覚悟している翔平、アクマが魂を取りにくる
「本当にね、君のおかげだよアンナ、本当にありがとう。今日はボクの魂を受け取りにきたんだろ?」
「はい、よろしいでしょうか?」
「うん、そういう契約だからね。覚悟は出来ているよ」
「素晴らしい! 魂を取られたくなくて抵抗する人も多くいるのに、大谷翔平は真の人格者ですね」
「そんなことはない、褒めすぎだよ」
「いやいや大したものですよ。アクマと契約して社会的成功を収めると、傲慢で思い上がる人も多くいます。中には最高権力者に登りつめて、戦争をしでかす者もいるぐらいです。それなのにあなたときたら、謙虚で優しく、困っている人がいれば手を差し伸べてあげる。多くの人に夢と希望を与えているのです。立派なものですよ。──それでは」
アンナの両手には、死神の武器とされる2メートルほどの大鎌が、いつの間にか握られていました。
「この大鎌で翔平さんの首を刎ねます。霊的な儀式なので、肉体的には首が切り落ちることも血が流れることもありません。ただこの大鎌の刃が首を通過した時に、心臓発作が起きて翔平さんは亡くなります。死んだ翔平さんの体から、ゴルフボールぐらいの球体が浮かび上がってきますが、今までの寿命を意味する銀色ではなく、魂を意味する青白い炎の球体が浮かび上がってきます。それを私がいただきます」
そう言ってアンナが大鎌を振り上げると、天井から、
「ちょっと待った─!!」
と、制止しようとする子供たちの大声が聞こえてきました。
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