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初登校と気になる女の子 20

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

「みんな、今月末の終業式のあと、一回帰宅してからそのまま合宿に行きますからねー!」


放課後の部室に、ゆきなの声が響く。


「持ち物は、お米、野菜、肉。鶏肉は私が持ってくるわ。カレー粉、持ってこられる人お願いねー」


「ここからが大事よ! 抱き枕系、それから寝袋!

上向いて寝るからソファー代わりがあるとベスト!」


毎年恒例の合宿。昨年教わった内容を、ゆきながみんなにまとめて話していく。


「プリント作っておくね。寒いから暖かい格好で。

ちょうど流星群も来てるから、何個見つけられるかの部内コンテストもするからね!」


「それまでに、すべての望遠鏡の整備と、後片付けの準備を進めておくこと。今月中に!」


「はーい!」


 


「で、エレナちゃんは来週入学なんですか?」


「あっ、言ってなかったわね。入学試験……落ちました、ってのはウソで、合格しました」

「来週火曜日が初登校です」

「中等部だけど、合宿行けるかなあ……」


「スポーツ系は合同でもやるけど、文化系はねぇ~」


 


そして入学当日。


挿絵(By みてみん) 


朝、少し早めに学校に到着し、エレナと一緒に職員室へ。


校長先生や各担当の先生方が優しく迎えてくれて、生徒手帳が手渡される。


アレルギーや飲んでいる薬、家庭状況などの簡単なヒアリングを済ませて、書類がすべて整う。


「さて、これで手続きは終わりね。ゆきなさんの役目はここまで」


「じゃ、エレナ、がんばれ!」


ゆきながこそっと時計にささやくと、


『はいっ!』と文字と、元気なポージングで応えるエレナの後ろ姿。

なんだか、胸がほんのりあたたかくなる。


 


教室の扉が開き、エレナが静かに入っていく


「この時期には珍しいけど、編入生です。これまでは大きな病気で登校できなかったそうですが、今は完治しており、学力も非常に優秀です」


「では、えれなさん、前へ」


静かに前へ出るエレナ。


「⭕️⭕️えれなです。この学校には高校2年の姉、ゆきながいます。

好きなものは、運動、数学、物理、言語などです。みなさんとお友達になれたら嬉しいです」


「はーい、仲良くしてあげてくださいね〜」


「はーい!」


自然な流れで自分の席に行くと、さっそく周囲から優しい声がかけられてくる。

みんな温かくて、色々な質問をしてくれて、少しずつ緊張が解けていく。


 


でも、ひとりだけ気になる女の子がいた。

あまり周囲と話そうとせず、静かに座り、難しい数学の計算に集中している。


挿絵(By みてみん) 


声には出していないが、何かを小さくつぶやいているのが聞こえた。


――つい、答えを“ぼそっ”と言ってしまった。


「ガタン!」


挿絵(By みてみん)


その子が急に席を立って、エレナのもとへ。


「あなた……あってるわ。それも暗算でしょ?」


「これ、高校数学甲子園の問題よ。

計算のやり方と展開、講義してくれない?」


ものすごい勢いで食いついてくる彼女に、教室中がざわめく。


「いいですよ」とエレナ。


ノートに丁寧に解き方を記し、可愛いウサギのイラストも添える。


「わ〜すごい、エレナちゃん!」


「このノート、明日まで借りていい?」


「どうぞ。まだ書き込んでいないので、よければ差し上げます」


その子は嬉しそうにノートを抱え、家へ持って帰った。


 その日の夕方、高等部の理科部部室では――


「わ〜! 制服姿のエレナちゃん、かわいい〜!」


「わー! ゆきなの妹って感じするー!」


もみくちゃにされ、お茶会が始まる。


「お姉ちゃん、今日のクラスにね、数学好きな子がいたんだよー」


「ああ、あの子か~。なんかずっと計算してるよね。

もっと元気に一緒に遊べたらいいのにね〜」


 


そんなこんなであっという間に2週間が過ぎ、ついに――


来週火曜日、終業式。そしてそのまま冬休み&合宿!


先生が教室でそう告げると、部室にも「いよいよ感」が漂い始めた。


土曜日の朝、5時半。


ピシャッと目覚ましが鳴る前に起きたゆきなは、静かに部屋を出た。すると、ふんわりと甘い香りが漂ってくる。


「お姉ちゃん、おはようございます」


キッチンにはエレナの姿。ふわふわのシフォンケーキを焼いて、紅茶を丁寧に入れている。


「今日、行けると思ったんですけど……ちょっとだけ、降ってます」


カーテンを開けると、空から舞い降りる小さな白い粒。


「ほんとだ……ホワイトクリスマスってやつ?」


「はい、積もらないみたいですけど……綺麗です」


エレナが紅茶を渡す。


「ありがとう」


受け取って、ふぅっと一口すする。やさしいリンゴの香りが広がって、心まで温かくなる。


「現状の秘密基地建設状況です」


エレナが指をかざすと、リビングのテレビに山奥の空撮映像が映し出される。セメントとモルタルで成形された構造体が、すでに大枠の姿を現していた。


「すごいわね……もうここまでできたの?」


「はい、先週材料業者の登録が完了してから一気に進みました。資材もトラックで届いてます」


「おーっ、順調みたいだなー」


お父さんが階段を降りてくる。エレナが紅茶を差し出すと、にっこり受け取る。


「うわ、アップルティーか……贅沢だな。で、映像がこれか」


秘密基地計画が始まりました。

わくわくです!

また今後合宿のはちゃめちゃが始まる予定です。

合宿が終わるまで毎日投稿すると決心しました。

評価 ブックマーク コメント頂ければ励みになります。 これからもよろしくお願いします。

ほんわか 日常を楽しんでいただければ幸いです。

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