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崖が崩れたらそこは宇宙ステーション♪  作者: Sukiza Selbi


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輸送船ミラステラ 救援と人命救護  74

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

ミラステラ艦長が、ほっとしたように最後の遺書は手渡せたとの思いで微笑んだ。


「エリオットごめんね」

小さく小さく口から出た言葉


「確かにいただきましたわ。……ですがこのデータ、ご自身で渡したい人たちへ自分でお持ちになって」


その言葉に、ゆきなは小さく頷くと、すぐにえれなに指示を出した。


「えれな、戦闘制限、全解除」


「はい、艦長。シーケンス、スタートします」


機体全体がわずかに震えた。制限解除――全融合炉が90%を突破し、1号から4号までが同期開始。艦のシールドは1600%へと増幅され、クロスシールドが全周囲に展開される。


「ステルス、解除。トランスポンダー、発信しました」


ミラステラ艦長が目を見開く。


「……えっ……? まさか……」


「実はお話ししている間に、すでに到着していますの」


進行方向――前方の宇宙空間に、青い霧の中から光をまとったハナフライムが姿を現した。その外観だけで、周囲の宇宙船たちを圧倒する存在感を放つ。


挿絵(By みてみん)


「な、なにあれ……。あんな艦、見たことない……」


視覚だけでわかる、異常なまでのシールド展開と艦の存在感。


「ロック完了しました」


えれなが通信を開く。


「こちら、ハナフライム副艦長、えれなです。今すぐ引きなさい。引かないと――試験主砲の試験材料になります」


即座に返信が来た。


『そんなわけなかろう! 若い声だな? 俺の飯にしてやるわ! めしっしっしっ!』


ゆきなが少しだけ肩を竦めた。


「じゃあえれな。拡散モードで、現在見えるすべてにロックオン」


「はい。118機、射程に入りました」


ゆきなは静かに、しかしはっきりと言う。


「ここは艦長として、私が押すわ。……ロック解除、いつでもどうぞ」


「では……さようなら」


“カチッ”


青白い光が艦の側面で収束し、瞬間的に放たれた。


“チュイーーーン……ドーーーン!!”


その一撃で、118機の敵機は、光の粒と化して消滅した。


ハナフライムの下をミラステラがくぐり、残った敵艦の大型艦が動き出す。中から新たな中型、小型艦が次々と展開されていく。


ゆきなが静かに再び口を開いた。


「もう一度警告を出すわ」


「アクセラ艦に告ぐ。今の状況を見ませんでしたか? それでもなお向かいますか?」


相手の声は堂々としていた。


『見たとも。だがこちらは大型艦。中には800機以上の艦艇を展開可能。そちらこそ、降参したらどうだ? 美味しく食べてやるぞ。艦長も……若そうだな』


ゆきなは、あきれたようにため息をつく。


「……はあ……えれな、情報通りね」


「はい、お姉様。ですから自分の目と言葉で確認したかったんですね」


「めしっ! めしっ!」と至る所から不気味な通信が流れる。


敵大型艦が主砲を発射。


「直撃コースです」


「避ける必要ある?」


「いえ、大丈夫です。避けるとミラステラにあたります。」


“チュドーン!!”


爆炎が宇宙を照らす。


「ゆきな艦長ーー!」ミラステラから通信が走る。


「……ビリビリ……って、ほら、余裕じゃない?」


えれなが即答する。


「防御シールド87%。全システム、正常です」


「じゃあ――行くわよ、えれな。全ロックオン、手加減なしで」


「はいっ、艦長」


ミサイル装填。特殊弾装填 特異点1、小型レーザー砲が自動殲滅を開始。


主砲が直線状に収束し、内部貫通を狙う――


「狙います」


その後ろに実弾ミサイルを連携発射。艦長シーケンス、移行。


「では、発射!」


“ズゴォォォオオオン”


「……何が……起きた……」


「艦長、中央貫通しています。実弾、内部に停止しています」


「では忠告を無視したこと、後悔なさい」


“カチッ”


内部でブラックホールが発生する。


「特異点、20秒間発生中――」


大型艦が徐々に引き込まれ、ねじれて小さくなり……消滅した。


挿絵(By みてみん)


中型艦は、一斉に離脱を開始。


「ふぅ……何事もなくてよかったわ」


すぐに通信が入る。


「こちらミラステラ、艦長。負傷者は24名、重傷者3名、中傷12名。医療支援、希望します」


「了解。下部ハッチ、連結。医療設備との行き来を自由とする。ただし、こちらの主要区画には入れないで」


「ありがとう。……本当にありがとう。」


「落ち着いたら、ぜひお茶でもしましょう」


下部救助ユニットが接岸、圧力正常。ハッチ開放。


ゆきなとえれなが、すぐに現場へ向かう。


「艦長、重傷者、こちらです!」


カートに乗せられた3名が運ばれてくる。すぐに救命カプセルが開かれ、処置開始。


血が流れ損傷が激しい。ナノ注射で止血、カプセル密閉、治療開始。


えれなとうさぎさんロボたちが、次々と傷病者に処置を行っていく。


――1時間後。


患者たちは、安定した状態となった。


挿絵(By みてみん)


「……艦長、ゆきな……本当にありがとう……感謝しかないわ」


「いえ、救助は義務です。逆に、もし私たちに何かあれば、そのときはお願いします」


「ええ、何なりと」


その後、食堂へ案内され、ゆきなとえれなはユリア艦長と共に、あたたかいお茶をいただくのだった――。


ユリア艦長は、湯気の立ちのぼるカップを両手で包みながら、ゆきなを見つめて言った。


「それにしても……本当にすごいですね。あの超大型艦を、たった一隻で。あんな技術、見たことがございません……」


えれなが、静かにうなずく。


「こちらも想定外の事態ではありましたが、すべては艦長の判断が早かったおかげです」


「少し……離れた領域にいらっしゃるのですね?」


「ええ、星図作成のために、この周辺を調査していたところでした」


ゆきなは一瞬悩んだような表情を見せたが、すぐに声を弾ませた。


「……あの、もしよろしければ、星図をいただけますか? もし可能でしたら、勢力図も合わせて……」


ゆきなは一瞬視線をえれなに送った。えれなはわずかに微笑み、控えめに首を振る。


「本来は……機密にあたるので、お渡しすることは難しいのですが――」


と、そこでユリア艦長は軽く頷き直す。


「でも、艦長判断で特例としましょう。助け合いは、連邦が掲げる理念でもありますから」


えれなが端末を操作し、目の前に立体ホログラムの星図と勢力図が現れる。ユリアは目を見張った。


「これは……とても精密ですね……本当に、ありがとうございます」


「こちらこそ、あなたの誠実な応対に感謝します。」


ユリアは姿勢を正すと、ゆきなに向き直った。


「改めまして、私――銀河連邦、輸送艦ミラステラ艦長、ユリアです」


「ゆきな、調査船ハナフライムの艦長よ。副艦長は、えれな」


「お会いできて光栄です、ゆきな艦長、えれな副艦長」


「見る限り、あなたたちの本星はかなり遠いわね……?」


ユリアは苦笑いを浮かべながらも、頷いた。


「はい……この宙域から460銀河ほど離れたところになります。ですが、もし機会がありましたら、ぜひ一度、お立ち寄りください」


ゆきなは穏やかに微笑んだ。


「ええ、きっと行くわ。そのときは、またお茶でもご一緒しましょう」

ハナフライムの初の戦闘制限解除 とてつもないパワーで軽く捻り潰してしまいました。

今後どんどん展開が夢が進んでいきます。

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