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崖が崩れたらそこは宇宙ステーション♪  作者: Sukiza Selbi


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連続ジャンプとJAX◎へプレゼント 55

宇宙を夢見る一人の女子高生と、最先端AIが導く日常。

地球と宇宙を舞台に繰り広げられる、テクノロジーと絆が交差する日常を描いた物語。

これは——とある家族と、その未来を切り拓く少女の軌跡。

静かに、しかし確かに進む“日常”の中に、宇宙の鼓動が聞こえる。

「では、起動!」


補助灯だけが点いた薄暗い艦内に、起動シーケンスが走り出す。


──1号炉、起動。

──2号、3号、4号炉、順次起動。

出力0.5%にて安定、連結開始。


──1・2・3・4号炉、同期完了。

全炉5%まで上昇確認。


「防御シールド、4層クロスマッチングスタート」

「構成、4×4──16層構造、確認しました」


「攻撃システムチェック、完了」

「自動航行システム、正常」

「周囲カメラ、コントロールチェック完了」

「360度の外部投影、開始します」


窓の外いっぱいに広がる、美しい空と地球の稜線。


「綺麗……」


「オールグリーン。起動完了しました、艦長」


「では……ハッチオープン。ステルス迷彩、開始」


──衛星へのステルス、起動。

──周囲の人間生命反応、なし。


「開放します」


「……では、行きますか。微速前進、微速前進──」


ハナフライム、発進。


音もなく、重力がふっと切り離される感覚。

上空には、あざやかな青空。

外部映像を切り替えると、自宅の屋根越しには何も映っていない。


「ほんと……まったく見えないわね」

「はい、全探知機からの検出は不可能と推定されます」


「ここで、フルスキャンしたら発見される?」


「高出力信号になる可能性はありますが……」


「なら、あの港の潜水艦、スキャンしてみて」


──360度スキャン開始。


挿絵(By みてみん)


