今後のいろいろなゆきなの夢! 105
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
(壮大な作戦開始まであと3話)
『夏、企画中。秘密基地、拡張中。』
「素晴らしいわね……全員合格なんて。さすが先輩方だわ」
朝の会議で名簿を見ながら、ゆきなが目を細める。
「どこまでドキッとさせる夏休み合宿にしようかしら……一応、2泊3日の予定よ」
⸻
部活の夏、始動!
朝練は毎日。
夕方は、2日に1回。
テニスと理科部を、交互にスイッチするルーティン。
「せーんせーい!」
「……なに?」
「付き合って2ヶ月ぐらいですか?」
「えっ……」
「どこ行ったんですかー!?」
「な、ないしょー」
「ええーーーっ!?」
「私、こんなにお手伝いしたのにぃ〜」
「普通よ普通。この前は猿島に渡ったわよ。三崎のマグロも食べたし、横浜赤レンガから山下公園、船にも乗ったわよ〜」
「でも……ノアリエルがいちばん良かったなあ」
「しみじみですね」
「また行きたいわね」
「私も、先生が幸せそうで嬉しいですよ」
にこやかに、夕日が射し込む部室。
「夏休みはね、合宿あるから。予定を考えるわよー」
「ミステリーツアー、やるんですか!?」
「いいわね。やりたい?」
「やりたいデーーーす!!」
二年生たちは、ワクワクが止まらない。
⸻
新入生、ようこそ体験会!
一年生はまだ、何が待っているか知らない。
エレナとみすずを除いては。
「よーし、今度――第1回シミュレーション新入生体験会、やりましょうか!」
「さーんせーいっ!」
「浅香先生の彼氏……じゃなくて、副顧問も連れて行かなきゃ!」
「ふふっ、いいわね。行きましょうか」
「でも席、足ります?」
「増やさないとね。人数も増えてるし!」
ワクワクしながら、部活はその日も穏やかに終わっていく――
⸻
夜の秘密基地、そして奇妙な物体
「ふぃ〜〜〜〜っ、今日も疲れたぁ」
基地の大浴場でリラックスしたあとは、リビングでデータをいじるゆきな。
モニターにはスキャンされた宇宙データがずらり。
「ねえエレナ」
「なんですか、お姉様?」
「これさ、岩みたいなんだけど、縦長で200mぐらいあるの」
「……えっ。ちょっと待ってください」
「なんか、惑星の周回軌道じゃなくて、まっすぐ進んでない?」
「……本当ですね。岩にしか見えませんが……航行してる?」
「ありえるのかな……何百年も進んでる宇宙船とか」
「うーん、でも今のハナフライムなら、連結して行けばそんなに遠くないですよ」
「じゃあ、銀河連邦との作戦が終わったら見に行きましょ」
「ワープがなければ、進行距離は限られてますから。予測もできます」
⸻
「あとさ、エルダンカ国も行きたいわよね〜」
「えっ、エルフの国ですか?」
「そうよ、エルフよ。どんなとこかしら〜。マリア姫の制服姿、見てみたくない?」
想像してみてかわいい♡
「やること、どんどん増えていきますねぇ〜!」
「ほんとにね!」
「それと……お金の使い道も、考えなきゃ。今、本体ステーションはお風呂と制作、コンピューター機能だけでしょ?」
「はい、ですね」
「でさ……あの前の空き地。ずっと“売地”のままでしょ?」
「あぁ……昔ホテルだった場所ですね」
「そうそう。あそこ、買っちゃえないかな」
「何するんです? あんな大きな場所……」
「テニスコート10面と、シャワー室と、ウッドデッキのロッジカフェハウス!」
「……素敵ですね」
「今の場所もいいけど、朝じゃないと空いてないし。ついでに……バスケリングも置いちゃおうかな!」
「素敵ですね!(2回目)」
「で、ここからが本音なんだけど」
「……え、まだあるんですか?」
「下、掘削して地下都市にしない?」
「!! また大胆なことを!」
「地下ラボなんて最高でしょ? 電源は無限大で使えるのよ?」
「……あの、えれな、コンピューターの小型化、できる?」
「わかりました。今後の想定で、設計に取り入れます」
「えへへ……やることいっぱい! 最高だわっ!」
ふらりと、お風呂上がりの人影がやってきた。
「おっ、久しぶりだな〜。また壮大な話してるな?」
「お父さん!」
のんびり湯気をまとったその背中は、どこか誇らしげ。
「いや〜、やっぱりこのお風呂、いい湯だよ。宇宙モニター見ながら浸かれるなんて最高だよな〜」
「ねー」
「うんうん」
2人は湯上がりタオルのまま、ほっこりと合図ちを打つ。
この大浴場は、家族も仲間も出入り自由の“常連空間”。
和やかな日常が、今日も静かに流れていた。
⸻
その頃、遥か本星では――
「司令部、こちらハナフライム5番艦。司令部横・発着場に着陸許可を願います」
「承知いたしました。誘導プログラムでご案内いたします」
「ありがとう」
滑るように進入する艦内、後方には技術国の大使の姿もあった。
「すごくいい船ですね……本当に。あれ、一機買えませんか?」
「今度、交渉してみようかな。最悪リースでも、内部情報は非公開で構わないかと」
「ふふ、それなら話が早いかもな」
ハナフライムより通信が入る。
「総司令、本星帰還任務、完了いたしました。離陸してよろしいですか?」
「ありがとう。また何かあれば頼む」
「了解いたしました。ゆきな艦長、えれな副長へご報告いたします」
艦は自動航行モードに入り、周囲の星域記録を回収しながら静かに帰路へとついた。
また大きな夢を語りだすゆきな
そんな反応も嬉しそうなえれなまだまだ♾️です。
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