ユリア艦長の結婚式へ 100話記念 感謝25000pv
皆様のおかげで100話目 また偶然にも25000pvを超えました。
まだまだ長い物語の中 ゆきなは三年生の上半期 日常が続いて行き徐々に地球も変わり始めそうな雰囲気です。
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静かな時間の流れと共に、予定の1時間前となった。ブリッジで時刻を確認したゆきながふと顔を上げる。
「そろそろ次の予定があるから、ここでお開きにしましょうか」
マリア姫が名残惜しそうに頷いた。
「次はどちらへ?」
「輸送船の女性艦長さん、ユリアさんの結婚式よ」
「まぁ……素晴らしいですわね。恋愛での結婚なんて……本当に憧れます」
言葉の端に、どこか切なさが滲んだ。
「姫様は……やっぱり自分でお相手を決めるのは難しいの?」
「うふふ、そう思われますわよね。でも最近は王室の考え方も変わってきまして、人権は自由に選択できるようになっているんですのよ」
そう話すマリアの瞳は、どこか遠くを見つめていた。
「さすがにお兄様のお相手となると、今でもなかなか自由にはならないけれど……でも、駆け引きや政略も減ってきて、銀河連邦で働く者の中から自由に交際を始めるケースも増えていますわ」
「なるほどね……あ、ちなみにわたし、もうすぐ18歳。えれなは16歳になるところよ」
その言葉にマリアが驚いたように微笑んだ。
「まぁ、じゃあえれな様と同い年ですのね。私も今年16歳になりますのよ。戻れば普通に学生ですわ」
「えれなと同じなんだ。なんか、ちょっと親近感」
「はいっ」とえれなが明るく応じる。
マリアも満面の笑みで続けた。
「私もぜひ、お友達として気軽にお会いできる関係になりたいですわ」
ゆきながポケットからタブレットを取り出す。
「これ、プレゼント。私たちがやってるスポーツや地球の文化、いろいろ詰め込んだ情報タブレット。よかったら見てみて」
「まぁ……うれしい。ありがとうございます」
「いつか、異文化交流の留学生制度とかできたら……」
「素敵ですわ! 本当にそうなる日が来ますように」
その笑顔は、銀河の未来のどこかで重なり合う予感を秘めていた。
「では……明日には帰国いたします。約束ですわよ、絶対来てくださいね!」
「了解致しました!」
「……あら、ゆきな様。タメ口って言ったじゃないですか〜!」
笑いながら去っていくマリア姫の後ろ姿に、えれなも思わず吹き出していた。
⸻
「さて……次はユリアさんの結婚式ね。管制、どこから行けば一番スムーズかしら?」
『司令、今回は宇宙ステーション司令もご出席とのことで、専用シャトルをご用意しております。1番ゲート、ハナフライム号のお隣からご出発ください』
「気が利くわね。ありがとう」
「ユリアさん、綺麗でしょうねー」とえれなが呟くと、
『いつも最近は一緒に司令室にいらっしゃいますが、副司令がうらやましい限りです』
「ふふ、いい人見つけなさいな。では、出発するわよ」
ゲート前には、純白の小型シャトルが待っていた。
「ゆきな様、えれな様。こちらへどうぞ」
女性パイロットが微笑む。耳が少し尖っているのが目に入った。
「エルダンカ国のハーフです」
「へぇ、多いの?」
「最近はそうですね。200年前から連邦に加盟して、国としても多文化が進んでいます」
「食文化も気になるわ。魚は食べる?」
「ええ。植物中心かと思われがちですが、実は魚介料理も多いんです」
軽快に会話を交わしていると、ステーション司令・アザトが到着した。
「お二人とも、お待たせしたかな」
「いえいえ。パイロットの……」
「イエナと申します。よろしくお願いします」
席に着いたイエナは、礼儀正しくも柔らかい雰囲気の女性だった。
「イエナさんとは、今後も仲良くできそうですね」
「ありがとうございます! 王国では魔法工学の研究もあり、私も一応魔法適正があります」
「魔法!?」とゆきなが興味津々。
「私は空間把握の魔法が得意で、レーダーを使わずとも小惑星や障害物を回避できるんです。そのおかげで、この来賓用シャトルの専属パイロットになれました」
「すごーい」
「いえいえ。ちなみに……マリア様は、400年に一度の逸材って言われてます」
「それは……会えてよかったわ」
イエナと連絡先を交換しながら、シャトルは静かに発進の時を迎える。
「では、出発します」
その瞬間、イエナの表情が一転し、鋭い集中を宿す。
その変わり身に、ゆきなとえれなは思わず息をのむのだった。
シャトルの窓の外、光る雲を抜けると、ほどなくして眼下に港町の輪郭が現れた。
「見えてきたわね。あと10分ぐらいかしら」
ふとつぶやいたゆきなの目には、夕暮れに染まる海と、灯りのともる小さな家並みが映っていた。
「この前の料理、美味しかったですよね〜」
と、えれながわくわくした声で続ける。
「今日はどんなお料理が出るのかしら。楽しみですわ」
隣の席から、アザト司令が頷いた。
「うむ、あの店はこのあたりでは評判だからな。だが、君たちが救出したユリアは──実は、つい最近まで謹慎中だったのだ」
「えっ?」と同時に声を上げる2人。
「なぜですか?」と、ゆきなが尋ねると、司令はゆっくりと語り出した。
「連邦の裁判を前に、連邦機密を“正体不明の勢力”に引き渡したという嫌疑がかけられたのだ。その“勢力”というのが……君たちだった」
「なんですって……」
えれなが思わず眉を寄せた。
「だがユリアは言った。『私の判断は間違っていません。あのままでは全滅だった。命を救われたのです。感謝の証として支援したことが罪だというなら、除名でもなんでも受け入れます』とね」
その強い口調を思い出すように、アザトはわずかに微笑を浮かべた。
「ユリアさんらしいわね……」
「まっすぐな人ですね」
ゆきなとえれなが顔を見合わせて、ほっとしたように頷いた。
アザトは続けた。
「その後──さらに多くの命が救われた。しかも、彼女の証言通り、高速ワープを備え、内部をスキャンできない技術を持った艦船で現れた“お二方”がすべてを証明してくれたのです。」
「うふふ……誰かしら?」
と軽くとぼけるゆきなに、アザトも笑う。
「しかも映像データの提供、大型船の寄贈……すべてがあった。あの瞬間、ユリアへの疑惑は完全に払拭された。むしろ、その功績で少佐から中佐へ昇進。そして、晴れて堂々と結婚式を挙げることになったというわけだ」
「なるほど……もし今も謹慎中だったら、わたくし、協力体制はこの場で切るつもりでしたわ」
ピシャリと言い放つゆきなに、アザトは肩をすくめて言う。
「おーこわいこわい……だが頼もしい限りだ」
その場に柔らかな笑いが広がる。
そして、シャトルは軽やかに港町の着陸パッドへと舞い降りた。
外には、潮風がゆるやかに吹いている。
街灯が水面に映り、あたたかな光を揺らしていた。
「明日の朝、またお迎えにあがります」
イエナがシャトルの昇降口で微笑み、手を振って見送ってくれる。
「ありがとう、イエナさん。またね」
ゆきなとえれなが手を振り返す。
その笑顔に、旅の続きへの期待が、ふんわりと灯っていた。
さあいよいよ結婚式ゆりあさん綺麗かなあ
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