太陽系をクルージング♪ 25
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
宇宙探査船アトランティスは、静かに月へ向かっていた。
「エレナ、みんな喜んでるみたいね」
「はい、とても楽しそうです。……月も、どんどん大きくなってきていますよ」
そのとき──。
「ピピッ、ピピッ! レーダーより報告。右方向より、小さなかけら状の物体、急速接近中です」
「砲撃手、右と後方の確認お願い!」
「……確認できます」
「レーザーモード、融解で対処を。ロック完了……発射!」
「命中、融解完了です」
「ありがとう。……皆さん、だいぶ反応が良くなってきましたね」
「はーいっ!」
⸻
「もうすぐ月に到着します。こちらが有名な“アポロ計画”の着陸地点です」
「ハタ、倒したら怒られそうですね〜!」
皆の笑いが船内に広がる。
「この砂のような表面、レゴリスです。文化祭の研究テーマにしたこと、覚えてますか?」
「あ〜!あれだ!」
「では今から、月の裏側、深いクレーターの底へ降下します。太陽の影響が少ないため……」
船窓を通して見えるのは、静かに広がる星空。
「わあ……星が綺麗」
「でも……瞬きがない?」
「いい質問ね。星が瞬いて見えるのは、大気中の揺らぎが原因。ここは宇宙空間、空気がないから星は瞬かないの」
「へぇ〜」
「さて……次はどこへ向かいましょうか」
「おおっ!」
「せっかくだから、次は……金星に行ってみましょう。ただし、普通に行くと数ヶ月から数年かかる距離です」
「え〜〜そんなに!?」
「では、どうしましょう? みなさん、何か案は?」
「時間を止める!」
「惜しい! 一点! メダルも進呈〜♪」
「物理法則を……捻じ曲げます!」
「ふふ、正解! 理論は難しいので……今回は“できる”と信じて!」
「エレナ、ワープの準備。座標を設定して」
「了解です。座標入力完了」
「機関部、出力を75%まで上昇、同時出力をお願いします!」
「出力安定しました!」
⸻
「では、カウントを──
10…9…8…7…6…5…4…3…2…1!」
船内がわずかに揺れ、ディスプレイに白い光が走る。
「通常最高速度に到達。前方、レーザー照射で通路を開きました。次の排出予定、約10分後」
「わー! 外、真っ暗だ〜」
「でも光の線が流れてる……」
「それはね、“通信線”って言われてるの。遠距離通信の痕跡。でもワープ中はそこに割り込めないのよ」
「なるほど〜!」
「では、ワープアウト──!」
⸻
目の前に現れたのは、黄金に輝く惑星。
「ここが……金星?」
「地球と大きさはほぼ同じ。でもこの雲、わかりますか?」
「なんか重そうな雲ですね〜」
「そう、金星は高温・高圧で、硫酸の雨が降るの。外に出たら……すぐに溶けちゃうね、私たち!」
「わぁ……!」
「ちなみに、金星の自転方向はどうだったかな?」
「地球と……逆回転だっ!」
「正解っ! 三点! メダルも追加ね!」
「やったー!」
⸻
外の景色に見入る皆の表情が、月光のように柔らかく、好奇心で満ちていた。
「……気温は470度。だけど、こうして見ると……」
「すごく綺麗……金色に輝く星だね」
ゆきなは、エレナと目を合わせて頷く。
「まだまだ旅は続くわよ」
「では次は……水星に行きますよ〜!」
「おぉー!」
「その前に、エレナ。保護フィールドを30%アップで」
「了解いたしました。出力同期確認。
機関部、フィールド出力を考慮して78%同時出力をお願いします」
「了解。安定確保。ただし30分以内の稼働でお願いします。警報が出るかもしれません」
「暑いからねぇ……では、ワープ開始!」
「カウントダウン、10…9…8…7…6…5…4…3…2…1!」
通常最高速度へ到達。前方にレーザー照射。通路が開かれる。
「次の排出予定、4分後」
が、すぐに出口が開く。
「皆さん、慣れてきましたね〜」
「出力10%まで低下を」
「……低下完了。安定です」
⸻
「ここが水星です。空気はほとんどありません。
重さは地球の約5.5%、大きさは三分の一程度」
「えーちっちゃい!」
「表面は太陽に近いので430℃、裏側はなんと−160℃!」
「ひゃ〜〜〜!」
「空気がないため風化もなく、クレーターがそのまま残っているんです。
でも不思議と、磁場があるとも言われています」
「エレナ、観測できますか?」
「はい。弱いですが、磁場があります」
「じゃあ、目視化してくれる?」
「……表示します」
大型スクリーンに、淡く流れる磁場のラインが浮かび上がった。
「地球より弱いけど、しっかりあるね……。地中深くにマントルがあって、鉄や金が流動してるのかもしれません」
少しのアクシデントはあるものの平和に進みます。
このままわきあいあいで進むのでしょうか ゆきなは そんなに優しくはないようです・・先生は乗り越えられるのか!
皆様 評価 ブックマーク コメント リアクション好きな話に頂ければ励みになります。
ゆきなとえれなの ほんわか 日常を楽しんでいただければ幸いです。




