全校集会での表彰 39
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
浅香先生が静かに、けれどもどこか熱をこめて話していた、あの言葉。
「でもね、ここだけの話にしておいてほしいんだけど……」
声をひそめたそのトーンが、逆に心に響いた。
「ゆきなさんが入らなかったら、理科部は、廃部だったかもしれないのよ」
「……えっ?」
「あなたが体育館での部員勧誘発表で、あんなに楽しそうに話してくれたから、6人も新入部員が入ったの。ほんとうに、感謝してる」
「そんな、大げさですよ……私、ただ、楽しかったから」
「そう。その“楽しい”を伝えてくれたのが、何より大きかったの」
先生は優しく笑った。
ゆきなは思った、そういえばここに来る前に通った先生の机いろんなものおいてあったなあ
そんなことを思ってると
「いろんな卒業生もいるのよ。機械工学に進んだ子、システムのスペシャリスト、スーパーコンピューターの開発に関わってる子まで」
「うわあ、一度会ってみたいです!」
「ふふっ、来年の一年生が入ったら、夏休みに合宿をして、そのときに招待しようと思ってるの」
「ほんとですか? それ楽しみすぎる……!」
「それともう一つ、私の“内緒話”も、そのときに教えてあげるわ」
「えーっ、なんですかそれ! 気になるじゃないですかぁ!」
2人は笑い合った。
「でも、中学三年生が2人も入ったのは大きいわね。うわさが広まったら、来年はもっと増えるかも」
「理科部が……うちの高校で人数多い部になる日も近いですね」
「ね。そうなったらいいわよね」
「先生、あの2人……数学やばいですよ」
「うん、私も見てて思った。あの子たち、すごい」
「来年、“数学甲子園”に出場しませんか? 私なんて普通ですけど、人数合わせにはなれますし」
「いいアイデアね。予選はたしか夏よね?」
「はい。ただ、うちの県には……最強の強豪校がいますけど」
「ふふふ、勝てるかどうかはともかく……2人を信じましょう」
「ですね。なんだか、これからがますます楽しみですね!」
「うん!」
そんな会話の最中――。
「先生方、朝礼3分前です」
「えっ、やばっ!」
ガタッと椅子が3つ、同時に鳴った。走って職員室を出た先生たちを見送りながら、ゆきなも慌てて教室に戻る。
窓際で、エレナが手を振っていた。
「お姉ちゃん、何だったんですか?」
「んー、内緒!」
「えーっ!」
周りの友達がざわざわと騒ぎ出す。
「理科部のことよーっ!」
そう返すと、「ふーん」「やっぱりかー」なんて声が聞こえてきた。
* * *
「皆さん、体育館へお願いします」
始業式のアナウンスが流れる。ぞろぞろと全校生徒が体育館へ向かい、整然と列を作って座っていく。校長先生や教頭先生のお話が続く中、終盤にさしかかったところで、校長先生の声が一段と明るくなった。
「続きまして、表彰を行います」
「表彰?」ざわつく中で――。
「理科部部長、ゆきなさん」
「えっ!? 何も聞いてない!」
「前へどうぞ」
「はいっ……!」
驚きつつも、ゆきなは立ち上がり、みんなの視線の中を前へ進んだ。
「この度、JAX⭕️より、理科部の活動、文化祭の発表、相模原事業所の見学及び理科部活動の研究に対し、今後の期待が寄せられました」
「理科部の皆さんのこれからの成長を心より願うとのことです。校長としても誇りに思います。こちらを理科部にぜひ飾ってください」
感謝状を受け取りながら、胸が熱くなる。
続いて名前が呼ばれたのは――。
「ゆきなさん、そして、えれなさん。お2人、前へ」
「えっ、私も!?」
エレナも緊張気味に前へ出てくる。
「プロアマYテニス大会・中級クラスにおいて、見事優勝。これを讃え、テニス部は“強化指定部”として正式に認定され、今後、学校からの支援が行われます」
拍手が響く中、えれなと顔を見合わせ、ゆきなは微笑んだ。
表彰状は、美しい青の額に入れられていた。名前が光って見える。
席に戻ると、教室で待っていたみんなが口々に言う。
「ゆきな、どこまで行くのよー!」
「なにがよー!」
「何もしてなきゃ、こんな表彰もらえないでしょー!」
そこに先生が入ってくる。
「みんなー! ゆきなさんを見習いなさーい!」
「えー!」と声があがりつつ、笑いが教室に広がる。
その後、ゆきなはしっかりと、部昇格の通知をテニス部長に手渡しに行った。
部長の石塚さんは目を輝かせながら、ガッツポーズで応えてくれた。
春は、まだ始まったばかり――。
放課後の理科部部室は、柔らかい夕陽に照らされていた。
静かな空気のなか、ゆきなは新しい表彰状を両手で持ちながら、壁の一角に歩み寄る。
すでに飾られていた二枚の表彰状の隣――。
その中でもひときわ目を引く、鮮やかな青の額縁に入った感謝状が、そっと加えられる。
「……佐々木さん、何も言ってなかったのになぁ」
ぼそっと呟きながら、ゆきなはふと笑った。
「今度電話してみようかな」
そのとき――
「せんぱ〜いっ!」
元気な声とともに、女子部員たちがわらわらと部室に入ってくる。
「わあ、すごい!」「なにこれ綺麗〜!」
表彰状の前で感嘆の声をあげ、みんなで眺めながら目を輝かせていた。
「なんだか、すごいですね…」
「ううん、みんながすごいのよ。だからこそもらえた賞。これからもどんどん楽しんでやっていこうね!」
笑顔の輪が広がる中、ゆきなはふっと真剣な表情になる。
「新年早々ですが、皆さんに発表があります」
一瞬、部室が静かになる。
「まだ計画段階だけど……春休みに、先輩を送る会って毎年やるでしょ? でも、今年は先輩がいません!」
「……?」
「だから代わりに! 種子島に発射見学に行きますっ!」
「えーーーーー!!??」「ほんとですか!?」「行きたいですっ!」
大歓声が上がる。
「本当よ。春休みに発射予定の新型ロケットを見に行くの。旅費の半分は部費から支給されるから、自己負担はおよそ3万円くらい。ただ、宿泊費は別よ」
「親に確認しなきゃ〜」
「それから、可能なら……隣の屋久島にも行きたいなって。予算次第だけど、みんなで計画立てていこう!」
そこに、浅香先生がタイミングよく部室に入ってくる。
「あら、もう話してたのね。まだ確定じゃないけど、その予定で進めてます」
「先生、屋久島の話もしました!」
「まあ、夢が広がるわねぇ〜」
にこやかに頷く先生。
「あと、学校から理科部へ“特別賞”として支援金20万円が出ることになりました!」
「えぇー!?」「すごい……!」
「だから、実質、自己負担は1〜2万円くらいになるかもしれません。まだ調整中だけどね」
「うれしすぎる……!」
「でも皆さん、親御さんには必ず軽く伝えておいてね。正式な案内は後日になりますから〜」
種子島…屋久島・・・ わたしがいきたい・・・との気持ちです・・!
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ゆきなとえれなの ほんわか 日常を楽しんでいただければ幸いです




