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崖が崩れたらそこは宇宙ステーション♪  作者: Sukiza Selbi


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170/178

銀河連邦アザト総司令の一日 ★170 ★ 記念作品 

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

【銀河連邦主要会議 ― アザト司令の決断】


 ——時を少しだけ戻そう。

 銀河連邦本部・時空ドーム会議室。

 十二の国の代表たちが集う円卓には、光の資料が浮かび、淡い青の照明が天井を巡っていた。


挿絵(By みてみん)


 「さて、次の議題は——」


 その瞬間、重厚な扉がバタンと開いた。


 「アザト総司令、なんだね今は主要会議中だぞ!」


 側近が慌てて立ち上がる。


 だがアザト司令は表情を変えず、ゆっくりと腕を組んだ。


 「……いや、それよりも——ふと考えてしまってな。この会議より大事なものが、もしかすると今あるのではないかと」


 「……まさか、あの“二人娘”か?」


 「その通りです。」


 会議室がざわつく。

 エルダンカ国王が、ふくよかな笑みを浮かべながら髭を撫でた。


 「ふふっ、あの子たちのことですか」


 「皆様、申し訳ない。一時間、休憩をいただきたい。この詫びは——今日の懇談会で“特上のワイン”をご馳走しよう」


 「特上だと!?」


 「では、異議なしだ!」


 一瞬にして会議は和やかな空気に包まれた。


 「アザト司令、助かりましたな」


 「国王、ありがとう。まったく、君の笑顔はいつも酒の香りがする」


 「はっはっは、それは褒め言葉と受け取ろう!」


 そのまま国王はにやりと笑い、他の代表たちに向かって言った。


 「では、アザト司令が戻るまで——噂の“二人娘”の話でもしようではないか!」


 会場は一気に明るくなり、各国の外交官が興味津々で頷いた。


 ***


 その頃、廊下を歩くアザト司令は足を速めながら呟いた。


挿絵(By みてみん)


 「それにしても珍しい……だが、なぜゆきな司令たちが“時空通信”を? 本来は連邦の最高階層しか扱えんのだが」


 「はい。ゆきな司令は“妖精伯”でもありますので、独自の時空魔法を使用されております。通信はエルダンカにある邸宅経由で確立中です」


 「なるほど……妖精の仮宿か。便利なものだな」


 側近が続けて報告する。


 「連絡メールによると、三十分後の中継時間に“直接対談”を希望されています」


 「なるほど……例のハナフライムも関係しているのか?」


 「はい。先日のハナフライム到着により、今回の銀河会談も迅速に。以前は集合に三週間かかる領主たちも、今やわずか数日です」


 アザト司令は笑いながらコートのポケットからメモを取り出した。


 「まったく……あの子たちは便利なものを次々に作る」


 「司令、コーヒーをどうぞ」


 「ありがとう。……ふふ、ゆきな司令にえれな司令、“妖精伯”に“伯爵”か。次は何の肩書が増えるやら。来年には留学予定だろう? 講師としても迎え入れねば」


 「銀河連邦アカデミーも、彼女らの戦術論の講義を待ち望んでおります」


 「そうだろうとも」


 通信士の声が響く。


 「アザト司令、通信繋がります!」


 「よし——では応答だ」


 ***


 数十分後、通信が終了。

 アザト司令は椅子にもたれ、ゆっくりと目を閉じた。


 「……まさか“グレート・グレズ”か。敵対してはいないとはいえ、また厄介な相手と揉めておるな」


 彼は机に手を置き、低く唸る。


 「あそこは昔から、技術を“盗む”ことしか考えておらん。正義も理想もない。……だが、今回ばかりは相手が悪かったな」


 彼の口元に、微かな笑みが浮かぶ。


 「天秤にかければ百に一つの確率でも、私はゆきな司令とえれな司令を信じる。……いや、百どころか、万に一つでも」


 壁のスクリーンに映る戦闘報告映像を眺めながら、アザトは独り言を続けた。


 「さて……どんな形でグレート・グレズが泣きついてくるか。だが、あの二人のことだ。文明ごと消し飛ばすこともできるだろうに、そうはしない。平和第一主義——あれこそ真の強さだ」


 カップのコーヒーを飲み干しながら、彼は小さく笑った。


 「……それにしても、なぜ関わったのか。まったく、お節介な二人め」


 「また誰かを助けたんでしょうね」


  と、側近が苦笑する。


 「だろうな。だが、それでいい。あの二人は、銀河の“灯”だからな」


 ***


 再び会議室に戻ると、騒がしい声が飛び交っていた。


 「アザト司令! なんでそんな大事なことを隠していたのです!」

 中央で、主要国代表達が堂々と立ち上がっていた。


 「えっ……まさか、もう話してしまったのか」


 「もちろんだとも! こんな素晴らしい子たちを隠す理由がどこにある!」


 会議ホールの中央では、ゆきなとエレナの映像と写真がホログラムで投影され、代表たちが口々に感嘆の声を上げていた。


 「この二人が……!」

 

 「若いのに司令官だと!?」


 「妖精伯だと!?」


 会場が一気に熱を帯びる。

 アザト司令は思わず額に手を当てた。


 「やれやれ……まったく早いな」


 すると、アザト総司令がにっこり笑いながら言った。


 「ここにな——あの二人からの“贈り物”がある」


 そう言って取り出したのは、透明なクリスタルボトル。

 中で淡く赤い液体がきらめいていた。


 「どうだ、会議が終わったら皆で飲もうではないか!」


 「おおっ!」「それはぜひ!」


 「それはサクッと議題を片付けねばな!」


 全員の笑い声が響き、会議の空気は一気に和らぐ。

 アザト総司令も思わず吹き出した。


 「はは……まったく、あの二人の影響力は恐ろしいな。

  ——だが、悪くない。これこそ、平和な銀河の証だ」


 こうして十二カ国主要会議は予定より早く終了し、

 その日の夜、銀河連邦のホールには笑い声とグラスの音が響いた。

 エルダンカ国王が掲げたボトルのラベルには、

 ——《From Yukina & Elena》の文字が刻まれていた。


挿絵(By みてみん)


 平和な銀河連邦は、今日も静かに回っている。

 その裏で、二人の少女は再び、遠い星の空を越えていた。

銀河連邦の主要国会議の真っ最中。

各国代表が銀河の未来を議論する場所――

その流れを、突然ひとつの報告が止めました。


それは、ゆきなとえれなの名。


会議よりも優先すべき“重大事項”が発生したとして、

議長は緊急中断を宣言。

場の空気が一瞬で張り詰めます。


なぜ彼女たちがそこまで重要なのか。

なぜ会議を止めてまで相談が必要なのか。

今後にお楽しみに!

もしこの物語を気に入っていただけましたら、

評価・ブックマーク・アクション、感想 楽しみにしていますっ!


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