第33話
第33話
《黄金の獅子亭》の店主ロイドは、時間を確かめると、
息つく間もなくある地点へ向けて全力で駆け出した。
道中、ところどころで残党が姿を現したが、
ロイドは速度を落とすことなく、
一瞬で彼らを斬り伏せ、ただ前へと進み続けた。
やがて二人は、廃墟の向こうにそびえ立つ古い塔の前へと到着した。
そこにはすでに数名の人物が集まっていた。
そのうちの一人が、ロイドを見るなり明るい声を上げた。
「おい、遅いじゃないか……ロイド。」
ロイドは肩をすくめ、軽く手を振った。
「悪い悪い。」
別の者が言葉を続けた。
「計画通り、他の連中も向かっている。
中央王国からも外郭都市からも軍が派遣されるそうだ。
すぐに合流するだろう。」
少年はその会話を聞きながら、ロイドを見つめ直した。
――ロイド……
黄金の獅子のロイド?
ギルドの名簿で見た名前だ……。
知っているということは、相当の有名人ってことだよな。
その時、ひとりの女戦士が少年を指さして問いかけた。
「で、あんたの後ろにいるその子は誰?
可愛い子じゃない……途中で拾ってきたの?」
ロイドは気にも留めない様子で答えた。
「まあ……そんなところだ。」
女戦士は興味深そうに少年を見つめ、
少年は静かに視線をそらした。
その間にも、
塔の周囲にはさらに多くの者たちが一人、また一人と集まりはじめていた。
どうやら、事前に立てられていた計画通り、
この塔の前に各地の勢力が集結しているようだった。
少年はその光景を黙って見つめ、
ひとつの思考を胸の内で深めていた。




