭に、ピタリと狙いをつける。

「俺が言うのもなんだけどさあー。立ってると、すぐ死んじゃうよ?」

 悠斗はニコラを握ると、バレットを真っ直ぐに見据えた。

「大丈夫だ――ノロマな弾丸じゃ、俺には当たらない」

 落ち着いていたバレットだったが、悠斗の自信ありげな言葉に、一瞬で逆上した。

「よーしよし、決めたわ。あのな、まだ他のショットガンあるからさ。おまえと妹、ミンチにして混ぜてやるよ。あの世で一緒になれてよかったね――死ねやドクソがァァァ!」

 バレットのショットガンが火を吹いた。


 銃口から、ショットガンの大きな弾がゆっくりと飛び出す。

 少し飛んで弾が割れると、中から小さな鉄の球が大量に飛び出した。

 無数の散弾が、悠斗達に向かって飛んでくる。


 悠斗には、それらすべてが、しっかりと見えていた。

 ほんの一瞬、ナイフの一振りだけの時間、世界が止まる――悠斗だけが動いていた。


 情報の処理が追い付かず、目と脳が焼け付く。限界をさらにに超えた身体は、今にも筋肉が引きちぎれそうだった。呼吸は味の無いゼリーをすすっているようで面倒くさかったが、身体は動くためにいくらでも酸素を欲していた。

 制止する世界――決闘者の一振り――決着の一撃。

「なぁ――」

 バレットが口を開くが、すべて言い終わるまで待っていることはない。

 悠斗は制止した散弾を避け、バレットに肉迫する。

 そして、バレットの首筋にナイフを突き立てたところで――世界は動き出した。

「――にぃ!」

 バレットの口から出たのは、痛みによる叫び声ではなかった。悠斗が動き出した瞬間に発した言葉が、ようやく出てきたのだ。

「っはぁぁぁぁ――」

 悠斗は元の世界に放り出された瞬間、焼けるような頭と身体の痛みと酸欠に襲われた。鼻血が出ているかもしれない。たった一瞬のために、酷いダメージを負った。

 悠斗が元の世界のギャップにとまどいながらも、ほぼ無意識のまま、何度もバレットにナイフを振るった。両腕を切りつけられたバレットがAA12を手放す。それが地面に落ちると同時に、バレットはようやくすべてを理解した。

「――ってぇぇぇぇぇよぉぉぉ!! 痛い! 痛いぃぃぃ! なんでだよクソがァァァ! なんで消えたんだァァァ! なんで俺は斬られてんだよチクショウがァァァァ! てめええええええそうかああああ決闘者かてめえええ!!!!!」

