入学準備と秘密基地着工準備 19
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
「せんせい、合格ありがとうございました」
「いえいえ、ちゃんと正式に評価したのよ!でも優秀だったわね」
「書類等は早めに揃えますね」
—そのとき、連絡が入る—
「お姉ちゃん、あらかた揃いました。怖いですが健康診断行ってきます」
「おお、がんばれ!なんとかなるでしょ」
「……なりそうです!」
「なりました!」
—さらに連絡が入る—
「お姉ちゃん、全部書類持っていきます」
「了解、帰り道に制服作りましょう!」
——
「せんせい、妹が書類、持ってきました」
「はーい、受け取るわね。明日、入学予定日決めるから」
——
職員室を出ると、いつもの制服屋さんへ向かった。
店先には、おばちゃんとおじちゃんの顔。
「ゆきなさん!どうしたの〜?太ってスカートきつくなった?」
「そんなわけないですって」
「……あら、そちらの可愛い子は?」
「妹の、エレナです」
「まあまあ!お人形さんみたい。制服ね?高等部で?」
「はい、成長考慮でお願いします」
エレナ、くるくると採寸されながら人形状態に。
「今空いてるから、一週間くらいでできるわよ〜」
「ありがとうございます!」
「通学カバンも一緒に買っていく?」
「……忘れてました!リュックタイプでお願いします」
「じゃあ、コートとカーディガンもついでに?」
「全部セットでお願いします!割引つきで!」
「おばちゃん感激〜ありがとね〜」
前金で支払って、にっこりおじちゃんも笑っている。
——
「じゃ、エレナ。帰りましょう」
「はいっ」手をぎゅっと繋いで歩いていく。
「おかえり〜」とお母さんが声をかけてくる。
「全部、購入しておいたわよ〜」
「スポーツ店で体操着と運動シューズも買っておいたわ。できる女でしょ」
「さすがです、お母様……!」
「あ、靴下忘れた」
「……まあいいか。制服受け取りのときに買おう。常備してるし」
——
バタバタと準備が進む中、仮設基地の状況が更新された。
「艦長、副艦長、詳細な基地図面が出来上がりました」
「現在、敷地は更地。仮設事務所まで完成済です」
「仮設事務所まで転送でいかがでしょうか?」
「それ、楽だわね。部活後、部室の鍵かけた後、飛ばしてくれる?」
「エレナ、副艦長は会社からそこまで行ける?」
「60キロ程度なら問題ないです。」
「じゃ、タイミングいいときにお願いするわ」
「私も、学校へお姉ちゃんお迎えと、転送で移動して参ります」
新生活の準備は、しっかり確実に進行中である——。
「エレナ、いいよー」
「いいぞーエレナ〜」父も転送を待っている。
仮設倉庫に到着すると、風景ががらりと変わっていた。
扉を開けると、外は更地であり中ではエレナが仮設事務所の中で紅茶を入れている。
「わーアップルティーかしら? いい香り〜」
と、ふわっと立ち上る湯気に顔を近づけたその瞬間、外に出て目を見張る。
「……綺麗な更地だ」
「中、外から見えないようにカーテンお願いね」
「了解いたしました」
「このお茶セットは頼んだの?」
「はい、お安かったのでネットで購入しました」
「水は?」
「船からの湧水を転送しています」
「……電気も線が繋がってる風だよね」
「はい。実際は小型融合炉を接続しています。電柱は偽装です」
「だと思ったわ。じゃあお願い、えれな。偽装スクリーン、上空にも設置できる?」
「レーダーで周囲は察知できても、上空からの偵察衛星が怖いから」
「了解いたしました。詳細な図面を展開いたします」
仮設事務所の中に投影される3D設計図。
コンクリートが開いて、内部からリフトアップできる構造。
上部の家屋もしっかり計算されている。
「副艦長、どう思います?」
「よくできてる。ただ、ここ下水が通ってないだろ。浄化槽と雨水マスの接続が必要だな」
「えれな、どう?」
「調べました。お父様のご指摘の通り、近くに下水はございません。現段階では、浄化槽を設置し、雨水U字溝に接続する必要があります」
「さすがだわ。それも含めて再設計お願い」
「承知いたしました。上家・浄化槽・給水までの図面を出力します」
すぅっと、テーブルにロールの紙が伸びてくる。
「エレナ、この上層部の開閉式コンクリート、どれぐらいで工事できそう?」
「上部のみでしたら、来週中には対応可能です」
その場で、私は携帯を開いて電話をかける。
「おじちゃん、久しぶり〜!
あのね、私が受け継いだ山倉庫、今更地にしたのー。虫とか大変だったけど頑張った!」
「そしたらさ、地面掘ったらコンクリート出てきたの。昔の図面見たら、軍用倉庫だったみたい」
「再来週、現地で打ち合わせしたいんだけど、土日とか、夕方とかでも大丈夫かな?」
こそっと振り向いて、エレナに聞く。
「エレナ、自動で車ここに持ってこれる?」
「ダミーお父さん運転で、可能かと思います」
「じゃあ、冬休みにでもいいけど……」
「なんの相談だ?」とおじちゃん
「……いや、お家建ててもらおうかと」
「高校2年になったし、臨時収入もあったし、そろそろかなって」
「ん〜じゃあ再来週の土曜、10時でお願い〜!」
お父さんに電話がかかる
「ゆきなから電話かかってきたって?」
「ああ大丈夫、横にいるし」
「設計士さんも連れてきてくれるってさ」
ありがとう! わかってるわよ、私は17歳の小娘で信用ないですけど…!」
「……あ、そうそうエレナ」
「はい、艦長」
「来週火曜日、初登校よ!」
「わぁーーーっ!楽しみですっ!」
秘密基地計画が始まりました。
わくわくです!
また今後合宿のはちゃめちゃが始まる予定です。
合宿が終わるまで毎日投稿すると決心しました。
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ほんわか 日常を楽しんでいただければ幸いです。