ステーションの構造 ⑤
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
動力炉へ
歩きながら広いドックを抜ける。
「この下に動力炉がございます。ご確認されますか?」
「もちろん。詳しくはわからないけど、見てみたいわ。」
「ではこちらのエレベーターに、艦長バッジをかざしてください。」
「珍しいわね。」
「通常は不要ですが、ブリッジと動力炉はアクセス制限がございます。副艦長もお願いいたします。」
後ろでは副艦長が宇宙船を見上げて目を輝かせていた。
「はいっ!」
そう言って、手をつなぎながらバッジをかざす。
「艦長、副艦長を認識しました。機械室の再チェックを行います。完了。放射線レベル、許容範囲内です。」
エレベーターが降下し、フワリと揺れる。
「エレナ、ここ…どれくらい深いの?」
「約160メートルです。このステーションは運用型でドック造船が可能な構造になっております。」
「そういえば、このステーションの名前って何ていうの?」
「以前は翻訳不能でしたが、調査の結果、由来が判明しました。名前は…『宇宙調査ステーション・アトランティス』です。」
「えっ…あの、水の都市って言われているアトランティス?」
「はい。水没時代の伝承なども含め、諸言語のニュアンスから、その名が適切と判断されました。」
伝説の都市、アトランティス――それは、ここに実在していたのだ。
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機関室にて
到着したのは、機関室。
中では、ウサギのような形をした可愛らしいロボットたちが、せっせと作業していた。
「わっ…! びっくりした…!」
こちらを一斉に振り返ったかと思うと、全員が揃ってお辞儀。
「艦長、入室おかえりなさいませ。」
片言の発音がどこか微笑ましい。
「エレナ、この子たちって?」
「保守メンテナンス用のロボットです。物理的な修理・運搬などを担当しております。」
「可愛い…抱きしめてもいい?」
「お声がけいただければ問題ありません。」
目の前のロボットに声をかけると、クルリとこちらに向き直り、まるで「どうぞ」と言っているかのように待っていた。
ぎゅっと抱きしめる。ふわふわしていて、まるでぬいぐるみのようだ。
「今度、休憩モジュールにお邪魔してもいいかしら?」
「ロボットたちも嬉しそうです。歓迎したします。」
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動力炉の説明
「…大きいわね。」
右側には巨大な融合炉が鎮座していた。
「こちらは宇宙空間型大型炉です。ステーション全体の航行に使用されます。起動中は他の補助炉は最低限に抑えられ、これ一基で全機能が稼働可能です。」
「左側のこれは?」
「右側の1/3サイズの炉は補助炉です。通常航行は可能ですが、ワープ出力は不足します。ただ、この1/4出力でも100メートル級の艦を動かせますので、出力の規模がご想像いただけるかと。」
「なるほど、わかりやすい説明ありがとう。あのシールド、なに?」
「放射線の漏出防止です。青白く見えますが、直視は避けた方が安全です。」
そこへヘリウムガス管が並ぶ。
「副艦長、この小さいタンクにも移してもらえる?」
「了解しました。ご指定のタンクに移動いたします。」
ロボットたちが元気よく搬送を始めた。
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補給と異常反応
「エレナ、このエンジンも作れるの?」
「原材料の大半は揃っておりますが、油脂類の合成原料が枯渇しており、それが400万年前に廃棄されております。」
「なるほど…。補充が必要なのね。」
その時、「ピピッ」と警告音が鳴る。
「どうしたの?」
「驚かせて申し訳ありません。水処理機能がリセットされ、清掃が完了しました。調査の結果、周囲にミネラル豊富な湧水が存在していることがわかりました。今回はその余剰水を利用したいと考えております。」
「いいじゃない。あの湧水、美味しいのよね。いつも溢れてるし、少しずつもらえばいいと思うわ。」
「承知いたしました。補給を開始いたします。」
初めての投稿になります。
初めの1週間は早めに7話投稿 その後3日に1回ぐらいを目安としています。
書くことが初めての物語になりますので応援していただければ幸いです。