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高校生活 ③

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

私は翌朝からいつものように高校へ向かい、副艦長──父は、仕事の傍らにこっそりあちこちの店舗でヘリウムを買い集めながら、事前に特許申請も出していた。


学校では、テニス部と理科部を掛け持ちしていて、どちらもそこそこ真面目にやっている。テニスは中学から続けているし、理科部では今や部長だ。


ある日の夕方部活で、後輩たちが集まってきた。


「部長ー! 今年の文化祭、何やりましょうか?」


「そうね……最近、科学に触れる機会が多くてね。次世代の核融合炉と、それに必要な燃料の話なんてどうかしら?」


「えっ!?」

たこ焼きパーティーしながらみんなで驚く

部員全員が驚きの声を上げた。


挿絵(By みてみん)



「いや、意外と最近そのへん勉強する機会があって……」



そして文化祭当日。


理科部の展示は、「太陽 → 月 → レゴリス成分 → ヘリウム3」という流れを図解した、しっかりとした資料展示となった。天体観測班が太陽をリアルタイムで観測しているスペースもあり、全体として科学テーマに沿ったまとまりのある内容だった。


展示をじっと見つめていた一人の人物がいた。


「女子校でこんな発表テーマとは……」

彼は感想と投票シートを丁寧に書いて帰っていった。そこには、**「JAX⭕️ 新時代ジェット開発部門チーフ」**という肩書があった。


「ふーん……まあ、その時はそんな感じで終わったのだけれど」



「ねえエレナ、進捗どう?」

私は家に戻るとすぐに尋ねた。


「予定通り進行中です。夜間センサーモードをオフにしたご指示により、来週には充電率2%に到達する見込みです。その後、チェックを行い次第、本格稼働可能となります」


「意外と早いのね」


「副艦長──いや、お父さん! どう?」

「ん? なんだー?」


すっとテンションを切り替えて父が現れる。


「ヘリウムは3階の部屋に順調に溜まってるよー」


あ、そういえば、この前の文化祭でJAX⭕️の人が高評価入れてくれてたの!」


「マジで? 連絡先とか分かるの?」


「うん、名刺も入ってた」



「エレナ、地球のこと、少しは勉強できた?」


「はい。ネットワーク環境により、地球の歴史、悲しい過去、環境問題、そして戦争に至るまで確認済みです」


「どう感じた?」


「日本は美しく、思いやりのある国と感じました。古い建築も多く、全体的に平和です。しかし中東や一部地域ではいざこざが絶えず、地球全体としての危機も否定できません」


「そうよね……いろんな考えがあるわ」


「ただ、遠い宇宙へと旅立つ頃には、人類が手を取り合い、統一された共同体として進める可能性もあります。逆に、破滅を招くかもしれません」


「……私も、できれば希望を持ちたいな。未来はきっと作れると信じてる」


「はい、艦長。同意見です」



「艦長、船内の1ブロック、チェック完了しました。現在のところ、このブロックでは目立った損傷はありません。他ブロックはまだ発見されておりません」


「そのブロックって、どの部分?」


「主要エネルギー区画、メインブリッジ、および造船保守ブロックです。現在、内部清掃機関による作業が進行中。4日程度で清掃を完了し、再資源化地域への移送が予定されています」


「へえ……よく分からないけど、すごいわね」


「補助核融合炉のチェックも、明日より開始予定です」


「分かったわ。ヘリウムは、お父さんがちょこちょこ集めてるみたいだから、集まったかどうか聞いてみる」


「艦長、ありがとうございます」



「ねえエレナ。昔の仲間に会ってみたい?」


「そうですね。どうなっているか、確認したい気持ちはあります。ただし、現在地が不明であること、この年数による宇宙の膨張により、星図はほぼ当てにならない状況です。あまり気にされなくて大丈夫です、艦長」


「……そっか。のんびり行こうじゃない」


「ところで、エレナって、体あるの?」


「いえ、現在は存在しません。作成は可能かと思いますが、今までは必要がなかったため作成しておりません」


「じゃあ、余裕ができたら一緒にお散歩できる体を作りましょ?」


「ありがとうございます。楽しみにしております」



「ただいま〜」

玄関から父の声がした。


「状況は聞いたよ。ヘリウム、集まったぞ〜。パソコン部屋に置いてあるけど、いっぱいあって邪魔なんだよなぁ」


「ありがとうございます」

エレナの声が、どこか嬉しそうに聞こえた。




数日が過ぎた。


ある夜、エレナから静かに報告が入る。


「艦長。補助核融合炉、チェック完了いたしました。内壁に若干の老朽化が見られましたが、現在再構築中です。主要発電装置に問題はありません。充電本体にも老朽化が見られましたが、クリスタルの再構築を行っており、明日には転送装置の稼働実験が可能です」


「明日は……金曜日ね。夜の開始でいいかしら?」


「了解致しました。うまくいき、安全が確保されれば──艦長のご乗船をお待ちしております。ただし、失敗した場合、内部全損の可能性がございます。その場合、私は存在しなかったことにしてください」


「だめよ、エレナ! 一緒にお散歩するんでしょ? ちゃんと再チェックして、安全第一でお願いね」


「艦長、了解致しました」


初めての投稿になります。

初めの1週間は早めに7話投稿 その後3日に1回ぐらいを目安としています。

書くことが初めての物語になりますので応援していただければ幸いです。

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