理科部の紹介と新入部員・・・浅香先生の恋の行方 63
先生の恋の行方は気になっちゃうということで
今日出しちゃいます!
皆様の評価をお願い申し上げます。
幸せになってほしいなあ先生!
運動部の発表が終わり、体育館が少し落ち着いたところで――
「次は……理科部です」
その一言で、ざわっ……とざわめきが広がる。
なんと、登壇してきた理科部のメンバーは全員、JAX⭕️の青いジャージでビシッと決めていた。
「では、理科部――部長の、ゆきなです!」
声を張ると、壇上のスクリーンに映像がスタンバイされる。
「昨年の活動をまとめた動画を流します。では……スタートォーーーーー!」
♪じゃんじゃんじゃんっ!
勢いよく始まる映像に、一年生たちは目を丸くする。
ナレーション風の字幕が浮かび上がる。
「理科部、それは――この高校の叡智!」
えっ、えっ、と声が上がるなか……
画面にはJAX⭕️からの感謝状、夜空の天体観測、ロケット打ち上げの瞬間、屋久島の探検、相模原の科学施設見学、そしておなじみタコパーティ……さらには、宇宙探査のシミュレーション演習まで!
「この内容についてこれるかな!?」
画面が切り替わり、卒業生のスペシャリスト一覧がずらり。
さらにテロップが流れる。
《言えない秘密は部員のみ》
場内がざわざわし始めたところで――
すでに入部を決めた一年生2名が、元気にジャージ姿で画面に登場。
前列でわいわいはしゃいでいて、みんなから注目を集めている。
「ノリノリすぎでしょ……」と、さすがのゆきなも小声でつぶやくと、エレナも笑いをこらえている。
映像のラスト、懐かしいアトランティスパンの写真が映り――
「先輩方の想いを受け継ぎ、未来へとつなぐ」
そんな字幕が、静かに浮かび上がる。
そして最後にどーんと出た文字が……
《新入生歓迎!数学は絶対負けない》
「数学学年1位2位:みすず ・ えれな」
「挑戦、受けて立つ!」
ブッ! と吹き出したゆきなの声が響き、場内爆笑。
「もうっ……何なのよこれ(笑)」
笑いの中、ゆきなが一歩前に出て言う。
「はい、理科部です!
いろんな活動をしていますが、楽しさは100%保証します!
ちなみに顧問の先生も、元・理科部部長だったりします」
先生方が一斉に「えっ!?」と振り返る。
浅香先生がちょっと照れながら、頭をかいているのが見えた。
「私は、理科部の部長とテニス部の副部長を兼任しています。
どちらかひとつじゃなくても大丈夫、同時入部も可能ですよ。
ぜひ、ご検討ください♪」
ぱちぱちぱち……
会場から、自然と拍手がわき起こる。
配られたパンフレットは、気づけば全てはけていて、掲示していたポスターまで誰かが持ち帰るほどの人気ぶり。
トリを飾った理科部の発表だったが、寝ていた一年生たちもバッチリ目を覚まし、「これはヤバい……」とささやく声すらあった。
*
発表が終わって部室に戻ると――
すでに入口には人だかりができていた。
早速、理数に強そうな一年生が、みすずちゃんに挑戦している!
「やりすぎよ〜、ほんと……」
と、ゆきなが苦笑いしながら言うと、
「てへぺろっ」
……って、全員してる。かわいい。
あまりの可愛さに、見に来ていた先生たちも笑いながら入ってきて、
「私も〜〜っ!」
って、ゆきなも混ざって、みんなで「てへぺろ!」(笑)
部室は、笑顔と優しさでいっぱいになった――
それが、今年度の理科部勧誘の始まりだった。
「先生、日曜日どうだったの〜? デート♡」
その瞬間、部室の空気が凍る――
「ででででっ……デート!? ち、違っ――」
「いやいや、2人で出かけたらデートでしょっ!」
部員たちがワッと詰め寄る。
「だってさ〜、ゆきなさんが“鴨川行け”って言うから…鴨川シーワールドまで行ったのよぉ!」
先生、タジタジで語り出す。
「で、白イルカショー見て……イルカショーも見て……アシカショー見て……」
「シャチがすごかったわよね! 前から8列目くらいが一番迫力って言ったでしょ〜?」
「言ったけど! 言ったけどぉ! あれはもう、びっしょびしょになったわよーーっ!」
「でもぉ〜、ちゃんと私、2人分のジャージ持っていけって言ったじゃん♪」
「……あ、持って行ったわよ。で、着替えた。なんか『用意がいいですね』って褒められたし おもわず飛びついちゃったし……」
(なんだかんだ楽しんでるじゃない……)
「2人で爆笑しながら、もう最高だったわよ」
「帰りはドイツ村のイルミネーションでしょ? ご飯食べて夜景見て……で、そのあとは?」
「え……で……って何よ!」
「で・す・と・に・ー?」
「いや、帰りにね。車で送ってもらって、降りる時に言われたの」
『一緒にいると安心して、自然に笑えて……楽しいです。お付き合いしていただけませんか?』って――」
きゃあああああああーーーーー!!!
「で、で、返事は!?!?!?!?」
「……はいっ、って言ったわよっ!」
\わあああああああああああああああ!!/
\先生の時代きたあああああああああ!!/
「で、先生、誰のおかげ〜〜??」
「み、みんなの……とくに、ゆきなさん……!」
「よしっ!!! じゃあもし結婚することになったら、部員全員招待ねっ!!」
「はいっ!!」
\けっこおおおおおおおおんんんんんんんーーー!!/
ぷしゅーーーーー……
「……あ、今、精神が崩壊した音が聞こえた」
「ほげぇぇぇ……」
先生、全てを悟った顔で遠くを見つめている。
「ほら先生、はいはいその話はここまでっ!」
ゆきながスパンと区切る。
(なんか全部吐かされた気がする……)
「入部希望、今日だけで4人いましたよ!」
「おおーっ!」
「仮入部は10人よ。多すぎるから、明日から少し“しごき”入れようと思ってます」
「オッケー、やっちゃって♪」
「じゃ、明日以降に考えますね!」
その後、時計を見て、ゆきなが声を張る。
「ほらみんな、時間だよ〜! 帰るよ〜〜!」
「せんせー、おめでとー!!」
みんなに言われながら、ぞろぞろ帰っていく部員たち。
「もおおおおおお……部員全員にバレちゃったじゃないのーーーーーっ!!」
そう叫ぶ先生の声が、夕暮れの校舎に響き渡るのであった。
やりすぎ部活紹介人数は多いようですが・・・
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