ノアリエルとの交流 と 海中都市 65
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
「そうね、急がない限りはこれで十分ね」
ゆきなが頷くと、エレナが即座に報告した。
「種子島地下転送施設、完了しました」
「では、タグ付きの二酸化炭素、もらいましょう。倉庫へ転送お願い」
「はい。転送、完了です。続いて、エリア5◎も完了いたしました」
「じゃあ……火星まで、ワープ」
発進からほんの数秒。ワープ航法の完成度の高さに改めて驚かされる。
「ほんと、早いわね……もう着いたの?」
「はい。ゲート許可、申請します……許可、下りました」
「ありがとう。エレナ、例のご依頼のお届け物、準備して」
「かしこまりました。では、ゲートを通過します」
「通過中……完了まで2分ほどの予定です」
光の揺らめきを越えて、ゲートを抜ける。
「通過完了。……通信、来ました。中央コンピューター管理者からです」
『お荷物、ありがとうございます』
「どこに置けばいいかしら? 今回はマイナス78度で固形状態よ。かなりの量になるけど」
『指定の冷蔵施設にお願いします』と返答。マップ上に、その位置が表示される。
「わかったわ。郊外の海沿いね。エレナ、全部転送お願い」
「了解、艦長。転送、完了しました」
直後、管理者から再度連絡が入る。
『お取引の形はどういたしましょうか?』
「そちらが正当と思う金額でお願い。あと、口座の開設も依頼できる? 滞在費用なんかもそこから引き落としてもらえるように」
『かしこまりました』
「その方がウィンウィンでしょ」
ゆきなは、ちょっといたずらっぽく微笑んだ。
⸻
「今夜はあの水中都市のドーム型ホテルに泊まりたいわ。もう夜遅いし……予約できるかしら?」
管理者から、ネットワーク権限が委譲される。
「前回来たときに、スポーツの資料でテニスのルールも送ってあったんだけど……そちらにも似たような競技、あったのかしら?」
「はい、ございました。若干違いはありますが、ほぼ同じと推測されます」
「この前、見学中にテニスコートっぽい場所見えたのよね」
「……あぁ、お姉ちゃん、ここで練習できると思ってますね?」
「そうよ! こんな環境、めったにないもの」
エレナが苦笑いする中、ゆきなは続ける。
「それとエレナ、お金の管理、そっちでお願いね。必要なものがあれば、自由に使って構わないわ」
「承知しました。管理者さん、こちらの地球側の物価相場一覧を送信いたします。参考金額の算出、お願いできますか?」
『受領いたしました。明日朝までに納品査定と金額リストをご返送いたします』
⸻
ホテルの予約も完了した。
「今回は“お客様いらっしゃいキャンペーン”で、通常料金でスイートドームに泊まれるそうです」
「ラッキーじゃない!」
ゆきなは笑うと、ふと気づいたように訊いた。
「あっ、エレナ。この船って……水中、大丈夫よね?」
「もちろんです。耐圧処理済みですし、水中侵入にも対応しています」
「じゃあ、水中都市への入港許可もお願いして」
「取得完了です。ただ、久しぶりの入港ということで、密閉テストを10分ほど実施するそうです」
「了解。じゃあ、向かいながら、寝る準備ととりあえずワンピースに着替えて着いたら食事しましょ」
「はい。港は下層6番。ブーム接続式です」
「飛行機のボーディングブリッジみたいな感じね」
「その通りです」
静かに降下する宇宙船。フィンを展開し、滑らかに水中へと侵入していく――
その先には、静かな泡と光に包まれた“未知の星の夜”が、待っていた。
「では、入港いたします」
静かに船体が動き、水中ドーム都市の港へと接近していく。窓の外には、ゆらゆらと揺れる海藻と光のカーテン。建物の下は思ったよりも穏やかな海だった。
「すごいわね。海流があまり早くないのね」
「はい。周囲のフィールドで調整されているみたいです」
やがて港のブームが展開され、船体をしっかりと固定。ゲートが伸びてきて、船との接続が完了した。
「密閉チェック中……内部の酸素濃度、良好。周囲の強度スキャンも問題ありません。安全です」
「じゃあ、待機モードに切り替えてロック。えれな、行きましょう。お腹すいちゃった」
「はい、夕飯はホテルのレストランで?」
「そうね、せっかくだし。今日は料理をご馳走になりましょう」
「でも、お姉様。さきほど、キャンペーンで笑ってましたよね?」
「だって、“お客様いらっしゃいキャンペーン”って、私たちしかいないのよ? この星にいるの、ゆきなとえれなだけ! ガラガラよ、特別価格どころか、下手したらタダでもいいのよ」
「……納得しました・・・・・・」
⸻
ホテルのレストランに入ると、窓側の雰囲気ある席に案内される。静かな海中に包まれたその空間は、まるで夢の中のようだった。
「お任せコースでお願い」
「承知いたしました」
スープはまろやかで香り豊か、魚のムニエルはふっくらと焼き上げられ、そして――よくわからないけれど美味しいお肉がメインとして出てきた。
「何の肉かわからないけど、これはこれで美味しいわね」
「成分チェック済みです、問題ありません」
「よし、じゃあ寝ましょうか」
⸻
部屋に戻った2人を待っていたのは、息を呑むほど美しい景色だった。ドームの外には、漆黒の海に揺れる青い光。水中の夜は、まるで別の惑星のような静けさと神秘に包まれていた。
シャワーを浴び、ホテルの柔らかな寝着に着替える。ベッドに座ると、外の景色に目を奪われたまま――意識がすうっと遠のいていった。
ノアリエルと交流が始まります。
いくらになるかわからないのですが・・・ホテルに泊まり・・ドキドキしながら
査定を待っています。
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