表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/119

祝勝会と使われない最新豪華客船 113 (30000PV感謝)

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

「工場長、ありがとう!」


ゆきなが笑顔で手を差し出すと、工場長も迷わずその手を握った。


「いえ、こちらこそ……すべては、えれな様の準備が行き届いていたおかげです」


その言葉に、えれなは照れたように小さく微笑んだ。


「それと……相手側のコンピューター、30基ほど回収してあります。中にどんなデータがあるか……解析をお願いできますか?」


「楽しみですね! 前回のプラットフォームもそのまま使えますので、問題ないかと」



「今日は海底都市で祝勝会を予定しているの」


「ホテルも取ってあるから、無理には誘わないわ。ご都合に合わせて、のんびりしましょう」


穏やかな言葉に、周囲のスタッフたちもふっと顔をゆるめた。


「管制、お疲れ様。乗員20名程度、移動用の客船を工場まで回してもらえる?」


「ハナフライムは整備ドッグ入りで、ちょっと無理させすぎたから」


《承知いたしました。5分ほどで到着いたします》


やがて――


遠くから、まるで大統領でも乗ってくるのかと思うほど、きらびやかな豪華客船風の大型船が姿を現した。


「……豪華すぎるわよ……」


挿絵(By みてみん)


「いえいえ。実は、この船……使われる予定もなく、ほぼ訓練航海のみで新造後ずっと保管されていたんです」


「ぜひ、**今日という日に“使ってやって”ください。乗員乗客、全員、喜びますから」


ふと見渡せば、確かに船員たちは嬉しそうに胸を張っている。

新しく造られ、誰にも使われなかった誇りの船。

今日、その船が本当の意味で“役目”を果たす。


ゆきなは内心で**(ちょっとデカすぎるけど……)**と思いながらも、それは飲み込んで――


「わかったわ。お願いね」と、静かに言葉を返した。



船内では、スタッフたちがにこやかに声をかける。


「いらっしゃいませ!」

「こちらのカフェで、おくつろぎください」


冷たいドリンクが出され、乗客たちは甲板のオープンデッキのカフェテーブルへと案内された。

そこには風と、音楽と、戦いを越えた静けさが流れていた。



「水中モード、起動――」


挿絵(By みてみん)


ガラスのような透明なシールドがゆっくりと展開され、船全体が水中へと潜航を始める。


「わああっ、きれい……!」


「すごい、サンゴ礁が見えるよ!」


あちこちから歓声が上がる。

周囲に広がるのは、夢のような青の世界。


そして、ついに――


海中都市に到着。



― 新たな提案と輝く目 ―


ゆきなが、ふと船長の方を見てつぶやく。


「……これ、もったいないわね」


「この船、海中・空・中央・山岳の各都市を巡る定期クルーズとして運行すればどう?」


「地球人って、のんびり旅しながら寝て移動するの、好きでしょ? 贅沢だけど、きっと喜ばれるわ」


その言葉に――


船長の目が、ぱぁっと輝いた。


「……それ、すごく素敵なアイデアです! 本部に提案してみます!」



― そして、祝福の夜へ ―


静かな海中都市の光が、船のガラスを照らす。


それは戦いを終えた者たちへの、ご褒美のような夜の始まり。


遠く、都市のホテルの高層階には、祝勝の光がゆっくり灯り始めていた――。


― 四都市クルーズ、突然の承認 ―


ゆきなはポケットから通信バッチを取り出し、カチリと押した。


「四大中央コンピューターさん、聞こえますか? あのね……四都市クルーズってどうかしら?」


ほんの遊び半分のつもりだった。


だが――即答だった。


《素晴らしい考えです。承認します》


「えっ……?」


まだ工場には何も言っていないのに、四都市側の承認だけがなぜか瞬時に通り、運行開始が決定してしまった。



「今回は、ゆきな様たちだけの特別ツアーだそうです」


美しく飾られた海中都市のレストラン会場には、豪華な料理が並ぶ。


テーブルに着いたゆきな、えれな、仲間たちは、金色のグラスを手に取って――


「では! 勝利を祝して――

かんぱーーーい!!!」


挿絵(By みてみん)



― 生きて帰ってきた喜び ―


「……えれな」


「はい、お姉様」


「……生きて帰って来れたわね」


「……本当に……ダメかと思いました……」


二人の視線が静かに交差する。

その間に流れるものは、言葉以上の絆だった。



「あっ、そうそう。ハナフライム型、あと5台発注できるかしら?」


「……余裕ですよ」


「えっ?」


「2週に一度、大金が振り込まれてまして」


「……ああ二酸化炭素代ね・・・・」


「しかもデスネレート換金でプラス補正。さらに……なぜか“惑星上で使用された金額の10%”が私たちに入ってきてます」


「……えっ!?なんで!?」


「著作権……というか、発案料とのことです」


「惑星売り上げ × 0.1 だそうで……」


「……もう、むちゃくちゃね……」


「今、いくらあるか聞かないほうがよさそうね・・」


「……お姉様、それは……」

「聞かなくて正解です」



「じゃあ、メインエンジン関係は地球の方でエレナが作るから、発注だけお願いね」


「……でも、何かに使うんですか?」


「いえ。そろそろ、“貸してくれ”だの“売ってくれ”だの言われそうじゃない?」


「だから先に、作っておくの」


えれながクスッと笑った。


「今度は銀河連邦で、お金稼ぎですか?」


「そんな悪いこと言わないの!」


「あとから勝手についてくるだけよ!」


「はいはい、わかってます、わかってます」



― 想像の果てにある未来へ ―


えれなは、紅茶を飲みながらふと思った。


(お姉様の想像力は……本当に、無限大)


戦いのあとの静けさの中、次に何が始まるのか――

誰にも予想できない。


だけど、それが楽しい。

それがワクワクする。


そんな風に思っている自分自身に気づいて、えれなは自然と笑顔になっていた。

祝勝会は、みんなが「生きている喜び」を胸いっぱいに感じる時間でした。ゆきなも、えれなも、仲間たちも、そして遠い星の人々までもが同じ気持ちで祝ってくれて、広い宇宙の中に確かに通じ合うものがあるのだと感じました。

この物語は、戦いのあとにも必ず笑顔や拍手があり、そして再び未来へ進んでいく力が湧いてくる──そんな世界を描いています。


今後も、きっと新しい展開が次々に始まります。未知の星、出会う仲間たち、そして誰も見たことのない景色。ゆきなとえれな、そして私たちが大切にしている「平和」と「ワクワク」の物語は、まだまだ続いていきます。


もしこの物語を通して、あなたの心にも少しでも同じ“ワクワク”が届いていたら嬉しいです。ここまで読んでくださった読者の皆さま、本当にありがとうございます。よろしければ感想や評価をいただけると、これからの物語づくりの励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