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崖が崩れたらそこは宇宙ステーション♪  作者: Sukiza Selbi


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まさかの長距離旅行(初めての新幹線) 36

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

朝、家に戻ると、すでに家族は準備万端だった。


「えっ、今日旅行だよね? 車じゃないの?」


「そうだよ〜」とお母さんが笑う。「いつものハワイアン風とか草津とか伊香保、箱根あたりかと思ってたでしょ?」


「今年はね、特別だよ」とお父さんがにやり。


毎年恒例、“お父さんミステリー旅行”の始まりだ。どこに行くのかは、当日まで誰にも明かされない。


駅に着き、新横浜。えっ、新幹線……!?

渡されたチケットに驚くエレナ。


「すごいです……!」


その目に映るのは、美しい流線型の車体と、ピタリと時間通りに出発していく前の列車。


「こっちだよ〜」とお父さんが手を振る。指定席の車両へ整然と並び、やがて「プシューッ」と音を立てて新幹線が到着した。


挿絵(By みてみん)


「お父さん、いい席取ったね」


「だろー♪」と笑う父。進行方向右側、2列のゆったりシートに座ると、列車はまるで音もなく加速していった。


「はいっ、お姉ちゃんこれなーに?」とエレナに渡されたのは、「しゅうまい弁当」と書かれた包み。


「横浜名物よ。こういう時に食べると本当に美味しいのよね」とゆきなが微笑む。


開けてみると、たけのこ、あんず、魚、そしてまだほんのり温かいしゅうまいが並ぶ。エレナは感動しながらひと口。


「おいしいっ! サクッとして、すごく……!」


「でしょ〜?」とゆきなが笑う。


車窓から見える富士山がどんどん大きくなる。「お姉ちゃん、前に見た富士山と景色が違います」


「前は逆側からだったからね。こっちはこっちでまた美しいのよ」


家族みんな、のんびりと流れる景色を眺めながら、名古屋、京都、大阪、新神戸へ到着。


「お父さん……真面目に、ここまで遠いとは……」


新神戸からバスに乗り継ぎ、旅館に着いたのは午後2時ごろ。


「……あれ?」


ゆきなが玄関で、誰かが手を振っているのに気づく。


「えっ、まさか!」


「わぁぁあああ!」


「あけみおばあちゃーん!」「かおりおばちゃん!」「おじさん!」


「従兄弟たちまで!」


有馬温泉で待っていたのは、なんと親戚一同だった。


「サプライズだよ〜♪」と満面の笑顔のおばちゃん。


「その子が……? あぁ、うわさの……かわいいねぇ。ゆきなそっくり!」


驚きつつも温かく迎え入れられ、いつの間にか“家族”として馴染んでいたエレナ。


チェックインの後、有馬の温泉街をみんなで散策。「わぁ、なんかぷくぷく焼いてる」「炭酸せんべいね〜」とにぎやかに頬張る。寒さで赤くなった頬を、足湯でゆっくりと温める。


挿絵(By みてみん)


そして、旅館に戻ると「ご飯は19時からよ〜!」とおばちゃんの張り切った声。

その前に、女5人で温泉へ。


「お姉ちゃん、このお湯、茶色いですね……?」


「金の湯って言うのよ。有馬温泉ならではね」


湯上がり、みんなの頬はほんのり桃色。


「さあ!準備して、晩ごはんよおおおお!」


旅の夜はまだまだ、にぎやかに、温かく続いていく――

19:30 別室の食事会場にて


扉を開けると、まばゆいほどに美しく整えられた食卓が広がっていた。

小鉢に盛られた色とりどりの料理が、丁寧に並べられている。各テーブルには、今夜のコースの流れが書かれたお品書きと、子ども用のジュースリスト、大人用のお酒リストが添えられていた。


「自由よ〜席は!」という声に、子供たちは「わああ!」と歓声をあげながら、思い思いの席へ。


椅子付きのお座敷の造りは、おばあちゃんやおじちゃんにも優しい配慮が感じられる。


エレナも、出てくる料理一つ一つに目を輝かせていた。

生まれて初めて味わう、料理人による本格的なコース料理。

目を丸くして、美味しそうに一口一口を味わうエレナの姿に、周囲の大人たちは思わず微笑んだ。

それは、とても自然で、純粋な幸福のかたち。


「お姉ちゃん、お姉ちゃん! すごいですっ!

