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円卓会議とほのぼのお弁当 102

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

アザト司令の声が裏返る。


 「えっ!?なになに……なんで、なんで……!?総司令が……!?」


船の艦橋でくつろいでいた一同が一斉にそちらを向くと、帽子を目深にかぶった一人の人物がすっと姿を現した。


「ミヤギ……総司令……?」


「あぁ。驚かせたようで申し訳ない」


帽子を取ると、まぎれもなく銀河連邦の頂点に立つミヤギ総司令の笑顔があった。


「いやね、隣人となる人を失礼かとは思ったが──最後の会議の前に、自身の目で”見極めたい”と思ってな。ユリア中佐とエリオット中佐には内緒で、招待状を頂いたのだよ」


「どうでしたか?」と、ゆきなが自然な笑顔で尋ねた。


「素晴らしいですね。私も……正直、くっついて行きたくなるほどです」


そう言って笑うミヤギ総司令に、ゆきなとエレナは深く頭を下げた。


その数分後──


ゆきなえれなチャットに、珍しく文字でメッセージが届く。


《もう一隻呼べるかしら》


送信者:ゆきな


《呼べますよ。こちらは3隻帰還予定ですし、一隻あれば火星-地球の交流任務も可能です》


《今、防衛についている艦が7.5時間で到着できます》


《では、呼んでくれる? ミヤギ総司令を本星まで自動航行でお送りしたいの》


《なるほど、さすがですねお姉様》


《まあ、味方にしておいて損はないわ》


えれなに嬉しそうに返事を送る。


《ありがとう》


「ふふっ、文字、久しぶりで……嬉しいです」

 

──そして第一ゲート到着。


三隻連結のハナフライム号の横に船が並ぶ。


「私たちは船で着替えてきます。さすがにジャージのままじゃね」と、笑いながらゆきな。


でもその前に──


「あ、エレナ。ササニシキ、前に真空冷蔵庫に積んだわよね?」


「ありますよ、使ってませんもの」


「じゃあ炊くわよ」 


ブリッジの調理台にて炊飯ジャーに無洗米をセットし、湧き水を注ぐ。


「調理酒、塩、昆布1枚……よし」


「お姉様、何作ってるんですか?」


「会議、ちょうどお昼でしょ? だから”おにぎり”よ。お茶と一緒に出せば、少しは打ち解けるかと思って」


「素敵です……。中身は、私はおばあちゃんのきゃらぶきで!」


「渋いわね〜。私はね……おかか、昆布、ツナマヨ、明太子、シャケ!」


「欲張りすぎです」


「じゃあ全部入れて、小さめサイズにしようか!」


「走水のやきのりは常備♪」


るんるんの2人は、合成機で竹のお弁当箱を15個作成。

炊き上がるのを待つ。


ピロリンピロロン♪


いつもの音で炊き上がり完了。

あっつあっつ言いながら、おにぎりを握っていく。


挿絵(By みてみん)


ノリで巻いて、それぞれの具を印字して、上にきゃらぶき、シャケ、おかか、ツナマヨ、明太子の表記。

そして緑茶を水筒に入れ、完璧な「銀河おにぎりランチ」完成。


「総司令がいるってことは、全員来てるわよ」


「ガラガラ台車で運ぶわよ!」


「わぁぁ!お弁当だいすき!!」


「願わくば……シュウマイが欲しかったけど」


「今度、真空パックで買っておきます!」


会議室に着くと、そこはまさに銀河の縮図。


360度スクリーンに囲まれた円卓には──

•ミヤギ総司令

•アザト司令

•副総司令

•エルダンカ国 大使

•各部隊の参謀や作戦責任者

•技術国の代表

•そして、ユリアとエリオットの両中佐


まさに超級会議。


ガラガラッと登場した2人を見て、一瞬空気が止まる。


挿絵(By みてみん)


「先ほどはどうも」と、ミヤギ総司令に弁当とお茶をそっと手渡すゆきな。


「初めましての方もいらっしゃいますね。ちょうどお昼ですので、私たちの国の伝統文化──お弁当を作って参りました!」


「出来立てですよっ」


えれなの素敵な笑顔がまぶしい♪


笑顔とともに席に座ると、15個の弁当がぴったり。


簡単な自己紹介のあと、1ヶ月の調査成果を発表。


「では、えれな。シミュレーション投影をお願い」


「はい、投影します」


星系がホログラムで立体的に浮かび上がり、静かなBGMの中──ゆきなの報告が始まる。


食べながらも、みんなが驚きと感心の声を上げていた。


挿絵(By みてみん)


「……これ、美味しいな……」


「ツナマヨってこんなに合うのか……」


「わたし、この”きゃらぶき”っての好き!」


外交と調査と家庭の味。


それが、今日の”平和”のカタチだった。


――調査は、確かな証拠を掴んでいた。

数千光年の旅路を経て、銀河連邦がたどり着いた真実とは──。


 会議の終盤、ホログラムに浮かぶ星系が淡く光り、空間にゆるやかな緊張が走る。


「それでは……次の報告に移ります」


ゆきなが目線を全体に送ると、えれなが頷き、次のシミュレーションを立ち上げた。


青白い光の点が、星図上に浮かぶ──それは、**母星マザーアース**と呼ばれる星。


「我々が“母星”と仮称していた存在ですが……」


ゆきなが静かに語り出す。


「今回の調査により、過去の銀河歴調査で記録されていた地点と一致することが確認されました」


会議室の空気が、わずかに震える。


「位置は、星間霧に包まれた軌道層の内側。周囲の重力干渉を利用した”自動防衛層”が敷かれており、外部からの侵入はほぼ不可能に近い状況です」


さらに表示される、いくつもの点──


それは、大型船の建造拠点を示すものだった。


「同時に確認されたのは、大型艦の製造拠点が銀河内に少なくとも5箇所。全てが、かつての調査線上に並ぶ形で存在していました」


ホログラムには、直径1kmを超えるドック群。

周囲には資源小惑星と、それを囲む防衛衛星網。

高密度ヘリウム採掘ステーションや、艦載兵器のテストリングまでもが確認された。


「これらの拠点は、いずれも完全自律型。植物惑星による自然作成の基地となります。」


「つまり、“彼ら”は常に……次の出撃に備え、植物として生えていると考えられます」


会議室の奥で、誰かが小さく息を呑む。


ユリアが眉を寄せ、そして呟く。


「……やはり、私が聞いていた話は事実だったのね」


えれなは、声のトーンを抑えながら続けた。


「最も重要なのは、これらの拠点が“指令系統を持たない可能性”があることです。上下関係はあるでしょうがつまり、単純に餌を欲しがり宇宙の自分の餌場の領域をみんなで広めている可能性がある」


「誰かが操っているのではなく、“ただのご飯のためにが動かしているのです」


ゆきなは、それを受けてまとめた。


「我々の次の一手は、この拠点をどう封じるかではなく、“いかに効率悪くすることになるでしょう」


「もし“母星”が守りたいものがあるのなら、それは破壊ではなく、継承に近いはずです。私たちが未来に残す選択肢の一つとして──」


ミヤギ総司令が、深く頷いた。


「若い世代にしかできない思考だな。いい。引き続き、その視点を忘れずに行動してほしい」


その言葉に、場の空気が静かに引き締まっていく。

想像してください 台車でがらがらゆきなとえれながお弁当をもってきて

配る姿を素直に‥ 私にも一つください!・・・おにぎり弁当食べたいなっ

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