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崖が崩れたらそこは宇宙ステーション♪  作者: Sukiza Selbi


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33/178

綺麗な大浴場計画と大晦日 33

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

しばらく、みんなでのんびりと湯に浸かる。

体も心もゆるゆるとほどけていく時間だった。


「……もし一人だったら、これちょっとシュールかもね……」


と、ゆきながぽつりと呟くと、


「艦長、景観を岩だけでは寂しいので、外窓に宇宙空間を映しますね」


パネルが変わり、視界に広がるのはキラキラと輝く星々。

吸い込まれそうなほどの宇宙の深みが、湯気の中に浮かび上がる。


挿絵(By みてみん)


「……最高ね、エレナ」


「お母さまとお料理も楽しいですが、私も一緒に入りたかったです」


「ふふ、じゃあ提案。あのね、秘密基地の裏山、面してるとこあるじゃない?」


「はい、ありますね」


「あそこに入口作って、ここと繋げるの。湯上がりに秘密基地から直行でここ、どうかしら?」


「また大胆な……ですが、恒常的に接続すると電力負荷が高すぎます。代替案として、扉をくぐった瞬間にこちらへ転送、という方式でよろしいですか?」


「それ最高じゃない! 温泉直通ルートね」


「了解しました。うさぎさん用の入り口も設け、設計に反映いたします」


「ありがとう、えれなっ!」



「キレイキレイしたー! 次いくのー……でも、そろそろおねむなのー」


うさぎさんたちが眠たげにあくびをする。


「うん、じゃあ戻ろっか。また船のこと、教えてくれる?」


「いつでもおいでなのー!」


ほかほかのまま服を着替えると、うさぎさんたちが手際よく髪の毛を乾かしてくれた。


「ありがとー、また来るねー!」


「またねーーーーー!」


たくさんの手が、わらわらと元気よく振られる。

エレナの声が耳元に届く。


「転送、よろしいですか?」


「よろしく、えれな!」



シュワン――と軽やかな音とともに転送が完了し、ゆきなは自宅のリビングに戻ってきた。


「ただいま〜!」


「おかえり〜! マグロ丼、もうすぐできるわよー」


「お風呂、入ってきたよー」と笑うと、母が振り向いて、


「早いわね、もう少しよ」


ゆきなはふと、ウィンクを送った。

エレナも内心で微笑んでいるのが、なんとなく伝わってきた。


「ほんと、心休まる……うさぎさんたちだったわねー」


翌日は大晦日。我が家には、風邪をひかないための恒例行事があるのだ。

それは、わざわざ山梨まで行って、甲州名物の「ほうとう」を食べ、富士山を見に行くという行事。


「よーし、しゅっぱーつしんこー! 目標は11時到着よー!」


9時過ぎ、みんなで車に乗り込む。今日はテニスもお休み。年末の家族行事に向けて、気合いも十分。


「わぁ、富士山、今日めっちゃ綺麗だねー!」


車窓に広がる壮大な富士を見て、ゆきなが嬉しそうに声をあげた。


「お姉様、すごい大きいです……。遠くから見ると流線型で美しいですが、近くからだと本当に迫力がありますね」


「でしょ? 日本人はみんな、富士山に心を奪われるのよ。だからエレナももう日本人ね♪」


「俺は興味ないけどな〜」と弟がぽそり。


「お前は宇宙人か!」とツッコミが入る。


「いいなぁ、モビル○ーツ……乗りたいなあ」


「なら夢で終わらせずに、ちゃんと設計コンテ描いて提出しなさい。ここだけは譲れない、っていうこだわりを書きなさい。もしかしたら、叶えてあげられるかもしれないわよ」


「えっ、本当⁉️ 今、JAX○とも共同研究してるし!」


「お姉様が嘘をついたこと、あるかしら?」


「小さいズル以外は……ないかも」


「そこは言わなくてもいいの、弟よ!」


エレナがにこにこと笑いながら、時計に表示された文字がふわりと浮かぶ。

《艦載機ロボット、2機ぐらいなら……。弟様の影響で、あの発想もありかと》


「うん、それいいね。新しい発想だと思う。いつまでに原案くれる?」


「冬休み中に!」


「……その前に、受験生。宿題終わってるの?」


「うっ……終わってない……」


「じゃあ、第一志望に合格しないと、お姉ちゃんは動かないからね」


「まじかーー! 今日の夜から本気出すわ!」


挿絵(By みてみん)


車内が笑いに包まれる。お母さんが堪えきれずに吹き出し、


「ふふっ、やる気が出たなら上出来ね。お姉ちゃんが言うと、説得力あるわ〜」


そんな温かい会話の中、車は目的地に到着。時計は10時55分。

店の前にはすでに行列ができていて、名前を書いたあとは山中湖で少しお散歩。


「湖、凍ってるね〜」


「この砂、溶岩の名残ですね。あれ、お姉ちゃん、真ん中にあるあの船は何ですか?」


「あれはね、ドーム船。ワカサギ釣りができるのよ。暖かい室内で、のんびり釣りができるやつ」


「わあ……いつか、やってみたいですね!」


店に戻ると、ちょうど呼ばれそうなタイミング。列はすでに締め切られ、13時半のラストオーダーまでびっしりのようだった。


「私、豚肉〜」「かぼちゃ〜」「お父さんは……かぼちゃと、馬刺しもずくセット!」


「じゃあ馬刺しともずくはみんなでシェアね!」


鍋が運ばれてくると、その大きさにみんなで目を丸くした。


「でかっ! これ、本当に食べ切れるの⁉️」


「これがね〜、食べられちゃうのよ」


それはもう、絶妙な味で。かぼちゃの甘みと味噌のコクがからんだ、心も体も温まる一杯。


挿絵(By みてみん)


「あー、お腹いっぱい〜」


「うん、満足〜」


「年末に、こうやって富士山見て、美味しいもの食べられて、幸せだねー」


そんな家族の笑い声と、温かな空気に包まれた大晦日の昼だった。

そしてその裏で、弟の夢が、少しずつ現実へと形を取り始めていた――。

今日寝るとお正月~ 

みんなの反応はいかに! 秘密基地もどんどん楽しみに!

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ゆきなとえれなの ほんわか 日常を楽しんでいただければ幸いです。


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