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ボディスーツ TYPE01x起動 95

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

普通の朝に戻る、でもちょっと特別な朝


朝5時半。

ゆきなは自然と目を覚ました。


隣を見ると、えれながもうネグリジェをたたみ、静かに着替えている。


その後ろ姿が、朝の光の中でとても綺麗だった。


「お姉様、行きましょう!」


いつもと変わらぬ笑顔。

昨日あれだけの試合をしたとは思えない、頼もしい声。

本当にタフだなあと感心しつつ、ゆきなも着替えて玄関へ向かう。


「——いってきます!」



おじちゃんに報告。そしてパン屋にて…


いつものテニスコートへ向かうと、そこにはおじちゃんの姿。

朝から黙々と打ち合っている。


「おじちゃん、昨日……優勝したよ」


「はぁ!? なんで言わないのっ!」


顔を真っ赤にして怒るおじちゃん。


「パン屋休んで応援行くのに!」


と悔しそうだ。


そのおじちゃんが先に帰宅したあと、えれなとパン屋さんへ立ち寄る。


……あれ?


ガラス窓の奥、店の入り口、ショーケースの中に……


「地元 えれなちゃん 新人戦優勝!」


の貼り紙が。


「……恥ずかしいです……」


もじもじするえれなが、可愛くて仕方ない。


だがその隣に、おばあちゃんがにっこりと笑顔で言った。


「はい、えれな優勝記念クリームパン。出たよ!」


挿絵(By みてみん)


「おばちゃーん、4個買うー!」


「もう4個買う!」


売れ行きは好調で、記念パンは小さな町で大人気になっていく。



笑顔の1日と、次の始まり


笑いながら帰宅すると、すでに家では家族みんなが爆笑中。


「これ、えれなに似てるのかな?」


「うーん……かわいいから、似てるんじゃない?」


そんなやり取りに、えれなは照れつつも微笑みを返した。

楽しい、笑顔の1日が、ゆったりと過ぎていった。



翌日、校長先生もえれなの快挙に満足げに話していた。


「本校、初の県新人戦優勝だよ。これは快挙だ!」


朝練では、部員たちが一層気合を入れてボールを打ち込む。


そこへ——


「おはようっ!」


ラフなユニフォーム姿で、副大臣も登場。


「ちょっとだけ時間できたから、来たわよ〜♪」


忙しい時間でも、えれな達の練習に顔を出し、時には自分もラリーに加わって楽しそうに汗をかく。



えれなの活躍をきっかけに、他校からの練習試合依頼が急増。

強豪校を中心に、なるべく多く受けていく。


「うーん……あまりにもパッとしないところはお断りでいいかな」


「はい、試合慣れにはちょうどいいですね」


そして、理科部もまた、夏に向けてプロジェクトが進行中。


・ノアリエルからの定期転送(2週間ごと)

・ナノ医療薬の実用化・承認

・その販売によって、遠征費用が順調にまかなえるように


「……怖いくらい順調ね」


「はい、お姉様。そろそろ解析も終わるそうです。通信で終わらせますか?」


「いいえ。これは頼んでいるからには——現地で確認するわ」



ノアリエルの工場にて、報告と驚き


ハナフライムで移動し、ノアリエルの工場エリアへ到着。


「ご報告を。母星は特定されました。こちらになります」


「ノアリエルから、ワープ13で約3時間の位置。惑星密林帯が存在し、植物から艦船が生える構造のようです」


「……え? 植物から?」


情報に絶句するゆきなとえれな。


「で対応策としてウイルスはいかがでしょうか?」


「造船の原料として、星そのものを破壊する必要がなく、成長効率が非常に高いのですが—こちらのウイルスで成長効率が1/10程度に抑えられるかと」


「なるほどね風邪みたいな物なのね」


「この“風邪”みたいなものでどれくらいで制御できるの?」


「少なくとも、100年単位での対応が可能になる可能性が高いです」


「……いいわね。しっかり準備しましょう」


特別艦と、TYPE01xスーツの完成


「エレナ様、特別艦の確認をお願いできますか?」


「はいっ! わかったーっ!」


弾むように走っていくえれな。


「お姉ちゃーん、あれ見ててーーっ!」


一方、ゆきなの元へやってきたのは技術主任。


「ゆきな様、前回ご希望されていたスーツ、完成しております」


目の前に現れたのは——

艶やかな黒に煌めく、四角のカーボンの塊


「ボディスーツ TYPE01xでございます」


・表面は炭素繊維主体

・表面には炭素変化ができ高濃度ダイヤモンド繊維へと変換可能

・小型カセット型融合炉を背面装着、フル出力で約1ヶ月

・損傷部位はナノカーボン補充で即時修復可能


「……これはもう、“戦うための礼服”ね」


ゆきなは、静かに手を伸ばし、スーツに触れる。


そして、次のステージへ向けて、準備が整っていくのだった——。


「では、触れてみてください」


技術主任の穏やかな声が響く。

目の前にあるのは、正四角形の黒い炭素繊維の塊。表面は滑らかで、ほんのり温かい。


「そろそろ、リンク率も良い状況になっていると思われます。では——外部接触確認、初期に戻します」


塊がわずかに振動し、再び整列し始める。まるで呼吸するように、動きが滑らかだ。


「お待たせしました、どうぞ」


ゆきなは手をそっと押し込む——

中は柔らかく、そして温かい。


「お帰りなさい、ゆきな様。リンクスタートしてよろしいですか?」


「いいわ。リンクスタート」


その瞬間、コクピット空間がふわりと展開された。

全身を包むような気配——でも不快ではない。

むしろ、心地よく包み込むような「まとわりつく感覚」。


全面モニターに映るのは、融合炉出力やリンク状態の詳細表示。

あらゆるデータが、まるで意思を持つかのように並んでいく。


「リンク完了、リンク率83%。後ほどパイロットスーツへお着替えをお願いいたします」


「わかったわ。あとで着てみる」


手足を動かすと、まるで自身の体の延長のように反応する機体。


「ちょっと、外に出てきてもいいかしら?」


「どうぞ、ゆきな様。ご依頼の機体でございます」



空を、都市を越えて、そして宇宙へ


軽やかに地上を蹴り、機体は大気を切る。

空中都市をすり抜け、風のように駆け抜けていく。


挿絵(By みてみん)


「中央都市、管制応答お願いします」


「はい、ゆきな様。こちら管制です」


「……宇宙の外に出たいのだけど、出てもいいかしら?」


「承知いたしました。通過シールド解除中です。お戻りの際は、必ずご連絡を」


「了解。周囲の星図はあるかしら?」


「お送りいたします——ゲート前、通過シールドへ進行ください。ご安全に」


星図を確認しながら、コクピット越しに広がる宇宙を見上げる。


「ふふ……すごいわね」


「高速モードへ移行します。30秒後、完了予定」


……変形完了。


「現在ワープ 7、通常空間を離脱しました」


挿絵(By みてみん)



えれな、気づく。お姉ちゃんがいない!?


「……あれ、お姉ちゃんいない」


基地の中で、端末に向かっていたえれなが首をかしげる。


「お外に遊びに行っちゃいましたよ」


「……えっ? 今どこらへんにいるの!?」


「外宇宙に」


「えーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」


タブレットを持ったまま頭を抱えるえれな。


「大丈夫……なの?!」


「はい、いまのところ問題ございません。ゆきな様用に完全カスタマイズしておりますので」


「……はあ……」


大きなため息がもれる

妹えれななのであった・・・・・



ついに完成ボディスーツ! ゆきなは楽しそうです!

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