「やはり港に漂流されています。内部、生存者なし」

「システムはオールリセット済み、内部データも消去されたように見えますが……私が復元処理いたしますか?」


「お願い、使える情報があるかも」


「はい。復元シーケンス、開始します」


──動力システム、起動完了

──出力上昇、内部記録の復元を開始


「製造元、判明しました。命令系統、全記録復元中」


「ふふ、まぁ想定どおりだけど……これで“証拠”が揃ったわね」


「本国との通信ログ、暗号形式で復元成功。相手からの指令は、すでに無効化を実行済みです」


「ありがとう。じゃあそれ、“例のアカウント”からセキュリティホール経由で、ロケットシステムに入れておいて」


「了解。発見者からの“プレゼント”として登録完了です」


「こっちの痕跡は?」


「不可能です。完全なカモフラージュとプロキシ経由で処理しています」


「……少しでも、あの国が“世界平和”に向けて動いてくれたらいいんだけどね」


その時──


「艦長、速報です。国際発表がありました」


「内容は?」


「軍用潜水艦が一隻行方不明。軍の一部が暴走し、命令違反を犯して逃走中……という声明が発表されました」


「また“切り捨て”か……。よくない傾向ね……」


「日本政府からも、公式声明が出されています」


「今朝早朝、身元不明の潜水艦を発見。現在、広島近海にて、内部の捜索中」


エレナがすっとモニターに表示を切り替えながら言う。


「……もう、復旧した内容、見てる?」


「はい、見てます。該当データはすべて復元済み。某国の所属であること、正式な命令書の内容まですでに確認されています」


ゆきなは静かにうなずき、カップに手を伸ばす。


「……じゃあ、とりあえず。地球をぐるっと一周してみましょうか。少し気になるものもあるし」


「もうひとつの融合炉の反応ですね?」


「そう。前から気になっていた……あの強い反応。あれ、砂漠の地下にあるように感じるの」


「確認します……該当エリア、**“エリア5⭕️”**と入り口に記載がございます」


「やっぱり。では、向かってみましょうか」


ハナフライムが音もなく、地球周回軌道を移動し始める。


「上空よりスキャン開始します」


しばらくして、エレナが静かに報告する。


「……おそらく実験施設の集合体です。地下およそ120mの地点に、小型の実験炉と、さらにその奥に改良型の制作ユニットが見えます」


「なるほど……どちらが進んでいるかというと……“どっちもどっち”ね」


「はい。日本側は“実用性”と“安全性”を第一に、徐々に改良を重ねているように見えます」


「一方、こちらは“まず作ってから”の即時改良型……そのままどこまで伸びるか、可能性重視のアプローチね」


「まさに性格の違いが出ていますね」


ゆきながふと画面に視線を寄せる。


「ここの施設……私のカードで入れるのかしら?」


「入り口のセキュリティは、艦長のカードで“部分的に”認証可能と出ています」


「まぁ、入口だけでも十分。“中”に入るには、また連絡が必要そうね」


「守秘義務契約はすでに締結済みですし、交渉の余地はあると思います」


「エレナも、実物、見てみたいでしょ?」


「はい。実際に動作している融合炉、ぜひこの目で確認してみたいです」


その時だった。


「……あ、アラートです。未知のレーダー測量反応を検知しました」


エレナの指が素早くパネルを操作する。


「感度が高い……この波形、観測では最先端レベルかと思われます」


「世界の“技術の最前線”……ね。でも、位置は?」


「特定はできていません。一瞬の反応でしたので、照準も難しいです」


「ふぅん……じゃあ、今度改めて、連絡してみましょう。**“旅行ついで”にね」

「はい。もしまた見学できれば、きっと新しい発見があります」


ハナフライムは静かに、地球の影に身を隠すように周回を続けていた。


そしてふたりの会話もまた、穏やかな好奇心と、世界の行く末を見つめる冷静さが交差していた。


「では……宇宙空間に移動します」


静かにハナフライムが上昇。

青い地球がゆっくりと小さくなっていき、星々が瞬き始める。


「……綺麗ねー」


透き通るような宇宙の闇に、無数の光点が浮かぶ。


「前の救助の時も綺麗だったけれど……今日はまた格別だわ」


「はい。今回は“戦い”ではなく、“観測”。少し余裕がありますから」


「じゃあ、せっかくだから。シュミレーションの小型調査船と比べて、惑星ごとの性能差、見てみましょうか」


「了解しました。それでは2基の融合炉を60%出力で稼働、連続ワープを実施し保護フィールドは4基同時発生による16層クロスマッチで展開します」


「最後は……火星にしてもらえる?」


「承知いたしました、艦長」


エレナが指先でワープ制御パネルに触れる。

光のリングがエンジン後方に展開され、静かに点灯。


「エンジン出力リンク、完了」


「では──太陽系から順に。太陽、水星、金星、冥王星、海王星、天王星、土星、木星……そして火星まで」


「連続ワープ、開始」


挿絵(By みてみん)


次の瞬間、光の線を描いて、ハナフライムは瞬時に“空間を跳ぶ”。

星々の位置情報が高速で切り替わっていく。


「うわ……火星まで、まだ30分も経ってないじゃない……!?」


ゆきながモニターの時計を確認しながら、思わず息をのむ。


「小型調査船のシュミレーション時は、全部5時間かかってましたから……ハナフライムの速度、10倍超えです」


「それも、まだ60%出力なんでしょ?」


「はい。80%以上は戦術領域想定なので、通常運用ではこれが最適です」


窓の外に、赤茶けた星――火星が見えてくる。


「火星って……こんな色してたのね」


「はい。大気は薄いですが、リアルな赤みはやはり美しいです。

撮影しますか?」


「うん、お願い。せっかくだから、地球との“距離”を感じておきたい」


「了解。ハナフライム、周回軌道に進入。観測モード、切り替えます」


連続ワープを終えた艦内は、まるで銀河を渡る遊覧船のように静かで落ち着いた雰囲気に包まれていた。

本気のハナフライムはすごかった・・

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お好きなところにアクションをお願いします。

ゆきなとえれなの ほんわか 日常を楽しんでいただければ幸いです。

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