 バレットは悶えながら、必死で悠斗から逃げようとした。

 勝利を確信した悠斗は、バレットにとどめを刺そうとしたが――動けなかった。

「――はぁ――はぁ」

 頭が割れそうで身体はちぎれそうだ。身体は酸素を取り込む以外の動きを拒んでいる。きっと筋肉がいくつか切れている。

 今の悠斗は、とてもバレットを追えるような状況ではなかった。

「クソッ! どうして俺は勝てないッ! 俺はバレットだ! 負けるわけがねえッ!」

 バレットは叫びながら、這うように逃げていく。ここで仕留めなければ、バレットは回復してしまう。だが、悠斗の心配をよそに、当のバレットは意外なことを叫んた。

「傷がッ! 傷が治らねえッッ! なんでだ! 俺はASHだ! バレット様だぞォ!」

 上の階に向かって、バレットの叫び声が遠ざかっていった。

 その声が聞こえなくなったころ、悠斗はようやく動けるまでに回復した。

 切れた筋肉も再生能力によって戻ってきている。あきれるほどに便利な身体だ。

 動けるようになった悠斗は、バレットよりもレジナが気になった。レジナは自分など気にせずにバレットを追えと言うだろうが、さすがにそこまで割り切ることはできなかった。

「レジナ! 大丈夫かレジナ!」

 悠斗が倒れているレジナに駆け寄ると、レジナは小さく「大丈夫だ」と呟いた。

 生きている。服も身体もボロボロにだが、生きてさえいれば再生能力がある。

 悠斗は、ほっと胸をなで下ろした。

「見ていたよ……あれがASHの力、決闘者だ。ほんの一瞬だけ何よりも早く動くことができる。お前の能力が戦闘向きでよかった」

 そういえば、バレットも「決闘者」と叫んでいた気がする。ASHの能力としては知られているものなのだろうか。

「無我夢中だったよ。あの一瞬で窒息するかと思った。身体も痛い。二回は使えないな」

「その一瞬で仕留めたのだから、大したものだ。それで、バレットはどうした?」

「上に逃げたよ。ただ、もう瀕死のはずだ」

「馬鹿者、回復するだろう……すぐに追え……」

 やはり言われたかと、悠斗は苦笑した。

「わかった、すぐに追うよ。でも、傷が治らないって騒いでたから、大丈夫かもしれない」

「傷が治らない? ――再生能力が動かないのか?」

 それを聞くと、レジナはゆっくりと立ち上がった。

「私も行こう――どうも、おかしな予感がする」



「クソッ! どうしてだ! 俺は無敵じゃねえのか! 無敵のバレットじゃねえのか!」

 屋上まで這うようにして逃げてきたバレットが叫び続ける。

 そんなバレットを見下ろすように、一人の人間が立っていた。

「弾丸というのはね。とても速くて強いのだけれど、一度撃ったらお終いなの。だから、あなたはバレット。使い捨ての弾丸――バレットなのよ」

「……俺が使い捨てだと!? 最初から、使い捨てだとわかってたってのか!」

「銃に弾丸を込めるとき、それを回収しようと考える人がいるかしら?」

「ふざけんな……どのクソも殺す! てめえもジジイも! 八課も! 全員殺すッ!」

「惨めね。でも、そうなったのは私の責任でもあるわ。だから助けてあげる」

 バレットの首筋に、銃のようなものが押し当てられた。

「な、何をするつもりだ!」

「バレット専用の遺伝子改良注射。すぐに楽になるから、じっとしてなさい」

 それは銃ではなく注射器だった。シリンダーが動き、バレットの体内に薬液が流れ込む。

「そ、そうか――これでまた、俺は力を――」

 バレットは子供のような笑顔を浮かべて立ち上がろうとするが、それは出来なかった。

「あれ――おい――俺の手が――足が――消えていく――」

「感覚が消えているだけよ。すぐに脳まで到達して楽になるわ」

「クソッ……なんだよこれ……毒、か……?」

「毒じゃないわ。あなたを元の人間に戻すためのものよ。今のあなたには手遅れだけど、苦しまずに死ぬことはできるわ。おやすみなさい、バレット」

 それを聞くと、バレットは安らかな笑顔を浮かべた。

「そうかよ……普通の人間に………ざまあみろ化物ども……うらやましい……だろ」

 バレットは絶命した。



「バレット! どこにいる!」

 バレットを探して、悠斗達は屋上までやってきた。いるとしたら、もうこの場所しかない。

 月明かりが照らす屋上に、バレットはいたが――倒れていて、動く気配はない。

 そのかたわら。バレットを見下ろすように、一人の人間が立っていた。

 給水塔が影になっており、はっきりと姿を見ることはできない。

「誰だ!」

 悠斗が大声で呼びかけると、その人物は悠斗の前に姿を現わした。

「お久しぶりね。元気そうで何よりだわ」

 悠斗は、その人物を見て唖然とした。

「強いのだけど、一度発射されたらそれっきり。後は地面に落ちるだけだから、バレット。使い捨ての兵士にはふさわしい名前だと思わない?」

「なんで――なんであんたがここに――」

「このビルはね。昔、うちが経営していた病院なのよ」

 なぜ、この人がここに――なぜ、彼女がここに。

「――セセリさん」

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