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平和主義の翔平、ケンカを売る市長に驚く
公共工事を糧とする業界が、献金や投票で政治家を支え、政治家は業界に都合の良い予算案、法案を推し進め、官である職員は許認可権限や補助金の振り分けで、業界や政治家に報いる。「政官業」が結びついた「鉄のトライアングル」と言われる癒着構造は、みんなが払った税金を、一部の業界が私腹を肥やすためのシステムです。この構造からは、「コストカット」や「無駄な事業の廃止」という発想は生まれません。
このシステムに対して、この市長は真正面からケンカを売ってきたのでした。いつ殺されてもおかしくないことを、この市長はしているんだと翔平は思いました。政官業の調和を旨として職務をこなしてきた職員たちは、組織防衛として市長との打ち合わせや会議のやりとりを、密かに録音するようになったのです。そのような経緯で市役所に勤めはじめた翔平も、先輩に録音することを命じられたのでした。そんな市長を引きずり落したい職員たちの努力が報われる日がくるのです。
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