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これまでの人生を思い返す翔平、多くの日本人の幸せを願う

アンナも天使たちもいなくなったリビングで、一人立ち尽くしていた翔平でしたが、テーブルに向かうとペンを握り、メモ用紙を前にしばらく考えていました。

明日目覚あしためざめると、10回ほど生まれ直した記憶は消えてしまう」

そうつぶやくと、それまで味わった数々の人生を思い返すのでした。学校で見捨てられたり、働く機会を奪われたり、一部の人間の利益のために国が動いていたり、そういったものを体験してきたのでした。そして差別されたり、搾取さくしゅされたり、チャンスを奪われていることすら知らないで生きている多くの日本人を見てきました。

「忘れないうちに書いておかないと」

そう言って翔平は、メモ用紙に書きはじめるのでした。そして書き終えると安心して寝室に行き、深い眠りにつきました。翌朝目を覚ました翔平はリビングまで行くと、アクマの刻印があった両手首を見つめ、そしてアンナが叩き出された大きな窓を(なが)め、天界と空間がつながっていた天井を見上げるのでした。なぜ自分がそれらを見ているのか分からなかったですし、そして何も思い出せませんでした。テーブルに向かった翔平は、書いたおぼえはないが確かに自分の筆跡ひっせきで書かれたメモ用紙を見つけました。そこにはこう書かれていました。

大勢おおぜいの日本人を貧しく不幸にしている教育、労働、政治のシステムを変えるスーパースターを見つけること》

なぜ自分がそんなことを書いたのか分かりません。大好きな野球を続け、大成功している翔平に、世の中のシステムへの不満などなかったからです。でもそれはとても必要なことだと思いました。なぜそう思ったのかも分かりません。とりあえずくわしい人の話を聞いて、自分の知名度と財力でやれる範囲はんいのことから始めていこうと思いました。そのことで微力びりょくながらも世の中が良くなり、一人でも多くの日本人が豊かになり幸せになってくれればと願うのでした。


季節が変わり春を迎えると、新しいチームに移籍いせきした翔平の活躍が始まりました。


アクマと契約したその男は、30才になっても生きていました。


【おしまい】

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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