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崖が崩れたらそこは宇宙ステーション♪  作者: Sukiza Selbi


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保護者説明会 78

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

文部科学副大臣が落ち着いた声で言う。


「本来であれば、朝はつくばまでのバス輸送をと思ったのですが」


「国家規模のことですので渋滞、事故予期せぬ事態を考慮すると」


「横須◯自衛隊基地よりオスプレイでの輸送が一番現実的かと思っております。」


と続けると、校長先生が思わず「おぉ…」と声をもらす。


「時間短縮にもなりますし、安全ですから」


「学校近くから出発できるのは、たしかにありがたいですね」


浅香先生も納得した様子。


「今回、ぜひお願いしたい理由のひとつは、“ファーストコンタクト”に近いものです。全体を通して、見届けてくれる存在が必要ですから」


と、理事長は真剣な表情で語る。


「今、私が安心して今任せられる高校生は……ゆきなさんしか思いつきません」


副大臣も静かにうなずいた。


「評判は私のところにも届いております。実績も内容も、まさにこの任にふさわしいです」


「ですが……まずは、部員保護者説明会が必要では?」


「その通りです。ですので、授業中に呼び出してしまい、申し訳ありません」


と理事長が申し訳なさそうに頭を下げる。


「いえ、理解しています。あと20分でお昼ですね」


「保護者全員に一度に話すのはリスクがあります。まずは校内放送と部内チャットで、理科部員とテニス部員を集めましょう」


「はい、理科部員には私が呼びかけます!」


「それと母に連絡します!」


そう言って、外に出たゆきなは通信バッジを押す。


「お母さん、今大丈夫?」


『はいさっ。珍しいわね、授業中じゃないの?』


「うん、文部科学副大臣が来てて、例の話の延長でご招待されたんだって」


『えぇ!素敵じゃない。さすが私の娘。行ってらっしゃい!』


「言うとおもってたわ!」


『じゃあ大丈夫ね。形だけね。20分後、“天使のテラス”に転送って言ってくれれば送るわ。周囲はステルス衛星でカバーしてあるから安心して』


「ありがとー!」


──キンコンカンコーン♪


昼のチャイムと同時に、放送が流れる。


『理科部の皆さん、テニス部の皆さんは理科部室に集合してください』


「ゆきな先輩急にどうしましたか?」


「今すぐ親に連絡して、国の緊急案件と伝えて!呼んでくれる?内容は一緒に話します!」


理科部室に集まったメンバーたち。


「こちら、JAX〇理事長。こちら、文部科学副大臣です。ご理解をいただけると嬉しいです」


みんな一斉にスマホを取り出して電話をかけ始めた。


──そのころ、えれなからメッセージが届く。


「お姉様、転送完了です」


「おっけー、お母さん門まで来てるって」


「早っ!」


「そういう母なのよ」


理科部室では、保護者が順に守秘義務誓約書にサインしていく。


「許可するわ。だってゆきなとエレナが行きたいって言うでしょう?」


にっこり笑ってサインをするお母さん。


「ただし、ちゃんとわたしの娘二名うちに返してくださいね!」


「はい、必ず!」


お母さんが帰った後、理事長が言う。


「皆さん、お疲れ様です。ちなみに、皆さんのお昼はこちらでご用意してます」


「ネイビーバーガーセット、袋入りで配給します!」


「やったーーー!!!」


「米軍基地内のハンバーガーセットだ!」


理科部室が一気に明るくなる。モグモグしながら笑顔がこぼれる。


挿絵(By みてみん)


その後、保護者たちが次々と到着。

理科部員はいつもの理科部活動ねとなれた物で全員許可が下り、テニス部も上級生は全員OK。


ただし、一年生の保護者で2名だけがNGだった。


「お土産、買ってきてあげよう!」


「……ところで、もう1人忘れていませんか?」


と、ゆきながひょこっと手を挙げる。


「誰かしら?」


「副顧問の笹塚先生です」


「あっ……そうだった!」


名簿を見た校長が苦笑い。


「ではサインを……」


サラッとサインする笹塚先生。


こそっとゆきなが

「浅香先生、これって婚前旅行ですか?」


「ゆきなさんっ!」


ぽかぽかと肩をたたかれるゆきな。

赤くなった先生がとっても可愛くて、つい笑ってしまう。


「平和って……こういうことね」


説明会が終わったのは、すっかり夕方。


「ふぅ……疲れたね〜」


「ねぇ浅香先生、帰りにショッピングモールでクレープでも食べて帰りません?」


「いいわね!」


「お姉ちゃーん、私も置いてかないでねっ」


ひょっこり現れるえれな。そしてその後ろには——


「……あれっ、みすずちゃん!?」


「うん、一緒に行こっ♪」と満面の笑顔。


「わかったわ、全部私がおごるわよ!」


「「やったー!!!」」


先生まで両手を挙げて喜んでいる。


甘いって、やっぱりしあわせだね——。


挿絵(By みてみん)


夜、メールに「全受託」の文字が並ぶ。

名簿を見ていたゆきなは、ふむふむと頷きながらスクロールしていく。


「…おっ、佐々木さんも来るんだ。楽しみが増えたわね」


「えれな、この参加者リストに道徳テストを送ってくれる? 一応、私たちにも送っておいて」


「了解しました。ただし、お姉様たちは顔認証で“自動合格”処理にしておきますね。すでに合格済みですから」


「うん、それでお願い」


「それと…この船って、自動航行モードでも移動できたわよね?」


「はい、お姉様。艦長不在でも対応可能です」


「じゃあ、先に艦長挨拶ぐらいは撮影しておかないといけないわね」


「ですね〜♪」


笑顔を浮かべるえれなに、ゆきなは少し照れたように返す。


「…でも、自分の挨拶を自分で聞くって、ちょっと恥ずかしいのよね」


「道徳テスト、全送信完了しました。それと、セキュリティカードと監視回路入りのビジターパスも作成済みです。移動の際は必携ということで」


「ありがとう。スポーツ中は仕方ないとしても、それ以外はしっかりお願いしないとね。お金も関係するし」


「ですね。でも…楽しみですね、本当に」


「うん! あ、そうだ。中央都市、海底都市、空中都市、山岳…選べる都市の案内をパンフレット形式で用意しましょうか?」


「いいアイデアですね。ちなみに、山岳都市を最初に選ぶ人はいないと思いますけど(笑)」


「最初の1日目の宿泊は、こちらでホテルを予約しておく形にするのがいいかもね。理科部・テニス部ともに海底都市スタートで、2日目は空中都市。そして宿泊は中央都市、と」


「その案、採用です。自然に2人で流れを誘導しましょう」


「…お金、足りるかしら?」


「ふふっ」


えれなが小さく笑う。


「お姉様、多分1万人来ても使い切れませんよ」


「まあ、1回目はいいとして…2回目以降はさすがに、使用分ぐらいはもらいたいわよね。招待じゃない人からは」


「ですね。何をもって対価とするか…それが課題です(笑)」


まさかの・・・自分で自分を招待するゆきなとえれな

ばれずには行けますが・・・

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