ひいおばあちゃんへ秘密の開示 46
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
「地球が、平和に手を取り合える世の中になってほしいですね、お姉ちゃん」
「ほんとね〜。……でも、まだまだ、かもしれないわね〜」
なんて、ぽつりとこぼすゆきな。
地球規模の連携のきっかけを作ってしまったのは、実のところこのふたり——ゆきなとエレナだった。
◇ ◇ ◇
そしてその夜。
ふたりは秘密基地でぐっすり爆睡。
珍しく昼頃、ゆきなのウォッチが振動した。
「……ん〜〜……なに……?」
画面を見ると、「お母さん」からの着信だった。
「ゆきな〜? 今どこ〜?」
慌てて電話にでると、第一声が笑い声だった。
「連絡くらいよこしなさい!」
「ごめん〜! 居心地よくて……寝ちゃってた〜!」
「どうせ夜まで空見てたんでしょ。わかるわよ、あんたの行動パターン」
「えっ、なんでそんなわかるの……」
「……聞いたわよ。国際宇宙ステーション奇跡の復活。今ニュースで持ちきり!」
「えっ」
あわてて秘密基地のリビングのピッ モニターを起動。
テレビをつけると、まさに大ニュースになっていた。ただし——
「救助者の情報は出てない……情報統制ね」
「あ、そうだ。ひいばあちゃん家、寄ってから帰るから、17時くらいになる〜」
「はいはい〜。ついでに⭕️山コロッケ買ってきて。あの有名なやつ!」
「わかったわ〜!」
電話を切ると、ゆきながエレナに向き直る。
「じゃあ、エレナ。ひいばあちゃん家の裏庭、勝手口へ転送お願い」
「了解です。座標ロック完了、転送します♪」
シュワン!
ふたりは柔らかな光に包まれ、勝手口前に現れる。
ゆきながドアを勝手に開けながら、大声で呼ぶ。
「おばあちゃ〜ん!」
「まぁまぁ、ゆきなちゃん! 昨日ぶりねぇ。よく来てくれたわ〜。最近会えて嬉しいわよ〜」
「今日はひとり?」
「うんうん、みんな遊びに出かけてるみたい。ひとりよ〜」
「……じゃあ、行ってみる?」
「行く?」
「秘密基地の本当の姿、見せるね」
「……まぁ! おじいちゃんにも色々ワクワクさせてもらったけど、歩けないのがちょっとねぇ……」
「そこは心配ご無用! ね、エレナ?」
ウインクをするゆきなに、エレナも微笑んで応える。
「はい。ぜんぜん大丈夫です」
そして3人は手を繋ぐ。
「いきますよ〜♪」
「サーチ完了、転送開始します」
シュイィィン——
瞬間移動した先では、うさぎさん型サポートロボットが2匹、可愛らしくおばあちゃんをサポートする。
「まぁ〜〜! 可愛いこと!」
「一瞬でしょ。秘密ね♪」
「うふふっ」
おばあちゃんは、まるで少女のような笑顔でうなずいた。
そのまま玄関へと案内され、扉を開けると——そこまでは普通の建物。
だが、ゆきながウォッチの艦長バッジに軽く触れると、床が静かに開いてエレベーターがせり上がる。
「わぁぁ! すごいわねぇ〜!」
「では、中へどうぞ、おばあちゃん」
エレナ、ゆきな、おばあちゃん、そしてうさぎさん2匹がエレベーターで降りていくと、そこは——
秘密司令室。
静かに照明がアップし、周囲のモニターや操作盤が青く光を放つ。
「また……えれぇもん作ったなぁ……」
おばあちゃんは目を丸くして、しみじみと天井を見上げた。
「……おじいちゃん、間違ってなかったわね」
「あっ、あそこにある! 懐かしい……おじいちゃんの研究ノート」
ガラスケースに大切に保存された、あのノート。
「おばあちゃん、横から上を覗いてみて」
「わぁぁ……」
見上げた先には、整備中の宇宙船が静かに鎮座し天井を開けていた。
「これ、まだ調整中なんだけど……どこか行きたいとこある?」
