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世界を救った勇者のはずなのに、気がついたら風俗嬢になってた件  作者: kyonkyon


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1話 モノローグ

「——ヴィオラちゃん入りまーす!」


かつて世界を救った勇者は、今や五万ゴールドで買われる女になっていた。


世界は救われた。

ただし、勇者の居場所を除いて。


暗雲の中2つの雷が飛び交う。

ここは魔界の魔王城。


そう、今こそ勇者ヴィオラ一行は最後の戦いをしていた。魔王は既に片腕を切り落とされているが強大な魔力故に未だ優勢になっていた。


「ふっふっふ……焦りが見えておるぞ、勇者ヴィオラよ。」

「黙れ!愚劣な魔王め、今こそ貴様の首を切り落としてくれん!」


光剣グランゼニスを構えて勇者ヴィオラは切りかかる。しかし、魔王の結界がそれを弾き、炎と氷の渦をヴィオラへと放出した。


しかし、それをヴィオラは突っ切り魔王への間合いへと入っていった。


「一手……遅かったな魔王め。」

「やれー!!ヴィオラー!!」


魔王の守る手を蹴り飛ばし大振りで大剣を魔王に切りかかると魔王は大きく下がり体制を崩した。


「ふ……ふっふっふ、ここまでとはな。」

「はあ……はあ。」

「勇者ヴィオラよ見事だ。ぐ……ぐふっ、だが光あるところにまた闇がある。光がある限りまた闇が……あふれ……るだろう……ふっふっふ……ふははははー!」


魔王の姿は溶けていき、地面に突き刺さった大剣を見て私は唖然としていた。


「お……終わった……?」

「やったな!ヴィオラ……長い旅だった。これで……。」

「ええ、これで終わりよ。」


こうして、私たちは1つの大きな冒険を終えた。

王都ゼルシュタインではそれはそれは盛大な祝いをした。


大衆に拍手喝采を受けて、私たちは偉大な勇者として語り継がれる……はずだった。


☆☆


5年後……。


「お待たせしました!ヴィオラちゃん、ヴィオラちゃんでーす!」


ボーイに連れられ、私は個室に案内される。


「うほほ、こりゃあ上玉じゃ!エルフときた!」

「どうも……はは、ヴィオラです。」

「うんうん!清楚な雰囲気になれない感じが……たまらんのう!」


そう、私こと勇者ヴィオラは現在、風俗の仕事をしていた。


「しっかし……ヴィオラか〜、昔世界を救った勇者様みたいな名前じゃのう……あ!源氏名とかか!」

「え……ええ、まあ。」


スケベで鼻を伸ばした老人に身体を触られる。


「ぐひひ……。それにしてもあんたのような美貌の女がたった5万ゴールドとは……。」

「…………。」


我慢しろ私我慢しろ私我慢しろ私。


しかし、私は我慢の限界で老人の胸ぐらを掴んでしまった。


「ひ……ひいい!助けてくれ!」

「どうしましたか……って!またあなたですか!ヴィオラさん!」

「ち……ちが。」

「失礼致しました!私がしっかりとご指導致しますので!!」


老人は裸のまま起き上がりへそをすっかり曲げてしまった。


「ふん!!全くじゃ……!いつからこの店は暴力専門になったんじゃ!チェンジじゃチェンジ!!」

「は……はい!ただ今別の子を用意いたします!」


こうして、私は何時間も待機してやっとつけてくれたお客さんをあっさりと手放してしまった。

そして、ボーイさんに裏に連れていかれる。


「君ね……困るんだよ!ただでさえ君NGが多いのに接客態度も悪いとは……なんのためにいるだよ!」


……ごもっともです。

世界を救った私に待ち受けてるのは、世界を救ったヒーローではなく、役目を失った無用のものでした。


仕方なく居酒屋や武器屋でバイトするも……今まで働かないで魔物を狩れば生計を立てられたので魔物が居なくなった私は完全に世の中から不要とされてました。


そう、私はもうここしか無かったので縋るように風俗嬢になったのだった。


「本当にすみません……もう少しできることを増やすように努力しますので。」

「全く!今日はもう帰りな!」

「え……でも、こんなに待機したのに給料ゼロなんて。」

「……こちらも善意で飯を上げてるから、給料が欲しければ求める仕事をやるんだな。」

「……はい。」


私は、もう世界から要らないのかもしれません。

あの頃の仲間たちとも連絡を取っていない。


あの頃の歓声はなんだったんだろう。

訪れる平和に兵士や国民が涙を流し、受けた感謝は……。


平和になってから、私は国王に不要と切り捨てられてから、全てが狂った。

生計が立てられなくなって、鎧や盾を切り売りして、気がついたら身体を売っている。


なんで……こうなったんだろう。

あの頃仲間と飲んだ肉や酒が飲みたい。

今日もカチコチのカビの生えたパンを食べるのかと思うと、それだけで死にたくなりそうだった。


「……おい、大丈夫か?」

「はい……ぐす……ひぐ……がんばります。」

「ま……まあ、仕事ってとりあえず続けてみて、少しずつ慣れていけば少しずつ人気も増えていくから……な?あ、ジャーキーのあまりでも食べるか?」

「はい……。」


こうして、待機所でボーイが少し申し訳なさそうに貰ったジャーキーを噛んでいる。

少ししょっぱいのは、少し涙がかかってるからだろう。


こんなはずじゃなかった。

こうなるなら魔王なんて、倒すんじゃなかった。

私のいる意味ってなんだったんだろう。


しかし、この時はまだ知らなかった。

平和に見えた世界が実は……少しずつ闇に飲まれかけているということを。


この物語は、かつて世界を救った勇者が職を失い……少しずつ何かを掴む物語。


挿絵(By みてみん)


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― 新着の感想 ―
面白そうな作品名で、つい読んでしました。 どのような展開になるのか、続きのエピソードも楽しみにしてますね٩(^‿^)۶ ありがとうございました。 巳ノ星壱果
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