表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Project SEKIGAHARA  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/5

第3話 合流

東京湾岸にある、

地図に載らない施設。


正式名称は存在しない。

ただ関係者の間では、

**「第七会議室」**と呼ばれていた。


窓のない廊下を進み、

重厚な扉の前に、6人は集められた。


互いに名乗ることはない。

だが、全員が同じ匂いを感じていた。


――普通ではない場所。

――普通ではない仕事。


最初に口を開いたのは、

白衣姿の男だった。


「時間がありません」


JAXAプロジェクト責任者、

真田と名乗ったその男は、

背後のスクリーンを起動する。


映し出されたのは、

地球へ向かってくる一つの光点。


「小惑星コードネーム、KA-47。

 衝突予定地点――岐阜県関ヶ原町」


6人の視線が、一斉にスクリーンへ集まる。


「破壊は不可能です。

 必要なのは“軌道の変更”。

 ズラす距離は、わずか1ミリ」


鷹宮玲奈が、即座に口を挟んだ。


「1ミリでも、

 失敗すれば誤差は指数関数的に拡大する。

 つまり――賭けです」


「その通りです」


真田は否定しなかった。



神谷圭吾が、

静かに手を挙げる。


「……質問があります。

 なぜ、地上の人間を?」


「宇宙での作業は、

 時間も予算も足りない。

 それに――」


真田は一瞬、言葉を選んだ。


「この小惑星は、

 **“地球と相互作用している”**可能性があります」


空気が、重くなる。


「重力だけじゃない。

 地磁気、地殻、金属構造……

 複数の要因が、軌道に影響している」


村雨玄蔵が、低く唸った。


「……つまり、

 石じゃない、ということか」


「ええ」



柴崎剛志が、

腕を組んだまま言う。


「で、俺は何を壊す?」


真田は、

一枚の図を映し出した。


それは、

小惑星KA-47の内部構造予測図。


「“壊さずに、ズラす”ための

 内部衝撃制御です」


柴崎は、

わずかに口角を上げた。


「……面白い」



三枝美波は、

6人の顔を順に見渡してから、

真田に視線を戻す。


「このメンバー、

 技術的には理解できる。

 でも――」


彼女は言葉を切った。


「誰かが、嘘をついてる」


室内の空気が、張りつめる。


真田は、

その視線を真正面から受け止めた。


「ええ。

 世界中が、嘘を必要としている」



最後まで黙っていた関口直哉が、

ゆっくりと口を開いた。


「関ヶ原の地下には、

 地図に載らない空洞があります」


全員が、彼を見る。


「戦後に埋められた坑道。

 でも、完全には塞がれてない」


真田は、

初めて表情を変えた。


「……やはり、あなたでしたか」


スクリーンが切り替わる。


そこに映ったのは、

関ヶ原地下の三次元構造図。


そして、

小惑星の軌道修正予測線。


二つは、

一点で交わっていた。


「ここが、

 Project SEKIGAHARAの起点です」


沈黙の中、

誰かが、息を呑む音がした。


世界を救う計画は、

あまりにも――地味だった。


だが、

失敗すれば、すべてが終わる。


6人は、

まだ気づいていない。


この計画の最大の敵が、

時間ではなく、人間そのものであることを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