「うふふ……あっ、そういえば思い出した! あのノートの……何ページだったかねぇ……200超えてたと思うけど、おじいちゃんが『未知の物体が浮遊してる』って書いてた気がするのよ」
「今度、時間あるとき、連れてってくれない?」
「もちろん。完全完成したら、お呼びするわ」
「っていうか……このバッジあげる!」
「えっ?」
「これね、ここに向けて“行くよ”って言えば、飛ばしてくれるわ。……ただし、誰もいないときにね?」
「ふふふ……わかったわ。ありがとうね〜」
「じゃあ、おばあちゃん。もうひとつの秘密、見せるわよ?」
「……あだ、あるんかい」
エレベーターが上昇しきって扉が開くと、目の前に現れたのはまさかの看板。
《大浴場》
しかも、その奥にはちゃんと脱衣スペースも備えられた通路が広がっている。
「おばあちゃん、大浴場、とな……!」
「うふふっ。ほら、行ってみよ!」
3人で奥の扉を開けると——
そこは宇宙空間のパノラマ映像が広がる、まるで星々に包まれたような幻想的な大浴場だった。
「わぁ〜〜〜! すごいお風呂だべぇ!!」
「おばあちゃん、せっかくだから一緒に入って帰りましょう」
「んだな! そうさせてもらうか〜!」
服を脱いで、3人でゆったり肩までお湯につかる。
「えれな、背中流してくれる?」
「はい。ゆきなお姉様も、どうぞこちらへ」
「あ〜〜〜〜〜〜、生き返るわぁ……!」
お湯はぬるめで長風呂向き。まるで星のなかにいるような、静かな時間が流れる。
洗いっこをして、体も心もぽかぽかに。脱衣所には転送で届けられた新しい服が整然と並んでいて、さっぱりと着替えてリビングに戻ってくる。
3人で並んで座りながら、あたたかい紅茶のカップを手にする。
「おばあちゃん、元気でいてね」
「うんだ……でももう106歳だかんねぇ……いつぽっくり逝くかわからんけど、今日はほんにええもん見せてもらったわぁ」
「また連れてくるから、長生きしててね」
「ありがとよぉ……」
ふと時計を見ると、そろそろ戻る時間。
「じゃあ、帰ろっか?」
「んだんだ。いつでも来れるってのが、またいいわねぇ」
「じゃあ、練習してみて。バッジに声かけて」
おばあちゃん、胸元のバッジに小さくつぶやく。
「……戻るべ〜」
シュワン!
一瞬のうちに3人は、おばあちゃんの家の居間に戻っていた。
ちょうどそのタイミングで、玄関が開く。
「おばあちゃ〜ん、ただいま〜……って、あれ?」
「おじちゃん帰ってきた! じゃ、私たち、戻るね!」
「はいはい〜、また遊びにおいで〜!」
手を振るおばあちゃんに、2人は手を振り返して——
「エレナ、コロッケ買っておうちに帰りましょ」
「はい!」
シュイン!
次の瞬間、秘密基地の転送室を経て、自宅のリビングへ帰還。
「ただいまー」
そこには、いつものお母さんの声。
「おばあちゃんと遊んできたのね〜?」
「昨日も会ったでしょうが〜!」
「いいのいいの〜、でも……おかえりー!」
笑いながら、エプロン姿のお母さんが振り返る。
「今日の晩ごはん、何作る〜?」
「うーん……コロッケもあるし、スープも欲しいな〜」
「任せなさーい!」
そうして、世界を巻き込んだ大事件から一転。
ふたりはまた、**ほっとする“いつもの日常”**へと戻っていったのだった。
平和が一番です!
暑いですね… 皆様は夏休みお盆休みどちらかお出かけしますか?
私のお勧めは田子瀬浜海水浴場 シュノーケル・ダイビング・海最高です。
本来宇宙船まではと思いましたが・・毎日投稿・・・とりあえずできる限りガンバリマス。
ブックマーク! 評価! よろしくです!
ゆきなとえれなの ほんわか 日常を楽しんでいただければ幸いです。




