希望の光 あきらめない心・・・でも絶体絶命 111
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
― 崩れかけた心に、再点火 ―
「お姉様……すみません……ミサイル残弾ゼロ。融合炉、残り8分程度で限界点です」
えれなの声は震えていた。艦内の誰もが、その数字の意味を理解していた。
戦闘音が遠のいたように感じるのは、錯覚ではない。誰もが「終わり」を意識していた。
だが――
「えれな、諦めたらここで終わりよ!」
ゆきなが凛とした声で叫ぶ。
「ワープ全カット。残ったエネルギーはシールド強化に集中させて。そして――主砲分だけは残して」
「了解……!」
「私もいったん帰還するわ。パワードスーツ、融合炉カセット交換をお願い!」
艦内が静かに動き出す。コクピットへ戻るゆきな。えれなの顔を見ると、必死に演算を続けていた。
「えれなっ!」
「はいっ!」
「諦めるんじゃないわよ! あなたは――地球の“心”を教わったでしょ!」
えれなの手が止まった。そして静かに、でも確かに頷く。
「わかりました……死にものぐるいで効率化を図ります!」
その横顔を見ながら、ゆきなは内心でつぶやく――
(……でも、本当は思ってる。流石に、ここまでかもしれないって……)
⸻
― 40分前、もうひとつの物語が動き出す ―
時を戻して――40分前
惑星工場の特別格納庫、普段は無人のセクションに突然、警報が響き渡った。
ピピピ――ピピピ――!
《緊急シーケンス、起動――》《緊急シーケンス、起動――》《緊急シーケンス、起動――》
これは、えれなが密かに組み上げていた自動応援システム。
「ハナフライムに緊急事態が発生した場合、即座に応援機を発進させる」
そのためだけに作られた、“希望の機構”。
チュイーーーーーン 最適化アルゴリズム起動
惑星ノアリエル中央コンピューター及び工場コンピューター
発射シーケンス補助開始ノアリエルAIリンク申請
《緊急融合炉群 起動開始――》
《宇宙ステーション型 大型融合炉 1~8号炉 起動、出力80%固定》
《補助炉 1~12号、起動開始――》
《クロスシールド展開準備、ノアリエルAIリンク許可》
「緊急出撃! 特別艦・ハナフライムα、発進準備完了!」
「防衛シールド、緊急解除承認――!」
《AI Version 2、ブリッジオンライン》
《管制引き継ぎ完了。ワープ開始――速度19.3までスピード最大加速》
《合流予定、40分後》
「おい……動いたぞ……!」
「マジかよ…ゆきなさんたち無事だといいな…!」
本心が伝わるその言葉にノアリエルに住んでいる住民は全国民同じく思っていた。
空を見ると巨大な見たことがないものが青いものを纏って緊急出動していくノアリエル全国民の希望を乗せて
そして現在――
艦が徐々に被弾し、シールド残量17%。
さすがに・・・・ここまでかもしれないわ・・・
ゆきなは通信を開く。
最後の、皆へのメッセージだった。
「――皆様へ。誠に申し訳ございません。ここまで戦いましたが……状況は絶望的です」
「助かる見込みは……正直、限りなく低いと思われます」
「どうか、脱出カプセルでノアリエルに辿り着けることを――それだけを、祈っています」
「私とえれなは、ここで敵を引きつけます」
しかしその時――
「何言ってるのよ!!」
ユリアの怒声が、通信回線を通じて艦内に響いた。
「あなたたち、私たちよりも若いくせに、何“終わり”みたいなこと言ってんの!?」
「ここまで来たら、全員一緒でしょ!?」
その言葉に、誰かが息をのむ。
「……ですが――」
反論しようとしたその声は、次の瞬間――
“加速波動”が空間を震わせる
「これは……ワープ波!? この速度……!?」
「えれなっ! モニター、切り替えて!」
表示されたスクリーンには――
巨大な見たことがない戦艦が星雲を裂き周囲の進行方向敵戦艦を駆逐しながら現れる姿があった。
⸻
― 救援の翼、来たる ―
《こちら、ハナフライムα特別艦。ハナフライムに合流、現在より一斉反撃モードへ移行します》
《全砲門、展開完了》
《融合炉リンク許可――承認》
空間が輝いた。
希望が、光になった。
そして――
えれなが、そっとつぶやく。
「まだ、終わってなかった……」
― 合体シーケンス、始動 ―
「……えっ?」
突然、えれなが思わず声を漏らす。
その声は、どこか間抜けで、どこか神聖で。
「なに? その声……?」
ゆきなが問いかけるより先に、モニターが突如、青い光に染まった。
《合体モード・シーケンス開始》
その文字が、神殿の扉を開くように、ブリッジ中に表示される。
「え……?」
えれなが、瞬間、何かを思い出したような顔をする。
⸻
― 忘れていた”約束” ―
「……お姉様、間に合いました。」
「え……?」
「私、今まで――忘れてました。でも、組み上げてたんです。前に。いつか来るかもしれない“この時”のために」
モニターに浮かぶ青白い光の輪。その中から――
何か“巨大な存在”が接続されていく。
⸻
― ハナフライムα、覚醒 ―
“ガタンッ”
艦が音を立てて揺れる。
炭素繊維結合シーケンス――完了。
映像が切り替わる。そこに映るのは――
スザまじい数の融合炉。120基を超える砲門。
そして、
《ハナフライムα制限解除モード》
その名が、艦全体のメインモニターに堂々と表示された。
― 青白き神の炎 ―
艦の外装が青いオーラに包まれていく。
8箇所の大型炉からは、青白い光の火柱が吹き上がるように照射されていた。
「現在、48層構造の大型炉シールドが6基で展開」
「中型炉が大型炉の中継構造を形成、バリアの全周囲が輝いています。」
宇宙空間に咲く、青の光樹。
その中心にある艦――それが、もはや艦という言葉では表現できないほど、神格的な存在感を持っていた。
その光景の中で、ゆきなが冷静に告げる。
「えれな、状況判断を」
「はい」
「――逃走するものは、放置なさい」
「えっ?」
「**噂が広まったほうがいいわ**ここにいた者たちが“何を見たか”を話せば、敵勢力に強烈な震えが走る」
えれなも、ゆっくりと頷く。
「……そうですね。“存在を見せる”というのは、一種の戦略ですね」
えれなは続ける。
「攻撃してくるものだけ――“殲滅”します」
― ハナフライムα、静かなる刃 ―
まるで女神の裁きのように、ハナフライムαの主砲群がゆっくりと起動していく。
円を描くように回転する砲門、点滅する同期光、唸る融合炉。
その全てが、敵を選別し――静かに、精密に、破壊する準備を整えていく。
そしてえれなが、静かに一言。
「お姉様……最後に決めましょう」
ゆきなが頷く。
「――ええ。“この世界のために”」
ハナフライムα えれなのお姉さまを殺さないその一心で
考え出されたシステム星のコンピューターの補助を受け最短で
臨界までもっていく能力 みんなの助けたいとの星の願いを込めて
★評価・★ブックマーク・★アクションをお願いします!




