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第34話

第34話



「おい、まだ生きていたのか! ハハハ!」

「……当然だろう。ハハ。」


塔の前では、集結した戦力たちが互いに声を掛け合い、陣形を整えていた。

しかし、雰囲気はすぐに一変した。

会議が始まったからだ。


ロイドは会議席の中央に立ち、

ちらりと少年を一度見やると、

少年が語った計画を全員の前に明らかにした。


最初、誰もが戸惑った。

いや……“驚愕した”と言うべきだった。


「これが……計画だと?」

「全部は理解できないが……」

「何というか……妙に説得力があるな。」


初めは薄い疑念が漂っていた。

だがロイドが言葉に力を込め、

何より少年の得体の知れない理論に、

誰もが知らず知らず引き込まれていった。


理解できないはずの論理なのに、

なぜか頷けてしまう。


最終的に、全員が一人、また一人と同意していき、

会議は驚くほど迅速にまとまっていった。

少年の神秘性、不可解さはさらに増していく。

ロイドは少年に頼まれた通りに説明しながら、

同時に自分でも驚きを隠せなかった。


その後、

「よし、部隊を分ける。」


ロイドの号令により、

戦力は A、B、C、D、E の五つの区画に分かれ、

それぞれ別方向へ投入されることが決定した。


向かう地域は――

かつて正体不明の“炎の柱”が天へ噴き上がった場所。


その言葉に、数人が顔を引きつらせた。


「そこは……ただの地獄だろ。」

「本気で、あそこへ突入しろって?」


だがロイドの真剣な表情が、

その反発を瞬時にねじ伏せた。


「お前たちも知っているだろう。今回の敵は……正常じゃない。

何かを狙って動いている。」


ロイドは、これまでにない冷徹な表情で続けた。


「各隊は指定区画へ行き、可能な限り早く討伐と定着を行え。

そして――区域を絶対に手放すな。」


彼は準備していた地図を広げ、

いくつもの座標を指で示した。


「いくつかの特定地点は必ず確保しろ。

座標計算は極めて重要だ。

一つでも誤れば……終わりだ。」


さらにロイドは続けた。


「それから数名は、つるはしを持って鉱石を掘りに行く。」


全員が固まった。


「鉱石を……?」

「なんでそんなものを?」


ロイドはつるはしを持った数人に視線を向けて言った。


「お前らの中に……この鉱石を見たことがある者はいるか?」


しかし全員が首を横に振った。


「……全くありません。」

「初めて見る色です。」


ロイドは頭をかきながらぼやいた。


「はぁ……俺だって何十年も趣味で鉱石を掘ってきたが、

こんなのは見たことがない。」


その言葉に、少年の瞳が静かに光を宿した。


ロイドは再び地図を広げ、言葉を続けた。


「鉱石はさっき言った区画で採掘し、

各隊の拠点へ即座に届けろ。」


そして最後に、

全員を重く、真剣な眼差しで見渡した。


「ここで……最低でも五人は死ぬ。」


息が止まるような沈黙。


誰も笑わなかった。

全員が計画の精密さに驚き、

その言葉でさらに覚悟を固めた。


静かな片隅で、

少年はそのすべてを沈黙のまま見つめていた。


その瞳には微塵の揺らぎもなく、

まるで全てがすでに計算されているかのように、

深い静寂の中で静かに輝いていた。

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