ブリッジへようこそ ⑥
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
「では、次はブリッジかしら?」
「はい、ご案内します。エレベーターへどうぞ」
「そういえば、この船ってどんな構造になってるの?」
「一番下層に水関連設備と物質倉庫があります。その左半分が核融合炉、つまりメイン動力炉室で、右側には主コンピュータールームがございます」
「ほうほう」
「その上に造船・修理のためのドック。そのさらに上が上部甲板で、前方にブリッジ、後方には艦長室と副艦長室、そのさらに奥に士官室とシミュレーター室が配置されています」
「シミュレーターって……もしかして宇宙船の訓練とかできるの?」
「左様でございます。すべての操作システムには練度が必要ですので、ホログラム室で事前に確認・訓練可能です」
「へえ、すごい!今度試させてね」
「了解いたしました」
エレベーターに乗り込んだふたり 何も言わずとも自動的に認証が行われ、扉が消えるように開いた。
「行き先はブリッジでよろしいでしょうか?」
「お願い、エレナ」
ホワン、ホワンと上昇音を響かせながら、エレベーターが滑らかに動き出す。
カシャン、と静かに停止すると、そこはうす暗いブリッジだった。
「すごい、モニターの数……でも埋もれてて外は見えないのかな?」
そのとき、ブリッジ内にアナウンスが響く。
《ブリッジに艦長》
「ブリッジへようこそ」
「エレナ、センサー類すごく動いてるわね」
「はい。100%稼働は久しぶりですので、全チェックがまだ終わっておりません」
「なるほどね……それにしても暗いわ」
「申し訳ありません。現在は非常灯のみで、通常照明はまだ起動しておりません。」
「そういうことか。納得」
「艦長、現在23時です。そろそろ就寝時間となります」
「副艦長も……そうだねぇ。でも寝れるの?」
「両部屋は整備済みです。シャワーユニットもソニック仕様で、明日に備えてぜひお休みください。夜間のうちに、主要システムのチェックも完了予定です。」
「わかったわ。じゃあ、おやすみなさい」
部屋に入ると、そこには整ったベッドとシャワールーム。
「とりあえずシャワーね」
ブースに足を踏み入れると、瞬時に水分子が全身を包み、シャンプーすら必要ないほどに全てが洗い流されていく。
乾燥も、優しいイオン風でふわっと完了。
持ってきていたタオルとタオル地のネグリジェに着替え、ベッドへ滑り込む。
枕元には白いうさぎのぬいぐるみ抱きしめた瞬間、ふっと気が緩んだ。
スー……と、深い眠りへと落ちていった。
⸻
翌朝
目を覚ますと、ふんわりと明るい光が差し込んでいる。けれどここは地中、宇宙船の中だ。
ふと横を見ると、クローゼットに艦長服が丁寧にかけられていた。
袖を通すと、驚くほどぴったり。
「……オーダーメイド?」
「エレナー、おはよー」
外に出ると、彼女が音声で待っている風だった。
「おはようございます、艦長。お似合いです」
「エレナ、勝手にサイズ測ったでしょ」
「えっ、たまたまですよ。偶然です」
「このフィット感で偶然なわけないでしょ! ウエストもシャツも完璧、まるでコスプレイベントにでも出られそうよ」
「でも……かっこいいです」
「ふふ、じゃあこのままでいこうかな」
「はい。そのままでよろしいかと」
明るくなったブリッジ。通常照明が稼働し、昨日とはまるで違う空間に見える。
「おはよう〜!」
副艦長も元気に登場。
「おおおっ! すごい艦長! かっこいいじゃん!」
ゆきなも自然とポーズをキメる。完全にノリノリだ。
⸻
「ところで、起動してるけど油脂類がないんだっけ?」
「はい。必要物資が不足しています」
「オートバック◎が近くにあるはず。買いに行こうか」
「オンラインで必要商品は確認可能です。必要情報はお耳元へ」
耳元で流れるリストを聞きながら、買い物を終えたふたり。会計は10万円を超えた。
「きついな〜」と父がこぼす。
「転送してよろしいですか?」
「いいわよ」
ふわりと光が包み、荷物は船へ転送された。
やっぱり恥ずかしいわねエレナ白のワンピースへ変更できればお願い
お手洗いで転送変換してもらう。
落ち着くわーとりあえず船とかイベントの時だけにするわ
「艦長、その乗用車をスキャンいたしました。小型融合炉を搭載すれば、基本HEVでの運行が可能です。ガソリンは不要となります」
「ほんと? じゃあ……」
「スキャンデータを基に、改造を施してもよろしいでしょうか? 完了まで4日ほどかかる見込みです」
「父上様、いい?」
「いいよー、助かるわー」と、副艦長が横からにっこり。
「ただ、車検のときだけ外せるようにしといてねー」
「了解いたしました。車検条件、国の認証基準に基づき処理いたします」
「じゃあ、一回帰ろうか。近いし、今度からは家から直接転送でもいいかもね」
初めての投稿になります。
初めの1週間は早めに7話投稿 その後3日に1回ぐらいを目安としています。
書くことが初めての物語になりますので応援していただければ幸いです。