天の川銀河まで遠出したら嫌なやつ! 27
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
「部長! 太陽系って、天の川銀河の中にあるんですよね? 銀河系の形、見てみたいです!」
「……ふふ。わかったわ。エレナ、外宇宙モード、お願いできる?」
「はい、リミッター解除。承認します」
「ゆきな、承認。機関員、出力110%、ワープレベル2。超高速跳躍開始!」
船が震え、光のトンネルのようなワープが始まる。
「早っ! 筒みたいな外見がすごい……!」
「到着2分予定。リミッター復旧までカウント開始」
⸻
そして──。
「ワープアウト!」
船外に広がる、銀河の渦巻き。
青、紫、金、白――色とりどりの銀河群が、目の前に存在していた。
「わぁ……これが……」
「天の川銀河。そして、私たちの星の外の世界」
「スマホ持ってきてなーーい! 守秘義務で部室置いてきた〜!」
「ふふ、だから代わりに私が撮るわね。はい、みんな並んでー」
「チーズ♪」
うさぎ型アシスタントが撮影する中、全員が最高の笑顔を浮かべていた。
……そのときだった。
「ビビーーーーーッ!!」
「なにっ!?」
「レーダー反応。遠距離から小型物体6機、その後方に大型移動物体を検知!」
「……艦長、どうしますか?」
「……平和的にいきたいわね。回線、繋いで」
モニターに映ったのは、異星の艦艇。
小型艦の7画面と、大型艦のブリッジが同時に映る。
先生が前に出る。
「ごきげんよう。私は地球の高校、理科部の顧問、浅香と申します。
現在、学生たちの現場実習を行っております。敵意はありません」
すると、翻訳が入る。
こちらはアクセラ宇宙艦隊・第二艦隊所属、第四番艦イクシオ。
大規模戦闘後、帰還途中。
貴艦のワープ装置に興味があり、ご提供いただきたい。
(小声で「メシッ」)
ゆきなが応じる。
「こちらには小型核融合炉が2台あります。片方の提供は可能です。その代わり……そちらからも友好の証をお願いできますか?」
……2台とも欲しい。
それに、あなたたち……我々の“食事”になれるぞ
全員、顔が青ざめた。
「それは……承れません! うら若き乙女です!! (一名除きますが)」
「なによそれー!!」と先生艦長が怒鳴る。
⸻
「……よし、逃げるわよ!」
「エレナ! 通常エンジン全開、逃走準備!」
「了解!」
ビームが船体をかすめる。
「砲撃手、撃てーーっ!」
「はいっ!」
一機撃墜、二機、三機……撃墜。
どんどん 二発当たりました。
後部シールド20%
「リミッター、全解除! 戦闘モード、移行!」
「承認:エレナ、ゆきな。解除開始」
機関部:出力120%!
「前方反転! パターンランダム回避!」
残り三機を誘導し、主砲モードへ。
「打てーーっ!!」
主砲から拡散ビームが発射。小型艦を一掃!
しかし――。
「大型艦より、新たに艦艇が発艦の兆候……!」
「しつこいっ……! 残りのエネルギーを主砲へ!」
「了解。チャージ中!」
ゆきなは叫んだ。
「発射!!」
命中。しかし、ダメージは軽微。
相手はまだ動いている。
「逃げるわよ! ワープレベル2、地球へ!!」
「設定完了!」
「……でも、艦の**許容値98%**です」
「ここで降りたら追いつかれるわ! 行くしかない!」
「了解。地球まで、残り4分」
⸻
「ビビーーー! 許容温度110%!」
「2分!」
「120%!」
「1分!」
「コア破損を検知! 40秒後爆発の危険あり!」
「第二核融合炉もコア破損! 残り30秒!」
「20秒!」
「エレナ、緊急転送開始!」
「転送します!!」
──爆発が船体を包むその瞬間、
全員は閃光の中に包まれ――
気がつけば、部室のダンボール船内に戻っていた。
⸻
「……皆さま、ご乗船ありがとうございました」
制服が私服に戻っている。
「今回の撃墜数6を記念し、高校校章に⭐️6個の理科部マークを入れたバッジを支給します」
「……部長、死ぬかと思ったぁぁぁ!」
「でも……楽しかったぁぁぁ!」
先生もふうっと大きく息を吐いた。
「……戻ってきたら、夜中の2時ね」
「お腹すいた〜〜〜!」
「はい、参加賞。カップ焼きそば!」
「やったー!! 太るけど食べるぅ〜!」
先生に渡すと、ニヤッと笑った。
「ゆきなさん……JAX⭕️の話、聞いてないわよ?
ま、今度ゆっくり聞かせてもらうわ」
「……私も食べる〜〜!」と、るんるんで走る先生。
「先生、太りますよ〜?」
「いいのよ! 私、痩せてるからっ!」
バッジを胸元に大切に押さえながら、笑顔で振り返った。
そしてみんな、焼きそばを食べながら――
そのまま爆睡したのであった。
みんな疲れてぐっすりと眠っていた。
その静けさの中、ゆきなは窓越しに夜の空を見つめながら、えれなに小さく話しかける。
「ねぇ、えれな……あの時の“宇宙人”ってさ、やっぱり……戦争してた種族?」
えれなは一瞬間を置いて、静かに頷く。
「はい。生体エネルギーを食糧としている種族です」
「……つまり、私たちを“食べる”ってこと?」
「はい。彼らにとって、私たちは“資源”です。会話や友好の概念は存在しません」
「気持ち悪いわね……」
「……ええ。でも、それが“彼らの自然”なんです。倫理や道徳が通じる相手ではありません」
「じゃあ、交渉なんて最初から成り立たないってことね」
「はい。こちらを“対話相手”と見ていない以上、それは困難です」
「……やっぱり、戦わないといけない相手、ってことね」
「可能性としては、そうなります。ただ、彼らは数だけはとても多く、ゆっくりですが確実に航行を続けています」
「……まだ時間はある、でも、考えておかないとね」
「はい。今から、少しずつでも」
ゆきなは海の向こうに目を細めながら、
「平和な星になってほしいのにね……」
と、ぽつりとつぶやいた。
なんとか・・・生き残れた部員一同 感動と恐怖と戻れた安心感でほっこりです。
先生の秘密も次は垣間見えたりするかもしれません。
とりあえず合宿までは連続投稿・・でも中型級完成までも行きたい気もする頑張りたいので・・
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ゆきなとえれなの ほんわか 日常を楽しんでいただければ幸いです。




