それなりの大学を出た翔平、市役所職員になる
地元の市役所に翔平は勤めていますが、当初、仕事を教えてくれる先輩にある事を言われました。それは「市長と会話する機会がある時は、スマホを使って録音し、その内容を報告する事」というものでした。20代の翔平が、市役所で一番偉い市長と会話するのは挨拶ぐらいだったので、これまで一度も録音したことはありませんが、奇妙なことを言っているなと思いました。
その理由は、上司や同僚との雑談や飲み会ですぐに判明しました。市長は、市役所の多くの職員に嫌われていたからでした。恨まれている、と言った方が的確かもしれません。市役所というところは「国の言うことは、絶対に従わなければならないというお上至上主義」と、「他の自治体とまったく同じように動かなければならないという横並び主義」と、「今までしてきた事さえしていれば責任を取らされずに済むという前例主義」という3つの教えを信じている宗教団体のようなところで、職員はそれを正しいと信じ込んでいる信者なのでした。平穏な人生を望んでいる翔平も仕事先に溶けこむため、その信者になろうとしているのでした。ところが市長は、その教えに背くことをする異教徒なのです。
《参考文献「政治はケンカだ! 明石市長の12年」(泉房穂・鮫島浩)》
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