これが……プロの仕事というものですか?」


「そうね。料理人さんのすごさが、全部お料理に込められてるの。

すごい鍛錬と繰り返しの努力、そして伝統の継承……本当に素晴らしいわよね。」


エレナは、深くうなずいた。


「えれな、いろんなことを吸収して、道徳を重んじて、人間らしく生きられるエレナになればいいなって……思うのよ」


その言葉は、エレナの心に静かに刻まれた。


そして夜。

食後もイベントは終わらない。


23時には、なんと“特別ラーメンタイム”があり、みんなでわいわい夜食を堪能。

そのあとは、卓球、ボーリングと、まるで合宿のように盛り上がる一家だった。



翌朝 6:00


ふっと目を覚ました、エレナを、ゆきながそっと起こす。


「朝日のぼるところを見ながら、お風呂行かない?」


「はいっ!」とエレナは飛び起きる。


静かな廊下を抜けて露天風呂へ行くと、そこにはなんと、おばあちゃんとおばちゃんの姿も。


「まあまあ、息ぴったりね〜」と笑いながら、朝から女子会のような和やかなひととき。


挿絵(By みてみん)


お風呂からあがってのんびりしていると、旅館の朝ごはんの時間がやってきた。


部屋に戻ると、他のみんなも起き出していて、全員で食堂へ。


和食中心のお膳が並び、湯豆腐、焼き魚、温泉卵、地元野菜のおひたしに炊き立てご飯——


「お姉ちゃんお姉ちゃん! この朝ごはん……すごいです!」


「ね。頑張って、また来ようね」


「はいっ!」


朝から感動しっぱなしのエレナだった。



チェックアウトの後、最後の思い出に「銀の湯」へ立ち寄る。

「ここは炭酸泉なのよ〜」と、みんなで温泉街の最後を満喫。


新神戸駅で、それぞれが別れのときを迎える。


おばあちゃんたちは九州方面へ。

おばちゃんたちは車で隣県へ。

私たちは、新幹線で帰路につく。


「また来年も会えるといいね〜」と手を振り合い、先に出発する家族を順に見送っていく。

おばちゃんと最後に、ぎゅーーっと抱きしめ合って、新幹線へ乗り込む。


今度の席は、海が見える側。


静かに過ぎていく景色の中、たっぷり詰まった思い出を思い返しながら、家族はゆっくりと帰っていった。



家に着いたのは、夜の9時を回っていた。


簡単な晩ごはんを食べ、みんなは“バタンキュー”。

エレナも、ほんの少しだけ「お風呂どうしようかな……」と迷っていると、


「えれな〜」と、ゆきなが顔を出す。


「艦長室のソニックバスで一瞬に終わらせちゃいましょ」


「了解です、お姉ちゃん!」


転送されるようにシャワーを終え、パジャマに着替える。

再び居間へ戻ると、お母さんとお父さんが入浴を終えて、ふわふわと布団へ。


ゆきなはそのまま“ほえほえモード”で布団に滑り込んでいった。


「エレナ〜、またズルしちゃった〜」と笑いながら、そのままスースーと寝息が聞こえてくる。


「お姉ちゃん……おやすみなさい」


思えば、ひいばあちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばちゃん、従兄弟たち……

先生、先輩、同級生、ご近所の人たち。

多くの人たちに支えられて、また支え返して——


エレナにとって、“初めての家族旅行”は、宝物のようにまぶしく、心に残る日となったのだった。



初めての新幹線 初めての駅弁 遠くにいる親戚のふれあい

その後の物語が始まっていきます。

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ゆきなとえれなの ほんわか 日常を楽しんでいただければ幸いです

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― 新着の感想 ―
横浜の住人ならきちんと『シウマイ弁当』と・・・(笑)
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