失意の翔平、スーパースターの人生をアクマに提案される
「本当に魂を売ってくださるなら、そんな慎ましい願いではなく、誰もが羨む最高の人生を送るプランを提案します」
「最高の人生?」
「はい、今味わっている最低の人生とはこういうものでしょう。努力が報われない人生。何も悪い事をしていないのに苦しみ続ける人生。病気で貧乏でバカにされる人生。と、あなたご自身はお考えになっている」
「そ、その通りだ。オレの家族は可哀想な被害者なんだ。オレの考えていることがよく分かるな」
「はい、私アクマなので。その最低の人生の真逆の人生、最高の人生を体験できるプランです。努力が報われる人生。何も良いことをしていないのに楽しみ続ける人生。健康で金持ちで尊敬される人生です」
「……その代わり魂を売ることで、オレは2度と生まれ直せないというデメリットがあるわけだ」
「その通りです。やっぱり何度も生まれ直したいですか?」
「いや、もう生まれ直したくない。確実に最高の人生を歩めるなら、そのプランでいいよ」
と、生命保険の契約のように翔平は言いました。
「じゃあ翔平さんも同意したということで、契約は成立したと考えてよろしいでしょうか?」
「ああ、かまわないよ。今オレは酔っぱらっている。目の前のアクマの女の子が、酔っぱらいが見た夢でもかまわない。こんなミジメな人生から逃げれるなら、アクマに魂だって売ってやるさ」
「ありがとうございます。サービスとして誰もが羨むスーパースターの人生を、オプションとして付けさせていただきます」
とアンナも保険の外交員のように答えるのでした。
お読みいただき、ありがとうございました。
ブックマーク、ポイントを入れていただけると幸いです。
よろしくお願いします。




