加害者生徒を見つけた翔平、復讐を決意する
テレビを見ていて、翔平がとても不愉快になることがあります。実力のない芸能人が、元・不良であることを売りものにして、学生時代の武勇伝を面白おかしく語っているときでした。ヤンチャという言葉でごまかしているだけで、学生時代にやっていたことは、器物破損、傷害、暴行、脅迫という犯罪行為だからです。犯罪行為を美化するんじゃねえよ、と腹立たしく思うのでした。
ある日、それをはるかに凌ぐ、怒りが込みあげてくるものを見たのです。地元の情報を知らせる番組の中に、中2の翔平をいじめていた不良生徒が出演していたのでした。地元のお祭りで、青年部のリーダーとしてアナウンサーの質問に答えていたのでした。奥さんや小学生のお子さんも隣に映っていて、とても幸せそうです。あれから15年経って互いに29才になり、中年にさしかかった外見になっていますが、テロップで紹介している氏名からも、間違いなくあの男でした。
「……ふざけるんじゃねえよ」
叫び出したいほどの怒りを抑えて、翔平はつぶやきました。
「なにのうのうと幸せになってんだよ。絶対に許さねえ」
パソコンで検索して地元の青年部のリーダーを調べると、大体の住所が分かり、あとは住宅地図を念入りに調べて自宅を特定しました。住宅街によくある一戸建てです。
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