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崖が崩れたらそこは宇宙ステーション♪  作者: Sukiza Selbi


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160/178

失われた都市の謎   試験始動アース 160

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

着陸 ― 失われた都市の謎


ハナフライムは灰色の雲を抜け、

崩れた塔群が並ぶ廃墟都市の上空に姿を現した。

着陸と同時に、粉塵が宙を舞う。


「……静かね。」


「まるで時間が止まっているみたいです。」


シーザーと技術班が迎えに来ていた。


「ではデータリンクを開始します。」


挿絵(By みてみん)


ホログラムのテーブルに無数の情報が流れ込む。

遺跡の構造図、記録ファイル、温度ログ、AIの残留会話データ。

そのどれもが、途中で途切れていた。


「すごい量ね……」


「はい。ですが、どうにも気になる点があります。」


シーザーが指を滑らせると、

都市全域の電力網が表示された。


「見てください。各都市が同じタイムスタンプで停止しています。

しかも、停止指令のログがありません。」


「謎、ね……」


ゆきなが腕を組む。


「聞きたいのだけど――この星、他の星との交流はあったの?」


シーザーがうなずいた。


「かなり昔ですが、記録があります。

この銀河の端にある“戦闘国家”と、部族間親睦の一環で競技会を開いたと。」


「戦闘国家……。」


「はい。彼らは“模擬戦”の名目で、この星から20名の代表を招待しました。

ですが――結果は、この星側の優勝。」


えれなが目を丸くする。


「つまり……この星の技術が上回っていた?」


「そう思われます。特に融合炉技術は、あちらの目を惹いたようです。」


「それで――彼らは?」


「招待以降、連絡は途絶えました。

星の記録によれば、“お迎えに来た”時点で既に座標を掌握されていたようです。」


ホログラムに、異星使節団の映像が映る。

金属質の鎧、赤い光を放つ目。

その表情は無機質で、どこか冷たい。


「これが……彼ら?」


「はい。」


ゆきなは目を細める。


「何かあった時は、防衛機構を作動させて。

今の融合炉防衛シールドなら、7日は持つはず。」


「はい。攻撃力をこちら基準で想定しても、それだけ持てれば十分です。」


「えれな、戻ったら解析お願い。」


「はい。今回はメインシステムを空けてありますので、フル演算で行います。」



駄菓子の約束


「そういえば……」


ゆきなが笑みを浮かべる。


「何か欲しいものはあるかしら? 食料とか資材とか。」


シーザーは少し考えてから言った。


「いえ、十分足りています。

ですが――もし可能でしたら……」


「うん?」


「えれな様がお子様たちに話していた“駄菓子”の詰め合わせを、次回に……」


「だ、駄菓子!?」


ゆきなが思わず吹き出した。


「いいわね、それ! お店だしちゃおうかしら!」


「お、お姉様!?」


「だって、夢があるじゃない! 星間駄菓子交流!」


「……太りますし、虫歯にもなります!」


「歯磨きセットも一緒に持ってくるわ!」


通信の向こうで、研究員たちが笑っていた。


「こちらの子どもたち、あのカラフルなお菓子に目を輝かせてまして。」


「じゃあ決まりね! “地球おやつ便”立ち上げましょう!」


「お姉様、もう完全に駄菓子屋のおばちゃんの発想です。」


「ふふっ、楽しくなってきたじゃない。」



終わりに ― 星の静寂と希望


通信が切れたあとも、ブリッジは静かだった。

遠くの星々が、ガラス越しに瞬いている。


「ねえ、えれな。」


「はい?」


「この星、まだ何かちょっかい出されていた気がするわ。」

「私も同感です。

あの同時停止……“内からの攻撃”というより、“外側の決断”に近い。」


「つまり、何者かたちが電源を落とした?」


「ええ。……何かを封印するために。」


ゆきなは小さく頷く。


「じゃあ、解いてはいけないものかもしれないわね。」


「……でも、お姉様は気になって仕方ない顔をしています。」


「当たり前でしょ。好奇心って、理科部長の宿命よ。」


二人は顔を見合わせて笑った。


「じゃあ次の調査までに、駄菓子を準備しておくわ。」


「お姉様、まずは輸出許可を取ってください。」


「はいはい、ちゃんと“銀河連邦公認おやつ輸送便”にしておくわ。」


えれなが苦笑しながらデータを整理する。

その背後では、ハナフライムの青い融合炉が静かに唸っていた。

その光は――失われた星の希望を照らしているようだった。


「お駄賃で買えるようにするわ!」


ゆきながつけ耳でにゃーん族風の格好でテーブルに並んだ色とりどりの“羽マークのコイン”を手に取り、

にっこりと笑った。


「この羽コイン、一枚で飴玉ひとつ。三枚で駄菓子袋。

お手伝いの子たちはお掃除や運搬を手伝ったらもらえるの。」


「シルエットーテーブル拭いているのね、お手伝いえらいね~はいコイン」


挿絵(By みてみん)


「わーい、お姉ちゃんこのコイン何に使うの?」


「こんどおいしいお菓子と交換できるのよ~」


「わあああ前のおかしみたい?」


「そうよお~みんなにも教えてあげておいてね!お手伝いするとコインもらえるって。」


「わかったあああ~!」


「素敵ですね。働いた分の喜びが形になる。」


えれなが小さく拍手する。


「ええ。笑顔でいっぱいの星になるわ。

あ、駄菓子屋のおばちゃんにも頼んでおこうかしら。ロボットも必要ね!」


整備ドックの子どもたちは、

“コインで駄菓子が買える”と聞いて目を輝かせた。


「お姉ちゃん! これでチョコ買えるの!?」


「もちろん! でも歯磨きもセットよ!」


笑い声が溢れ、整備場の空気はまるでお祭りのように明るくなった。



翌週末 ― 夜のドックに灯がともる


「まだまだですが……とりあえず飛べるぐらいまではきました。」


えれながタブレットを確認しながら報告する。


「みんな、宇宙で試験航行がしたくてたまらないようです。」


「いいわ、金曜日の夜に行きましょう。夜の方がロマンがあるじゃない。」


「はい。何が起きても冷静に対処できるように。」


夜――。

満月の光を受けて、巨大な船体が静かに輝いていた。

ドックの外壁を走る青い光のラインが、まるで心臓の鼓動のように脈打っている。


ゆきなとえれなは、

艦橋ブリッジのハッチをくぐると、

整然と並ぶノアリエル技術班が一斉に敬礼した。


「おかえりなさいませ、艦長、そして副艦長。」


「いいわ、そのまま作業を続けて。」


ゆきなは艦長席に腰を下ろし、

えれなは隣のコンソール席にスッと座った。

挿絵(By みてみん)

ついに――データの吸い出しが完了。

すべての情報が安全にアトランティスへ転送され、

本格的な解析作業が始まりました。


未知のウイルス、消失した記録、封印された真実――

解析が進むたびに、少しずつ“何か”が見えてきます。


それでも、ゆきなとえれなの周囲はいつものようににぎやか。

地上では、こどもたちのための駄菓子屋さん計画もスタート間近!

宇宙の最先端と、地球の日常が同じリズムで動いていく――

そんな世界の広がりに、胸がワクワクしてしまいます。


まだまだ、楽しみはこれからです。


もしこの物語を気に入っていただけましたら、

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