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市民に救われた市長を見た翔平、日本の革命を予感する

ところが、市民にとって優しいまちづくりをしてきた市長のために、幼子おさなごを育てる3人の母親が立ち上がるという事態が起こったのです。有力者でもない若い母親たちが、市長選挙への立候補を要請するために、駅前で署名活動をおこない、約5000筆の署名を集めたのでした。このことにより出直し市長選挙へ出馬することになった市長は、対立候補に圧勝し、市政への継続を託されました。子供を大切にする施策をしている市長は、子育てにかかる費用の一部を、市が支援することを実行してきました。その財源は「鉄のトライアングル」に行くはずの税金でした。子育て世代が転入してくるので市の人口が増加し、住宅が売れ始め、さびれていた商店街が活気を取り戻したのです。こうした功績を市民は体感しているので、市長は選挙に勝ったのでした。


そんな市長でも、「最悪の教育制度」には手を出せなかったことは、悔しかったのでした。問題教師がいても、県教育委員会が権限を握っているので、不祥事を身内でもみ消して終わっていくのです。文科省も知事会を怒らせたくないから何もしようとしない。そのせいで子供たちとその親が傷ついていくのです。


でも翔平は思うのです。「鉄のトライアングル」や「最悪の教育制度」も、上級国民が上級国民のための政治行政をした結果なのだから、それらに選挙で勝った市長のやりかたが、県や国レベルでも広まって行われたら、選挙という一滴の血も流さない戦い方で、日本は革命を起こせるのだ。そうすれば、おのずと力の源泉を失った「鉄のトライアングル」や「最悪の教育制度」も消滅するだろうと。この改革派の市長が、職員、議会、業界団体、マスコミを敵にしながら四面楚歌しめんそかの中で、市民だけを味方に信じた道を突き進む姿に、29才になっていた翔平はひそかに尊敬していました。選挙があれば、その市長の名前を投票用紙に記入していたほどです。おだやかな性格の自分には、市長のような生き方はとても真似できないと思いながら。


そしてある日、アクマとの契約通り、心臓発作で亡くなりました。


《参考文献「暴言市長奮戦記 明石市長泉房穂のすべて」(山岡淳一郎)、「政治はケンカだ! 明石市長の12年」(泉房穂・鮫島浩)》

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