救われた翔平、天使を見送る
アンナがいなくなった翔平の部屋では、天使の握っていたバットが、元の剣に姿を戻していました。ソファから立ち上がった翔平は、まず上空を旋回している2人の天使にお辞儀をし、次に目の前の天使にも頭を下げて、こう礼を述べました。
「魂を取られるのを、防いでいただきありがとうございます。でもよろしいのでしょうか? ボクはアンナと契約していたので、魂を与えるべきではないでしょうか?」
「気にすることはない。絶えず向上し、努力を続ける者は救いを得ることができるのだ」
と剣を持った天使が言いました。
「翔平、君はアクマとの契約の縛りはなくなったので、29才で死ぬことはない。それと10回ほど生まれ直した記憶を持っているが、今夜眠り、目覚めた朝にはそれらの記憶はキレイになくなっている」
「ありがとうございます。これからボクはどうすればいいんでしょうか?」
「何も変える必要はない、これまで通り精進すればいい。傲慢や強欲にならないことだ」
そう言って剣を持った天使は飛び立ち、天上に向かって一直線に昇っていきました。旋回していた2人の天使も、それを追いかけるように天上に昇っていきます。やがて3人の天使の姿が見えなくなった頃、空一面を朝日のような柔らかい光で覆っていた天界と空間のつながりがなくなり、元の高級住宅の天井に戻りました。
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