泣く翔平、ご先祖様を呪う
「はは……」
と思わず笑った後、両目から涙がこぼれ落ちました。
「大谷家は本当に呪われている。なんというミジメな人生だ」
止まらない涙を、ティッシュペーパーで拭います。
「努力が報われない人生。何も悪いことをしていないのに苦しみ続ける人生。病気で貧乏でバカにされる人生」
そう呟くと、今までの人生を振り返り、怒りがこみ上げてきました。
「オレは神様を呪う。仏様を呪う。ご先祖様を呪う。特にご先祖様を呪う。お前らから受け継いでいる重い病気のせいで、オレたち家族がどれだけ苦しめられたか分かるのか? ふざけんじゃねえぞ!」
父も兄も姉も、そのせいで亡くなりました。翔平もいつ発症するか怯えていますし、これまで付き合った彼女にも、遺伝性の病気のことが知られると、短い期間でふられてきました。病気になった家族を懸命に支えていた母親は心が壊れ、そのせいでしでかした迷惑行為が原因で、世間の笑い者になり、そのまま亡くなりました。そして翔平も同じことをしでかし、SNS上で今まさに笑い者になっているのです。ボックスティッシュ1箱分を空にするほど涙を拭うと、ティッシュペーパーが溜まったゴミ箱を見つめました。
「こんな人生なんてどうなったっていい。人並みの人生をやり直せるんなら、オレはアクマにでも喜んで魂を売ってやる!」
「本当ですか?」
自分しかいないはずの自宅で、突然声をかけられました。
「ヒッ」
心臓が止まるかと思うほど驚いた翔平は、のけ反りながら前方に目をやります。
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