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崖が崩れたらそこは宇宙ステーション♪  作者: Sukiza Selbi


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90/541

新たな加速領域へ:限界突破のワープスピード  90

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

実験の説明と、帰還の準備


「帰り道、実験してみてもいいですか?」


「もちろんどうぞ!」


帰りの準備を整える中、えれなが補足する。


「ワープエンジンそのものは、もう現状で限界なんです。でも、保護フィールドなら改善の余地があります」


「へぇ」


「今は1艦で4×4、つまり16層。でも、同型艦3隻を連携すれば、4×4×4の64層シールドが可能になります」


「……それって速度も上がるってこと?」


「はい! エンジン自体のサイズ制限は変えられませんが、全体の負荷分散とシールド密度で補う予定です」


「ふふ、いいじゃない。やってみて」


「はいっ!」


「では──ゲートを通過します」


重厚な振動が艦全体を包み、閃光とともに、次元の狭間が開いた。

船体が一瞬で滑るように空間を抜け、目の前には静寂な宇宙の広がり。


「通過完了。天の川銀河外縁へ移動します。」


「到着しました。」


「では、連結スタート」


指示と同時に、艦体の外部から黒く硬質なカーボン色の構造体が現れ、まるで生きているかのように各艦を包み込んでいく。


「1番艦、2番艦、3番艦──配置完了」


「連結、開始します」


重なるようにシールドと構造が結合していき、やがて──


「3台の連結、完了しました。システム直接リンク、構築済み」


モニターに映るのは、まるで1隻の巨大な艦船。


「保護フィールド開始。2台同期で16層、さらに3台同期で──」


「64層構造、完成しました」


「全融合炉出力、55%」


「エンジン最大稼働率、**96%**に到達」


「では──ワープ開始!」


挿絵(By みてみん)


一瞬、艦内の空間が歪み、重力波のような感覚が身体を包む。


「……えれな、このゲージ、振り切れてるわよ?」


「わ、ほんとだ! いったん停止します!」


モニターがちらつき、観測情報が走る。


「ワープ速度13.8を観測──」


挿絵(By みてみん)


「今までの約1.6倍のスピードね……」


「はい。これまで8時間ほどかかっていた距離が、4〜5時間で到着できる見込みです」


「……ゲージは壊れたんじゃないの?」


「はい、ステーションで新たに作成します!」


ゆきなが笑いながら呟いた。


「まあ、早いことはいいことよね」


「本当に!」


⸻


ワープ航行を終えた艦は、静かに地球圏へと戻り、秘密基地司令所に着艦した。

そのままシステムをゆっくりとダウンさせ、全自動での帰還が完了する。


「じゃあ……あとは任せたわ、えれな」


「はい、お姉様」


2番艦 3番艦は月面裏側に待機するのだった。


基地の管制室に戻った直後──通信機が振動する。


「……JAX⭕️、そしてNAS⭕️からの通信依頼です」


「繋いでちょうだい」


スクリーンが開き、懐かしい顔が現れた。


「艦長。惑星での素晴らしい体験を、ありがとうございました」


その声には、確かな敬意と、心からの感謝が滲んでいた。


ゆきなは微笑んで答える。


「こちらこそ。──いい連携でした。」


「2週間旅行、それから1泊2日の短期訪問——提携国への打診はすでに完了しています」


会議室に静かな声が響く。担当官の報告に、ゆきな艦長はモニター越しにうなずいた。


「希望者、多かったのね?」


「はい。特に教育関係者や学生からの希望が殺到しておりまして……」


「そう。わかったわ。じゃあリストを送っておいて。でも——」


そこで少し声の調子が変わる。


「前回みたいには甘くいかないわよ。今回は75点以上が合格基準。前回の子たちはよくやったから、試験は免除でいつでも通行許可をあげて」


「了解しました」


「それと、いつまでも無料というわけにはいかないわ。現地で換金できるよう準備して。けど、平等性を守るために、一回に換金できる額は制限をつけておいて」


ゆきなはまっすぐ前を見たまま、言葉を続ける。


「それから……招待者の費用は、各国の支援で賄えないかしら? 財源として——この前のナノプローブ注射、一部認可しない?」


「生命治療用のあれですね?」


「基本は子ども優先よ。特に難病の子には手の届く価格で。大人で“どうしても”という方には、一本高額でも生命保険でカバーできる可能性があるでしょう? それで招待制度が続けられるなら、悪くない選択だと思うわ」


一瞬、会議室が静まり返る。


「……たしかに、今そのプローブをめぐってターゲットになる事件も起きています。取り扱いにはこちらからも警告を発する予定です」


「ええ。国として責任を持って対応してちょうだい。安全が第一よ」


会議が終わると同時に、副艦長のえれなからリストが送られてくる。


「今回の希望者は……1,348名です」


「自動合格者は、システムで自動振り分けておいて」


「了解しました」


「……では、何事もありませんように」


そう願って、ゆきなは会議を閉じた。


⸻


静かな幸せと、汗をかく休日


会議の緊張が抜けたその日の夕方。

秘密基地の女性用浴場ののれんをくぐると、ほのかな湯気と、あたたかな声が迎えてくれた。


「……あら、早かったじゃない」


お風呂にはお母さんとおばあちゃん。

そこへ、えれなも笑顔で入ってくる。4人でのんびりと湯につかり、笑い合う。


「お父さん、昨日一人で入ってたって言ってたわよ?」


「ふふ、もう少ししたらみんな落ち着いてくるんじゃないかしら」


何気ない、だけど確かな安らぎの時間——

「このほのぼのが、いちばん幸せだなあ」

と、ゆきなは心から思うのだった。


翌朝は一日空いたので、恒例の「朝テニス」へ。

パン屋のおじちゃんとラリーを楽しんだ後、そのまま部活にも顔を出す。


「新人戦、楽しみだねー!」


見守る視線は、どこか母のよう。

それに気づいた篠崎部長がくすりと笑ってひとこと。


「なんか、母親の目線ですよ、先輩」


「ちょ、ちがうって!」


けれど言葉とは裏腹に、ゆきなの顔には自然と笑みが浮かぶ。


「よし、誰か試合しよっか! ゴールデンウィークも締めくくりよ!」


—


夜私の秘密基地で焼肉パーティーにみんなをご招待


「なにこの肉……おいしい!」


部員たち、家族、が一堂に会して、焼肉パーティー。

鉄板の上でジュウジュウと音を立てる肉と、仲間たちの笑い声。

未来のこと、大事な責任、守るべきもの——たくさんあるけれど。


この時間だけは、何よりも「おいしい」「たのしい」が一番の幸せ。


そんなふうに、ゆきなの長い一日が終わっていった。

3隻合体! なのぷろーぶカーボン 今開発している副産物ですが・・

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