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崖が崩れたらそこは宇宙ステーション♪  作者: Sukiza Selbi


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162/178

天の川銀河の輝きの中で 162

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

挿絵(By みてみん)


「では、シールド展開。

256層・多重シールド、展開開始。」


パネルの上で光が走る。

モニターに、層を重ねるように透明な防壁が形成されていく。

緻密な幾何学模様が幾重にも重なり、

艦全体を包み込んだ瞬間――

微細な光粒が流星のように外へ散った。


「シールド展開完了。

外殻温度、上昇率安定。推進システム連動確認。」


「動力、主エンジンへ。通常スラスター30%で稼働。」


ブリッジの外では、星空がゆっくりと動き出した。

地球の青が小さくなっていく。


「早いわね……この速度なら、月までもすぐ着きそう。」


「本当に。通常スラスターだけで、これほどの効率とは。」


挿絵(By みてみん)


ゆきなが微笑んだ。


「せっかくだから、天の川を周回して火星を目指しましょう。」


「了解。スラスター出力を徐々に上げます。」


加速 ― 天の川の輝きの中で


「スラスター出力、80%まで順次アップ。」


振動が少し強くなり、

ブリッジの外の星が流れるように動き始める。


「めちゃくちゃ早い……!

通常動力で、もうワープに入りそうな勢いだわ。」


「戦闘機ではないのに、この反応速度……驚異的です。」


えれなの手元で、

青いゲージが滑らかに上昇していく。


「ワープエンジン、起動準備完了。次元安定層、開放。」


「……行くわよ。」


ゆきなが静かに告げる。


「ワープ1、侵入成功。

2……3……4……5……6……7……8……9……10……」


「11、12、13……14、15……!」


モニターが白く光り、ブリッジ全体が震えた。


「16、17、18、19、20――!」


星が線となり、

天の川全体が光の輪のように周囲を巡る。


「21、22、23、24、25!

本日予定出力接近、エンジン出力50%突破!」


「今日はここまでね!」

ゆきなが息をつき、えれなが制御を安定化する。


「ワープ解除。速度緩和。小惑星群、目前。」


艦体がゆっくりと減速し、

前方に大小の岩塊が浮かぶ。



「小惑星群到達。相対速度ゼロ。」


えれなが頷き、

ゆきなは前方スクリーンをタップする。


「主砲、副砲――試射開始。」


艦体下部が変形し、砲口がせり出す。

光の粒が収束し、

次の瞬間、

ドン――ッ!

真空に爆ぜる閃光が、岩塊を粉砕した。


「第一砲台、命中確認。破片散布率、3%。」


「第二砲台、補助照準合わせました。」


「副砲、試射開始!」


立て続けに放たれる光の矢。

無音の宇宙で、ただ振動だけが艦を震わせる。


「後部補助砲、準備完了。」


「後部、発射許可。」


三方向から青い閃光が交錯し、

小惑星の破片が一瞬にして蒸発した。


挿絵(By みてみん)


ブリッジに静寂が戻る。

ゆきなは腕を組み、深く息を吐いた。


「……完璧ね。想像してたより、ずっと静かで――美しい。」


えれなも頷く。


「はい。平和のための船、その証がここにあります。」


ふと窓の外を見ると、

遠くに天の川が流れていた。

まるで祝福するかのように、

光の帯が二人の前を横切っていた。



「火星ゲート、申請完了。ノアリエルに接続します。」


えれなが軽やかに報告する。

通信が開くと、どこか嬉しそうな声が響いた。


『こんにちは、ゆきな艦長。ノアリエル統合管制です。

中継で拝見しておりましたよ。新型艦でのご来訪、

工場の皆さまが心よりお待ちしております。』


「ありがとう。では工場発着場にお願い。」


『了解。工場中央広場をお使いください。』


「了解。着陸モードへ移行。」


ブリッジが淡い赤に染まり、

ハナフライムは静かに火星の薄い大気へと滑り込んだ。


地平線がじりじりと輝き、

森の向こうにノアリエル工場群が姿を現す。

まるで生きて呼吸する巨大な機械都市のように、

パイプの森が光を帯びて脈打っていた。


「姿勢制御、安定。

補助スラスター微調整……接地。」


ドスン、と重い衝撃。

着陸脚が赤い砂を踏み締め、

細かな粒子が陽光にきらめく。


外に出ると――

乾いた風が頬をかすめ、

その向こうに作業員たちが一斉に手を振っていた。


「艦長、ようこそお越しくださいました!」


工場長が駆け寄ってくる。

背後には、整備班や溶接班、研究者たちがずらりと並び、

誰もが誇らしげな顔をしている。


「こちらこそ。すばらしい環境ね。」


「どうぞ、自由に見て触ってください。

これは“共同開発”ですからね。」


ゆきなが笑う。

「パワードスーツの積み込みもお願いできる?」


「もちろんです! ゆきな艦長仕様の強化版と、

副長えれな様の改良型、合わせて4機を搭載いたします。」


「助かるわ。弟にも伝えておくわね。」


「では、その間に――ぜひ食事を。

工場街の皆が腕によりをかけています!」


「今日は何にしようかしら。」

ゆきなが尋ねると、工場長がにっこり笑う。


「今人気なのが“一本釣りの魚を使ったお刺身定食”です。

船に乗って釣った魚を、その場で調理してお出しします。」


「おもしろいわね、それにしましょう。」


「では小型船を用意します。ゆきな艦長!」


艶やかな銀の小艇が静かに滑り出す。

赤い海――火星特有の塩湖を横切ると、

透明なドームの内側で人々が釣り糸を垂らしていた。


「お、釣れてる釣れてる!」


「カツオっぽいわね……青い魚!」


えれなが袖をまくり上げる。


「お姉様、がんばりましょう。夕飯のために!」


「うん、今日の私は本気よ!」


まるで子供のような笑顔で釣竿を握る二人。

ラインが震え、銀色の魚が水面を跳ねた。

火星の重力下でゆらめく水飛沫が、

星の光を反射して虹色に弧を描いた。

アースの試験飛行は順調そのもの。

安定した航行データが次々と送られ、艦内には安心と喜びの空気が広がっていました。


そして途中で立ち寄ったのは――おなじみのノアリエル。

久々の地上でのごはんタイムに、ゆきなもえれなも笑顔が止まりません。


今回のメニューはなんと、釣りたて料理方式!

自分たちで釣った魚をその場で調理してもらえる特別スタイルに、

みんなのテンションは最高潮。


宇宙も、日常も、ぜんぶが冒険。

そんな楽しい時間が、今日も広がっていきます。


もしこの物語を気に入っていただけましたら、

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