表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崖が崩れたらそこは宇宙ステーション♪  作者: Sukiza Selbi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

146/178

団体戦・予選最後の一戦、そして街の祝福へ 146

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

団体戦・最後の一戦、そして街の祝福へ


準決勝を勝ち抜き、ついに団体戦の最終マッチを迎えた。

部長も、ゆきなも、そしてエレナも、全力を尽くした。

残るは――最後決勝団体の優勝は勝ち取ったけどシングルス2の最後の戦い


「最後は、あの子に任せよう」


ゆきなが、少し微笑みながら言った。


みんなが顔を見合わせる。

その子は、実力は十分あるのに、なかなか公式戦で勝てずにいた後輩。


「いいの? ゆきな先輩」


「うん。今日は全員で戦う日だから」


そう言って背中を押すと、後輩は小さく震えながらも頷いた。


「……はい!」


会場の空気がふっと和らぐ。

みんなの応援が自然と集まり、手拍子と笑顔が広がっていく。

副大臣コーチも頷いた。


挿絵(By みてみん)


「いい判断ね。団体とはそういうものよ」



試合が始まると、コートは息をのむ静けさに包まれた。

最初のゲームを取られ、次は取り返す。

ラリーが続くたび、みんなの声が高まっていく。


「ナイスショット!」


「落ち着いて!」


「いけるいける!」


強豪相手に、粘って粘って――

誰もが驚くほどの集中力を見せた。


ゆきなは手を握りしめながら、胸の奥でつぶやいた。

(大丈夫。もう一人前だよ)


最後のゲーム。

6-4。惜しくも負け。

しかし、彼女の表情には悔しさよりも清々しさがあった。


「先輩……来年は、必ず勝ちます!」


その声に、全員が立ち上がった。


「よくやった!」


「すごかったぞ!」


「最高の試合だった!」


涙と笑顔が交じり合い、仲間の輪がまたひとつ強く結ばれた。

背中を叩かれながら、後輩は何度も頭を下げた。

その顔には、確かな自信が灯っていた。



夕方の光がコートを金色に染める。

試合が終わり、表彰式のあと、ゆきなは副大臣コーチに呼び止められた。


「ゆきなさん、今週どこかでお会いできるかしら? ご自宅で」


「えっ……! ご、自宅で、ですか?」


一瞬、空気が止まる。


「はい。ご両親もご一緒に、ね」


「え、えっと……はい、予定を確認してご連絡いたします!」


「よろしく」


その言葉に、周囲の部員たちが固まった。


(え、副大臣が……家に!?)

(ど、どんな話なんだろう……)


ざわざわと小さな波が広がる。

けれど副大臣は、ただ穏やかに笑って立ち去っていった。



帰り道。

バスの窓から見える景色が、どこか違って見えた。

会場を出た瞬間から、周囲の空気が熱を帯びている。


商店街の入り口に近づくと――

わあああああああああああっ!


「おめでとーーー!!!」


「テニス部、全国出場おめでとう!!」


人、人、人――。

アーケードの中は、まるでお祭りのような熱気だった。


朝にはなかった垂れ幕が、今はゲートいっぱいに広がっている。

赤い文字で大きく書かれた言葉。


「祝! 全国大会出場!」


「えっ、これ……朝はなかったよね!?」


「いつの間に!?」


部員たちは顔を見合わせ、ただ立ち尽くす。

アーケードの天井から、紙吹雪が舞い降りた。


八百屋のおじさんが、段ボール箱をどんと持ち上げる。


「優勝セールだー! テニス部割引ー!」


パン屋のご夫婦が笑顔で声をかける。


「ゆきなちゃん、エレナちゃん! 全国おめでとう!」


お菓子屋さんの奥さんまで手を振ってくれる。


挿絵(By みてみん)


「頑張ったわねぇ、ほんとに!」


生徒たちは、ただ感極まって立ち止まる。


「……すごい、夢みたい」


エレナがぽつりとつぶやいた。


「ねえ、お姉様。これ、全部……」


「うん。みんなの想いだね」


副大臣コーチもその光景を見上げながら、小さく頷いた。


「これが地域の力。あなたたちは、その中心にいるのよ」


拍手の中、ゆきなは一歩踏み出す。

胸の奥にこみ上げるものを、ぐっとこらえながら笑った。


(勝っても、負けても――この場所がある。だから強くなれる)


アーケードを抜ける風が、頬を優しく撫でていく。

その向こうには、まだ見ぬ全国の舞台。


ゆきなは振り返り、仲間たちに手を差し伸べた。


「さあ、行こう。これが、私たちの第一歩よ!」


夕焼けに染まるアーチの下。

歓声と笑顔と未来が、ひとつに溶け合っていた。


「よーし、みんな! 今日はうちでバーベキュー祝勝会だーっ!」


ゆきなの一声に、テニス部のメンバーたちが歓声を上げた。


「やったー!」「わーい!」


「親御さんも大丈夫だからね! 一度帰って、十八時半集合! ダメな子は連絡ちょうだいねー!」


笑い声と拍手がコートに響く。

みんなの目がキラキラしていた。勝って、泣いて、今度は笑って――最高の仲間たちだった。


ゆきなはスマホを取り出し、両親に連絡を入れる。

(お父さん、お母さん、今夜うちでバーベキューやります!)


「コーチ! 今日、祝勝会のバーベキューを山の家でやります。

両親も参加しますので……先ほどのお話、よろしいですか?」


副大臣コーチはにっこりと微笑んで、


「もちろんよ。ちょうどいい機会だわ。

ご家族揃っているところで、お話ししましょう。」


ゆきなは小さく息を吐き、


「ありがとうございます。では、よろしくお願いします!」


副大臣の穏やかな笑みの奥に、どこか硬い空気が漂っていた。

(もしかして……あの“手紙”のこと?)

ゆきなは胸の奥にざらりとした不安を抱いた。

ただの留学推薦が、どうやら思っていたよりも大きな波を立てている――そんな予感がした。



夕方。

山の家の庭に、炭の香りがふわりと広がる。

テントの下にはテーブルが並び、焼きそば、ステーキ、焼きとうもろこし。

笑い声があちこちからこぼれていた。


挿絵(By みてみん)


「部長ー! お肉焦げてますよー!」


「ええ!? うそー!」


「あははは!」


エレナが火加減を調整しながら笑う。


「お姉様、炭火の熱伝導を計算しておきました。これでちょうどいいはずです!」


「ほんと? さすがエレナ!」


部員たちはスイカを切り、マシュマロを焼き、次々に写真を撮っていく。

それはまるで、夏の一ページのような、穏やかな時間だった。

ついに――県予選団体通過!

夢の全国がぐっと近づき、帰ってきたテニス部を迎えたのは、

地域の方々や仲間たちからの熱すぎるお出迎え。

笑顔と拍手が、商店街中に響き渡りました。

しかし、その歓喜の裏で…

コーチの表情には、どこか重い影が差しているようにも見えます。

なにか話があるのか、それとも――?

喜びと緊張が交差する瞬間。

まだまだ物語は加速します!

どうぞ次回もお楽しみに!

もしこの物語を気に入っていただけましたら、

評価・ブックマーク・アクション、そして「いいね」や感想 をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