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崖が崩れたらそこは宇宙ステーション♪  作者: Sukiza Selbi


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83/179

救助した人との友情と帰還への架け橋 83

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

「ありがとう、えれな。……一瞬、本当に死んだかと思ったわ。でも、2番艦、3番艦が……あるとは……」


挿絵(By みてみん)


「びっくりしましたよね」


「いつから稼働してたの?」


「正式運用は、先日の銀河連邦救助任務の後からです。ノアリエル2回目の出立時には、3台で同期運転を始めました」


「……単独でいくら強力でも、大型主砲を連続で食らったら危険。1番艦を守るための布陣だったのね」


「はい。主要システムは本艦側で設計し、船体と融合炉まではノアリエルに発注しています。あと、3艦追加発注中で、1艦は特殊仕様です」


「まあ、任せた以上文句は言わないわ。でも、助かったわ。ありがとう」



「艦長……ひとつ、悩ましい報告があります」


「えっ、なになに?」


「現在、合計127名の人類が『食料』として格納されていた形跡があります。逃走した艦の人類も転送の際に救出してあります。恐らく、敵の艦は深刻な飢餓状態にあると想像されます」


「……今、どんな状態?」


「90名ほどは意識を失い、休眠カプセルにいます。残りの37名は通常の牢に収容されていました。その中に、銀河連邦の士官と思われる人物も含まれています」


「37名の中で目を覚ましてる人はいる?」


「はい。上級士官2名、下士官を含めると10名ほどです」


「……じゃあ、下の客室にコーヒーと軽食を用意して」


「了解しました。転送場所は……?」


「いきなり部屋の中に転送するのは失礼よね。牢の外側へ私たちをお願い」


「承知しました」


シュワン――転送光の中から、落ち着いた気配の人物が2名姿を現す。


「こんにちは。こちらに銀河連邦の上級士官の方はいらっしゃるかしら?」


挿絵(By みてみん)


「私だ。補給隊・護衛艦インビシブル艦長、エリオンだ。副艦長ミネルバも一緒だ」


調査船ハナフライム、艦長ゆきな。こちらは副艦長えれなです」



「現状は把握されていますか?」


「……いや。アラートが鳴って敵が消えたことまではわかるが、その先は不明だ」


「それでは、お話しづらいと思いますので、打ち合わせスペースへどうぞ」


「ありがとう。では案内を頼む」


4名は《ハナフライム》の作戦ルームへと転送される。


「……すごいな。綺麗な艦だ」


「お褒めいただき光栄です。では、こちらのモニターをご覧ください」


映し出されるのは、アクセラ艦隊の銀河侵攻ルート。


「私たちの星系まで0.5銀河圏へ侵入。私たちは防衛任務にあたりました。大型艦7隻、小型艦含めて5600隻ほどです」


「……絶望しかない映像だな」


「交渉を試みましたが、先行した2隻より主砲の一斉発射があり、戦闘開始となりました。機密につき詳細は伏せますが、最終的に全艦に致命的損傷を与え、敵の運用は1隻を除いて不能となりました」


「その1隻に残っていた人類たちも……?」


「食料化される前に全員を転送で救出済みです」


「……感謝する」


エリオンが静かに手を差し出す。ゆきなはしっかりと握手で返した。


「とりあえず、コーヒーでもいかがですか? 少しだけチョコレートとお菓子も」


「いただこう。……甘くて苦くてほぅっとするな・・・」



「では艦長、本題に入ります」


「お願いします」


「現在127名の人類のうち、37名が覚醒状態。10名の下士官がおられます。銀河連邦所属の人数や他部族との識別も含め、判別をお願いできますか?」


「任せろ。すぐに確認しよう」


「ありがとうございます。終わり次第、ご希望の場所へ移送します。こちら、ミラステラ艦長ユリア様からいただいた銀河地図です」


「ユリア艦長! 元気か?」


「はい、元気です」


「そうか、それは良かった」


「移送先の候補としては?」


「現在地がここなら、《第12宇宙基地》が最適だ。連邦の最東端の大型ステーションだ。ミラステラもそちらへ向かっていたはず」


「36銀河の距離……通常で36時間。ちょっと遠いけど仕方ないですね」


深く礼をするエリオン。


「とりあえずこのバッジをお持ちください。通信用です。8名の下士官にも。あと、整理用にこちらのタブレットもお使いください」


「助かる。1人12名ほどなら、すぐ終わる」


「チョコレートも37枚、こちらです」


「お心遣い、感謝する」


シュワン。転送完了。



「……ゆきな艦長、どうやら今日中には帰れなさそうです」


「本当に。最低でも3日はかかるわね」


「中継衛星を通じて、地球との通信は可能ですが、少しラグが生じます」


「ありがとう。……お母さん、つなげてくれる?」


数秒後、画面にお母さんの顔が映る。


『ちょっとトラブル?』


「ううん、私たちのせいじゃないの。またちょっと“おせっかい”してるだけ」


『……いいわ、わかったわよ。3日ね。半日に一度は連絡しなさい』


「うん、ありがとう」


『しっかり、おせっかいしてらっしゃい』


「ありがとう。……いってきます」


画面が切れたあと、ゆきなは小さくため息をついた。


(まさか地球外とは思ってないよね……)


「通信ラグ、意外と少なかったわ」


「最大限調整しました。……教えられた通りにしただけです」


えれなが微笑む。



その後、エリオン艦長から報告が入る。


「銀河連邦民85名、他同盟国40名、2名は不明だが敵性ではない」


「ありがとう。休眠装置は電源をつなげば問題ない?」


「はい。動力さえあれば安定稼働します」


「じゃあ睡眠チームは2番艦と3番艦に分けて転送。ベッドごと移動して」


「了解しました」


「起きているチームはこの艦へ」


「はい」


「2隻には、ウサギ型アンドロイドを3体ずつ配置して、修復と支援を。状況が安定次第、火星へ進路変更」


「進行ルート、確認します」


「よし。じゃあ、皆さんを第12宇宙基地へ……皆様の家族のもとへ移送を始めましょう」



救助した人たちを家族のもとへ帰すべく第12宇宙基地まで進みます。

新しい関係性ができるのでしょうか楽しみです!

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