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両手いっぱいに百合の花束  作者: 兼定 吉行
第三章 中間テスト
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第29話 中間テスト

 中間テスト初日。


 科目の内一つは化学で、今こそ勉強の成果を発揮すべきだ。


 時間になり、配られた回答用紙を表にする。


 そしてまずはざっと、どんな問題が並んでいるのかをチェックした。


 あっ、これ雪野ん家でやったところだ!! 


 黒戸に教わったやり方も通用する! 


 いける……いけるぞ! 


 一朗は密かに確信を深める。


 こうして今までに無いくらいの手応えを感じがら、三日間に及んだ中間テストは全ての行程を終了した。


 その結果は――。


「ありがとな! お前のお陰で中の下から、中の中くらいになれたぜ!」


 昼休みに今回の結果を黒戸に報告すると、なぜか彼女は唖然とする。


 思っていたのと違う反応に、一朗は戸惑った。


「な、なんだよ、なんとか言えよ」


「そこで満足できることが信じられないよ。どうやらボクは力になれなかったようだ……すまない」


 本気に責任を感じていそうなので、すぐに否定してやる。


「いや助かったってマジで!? それに俺はこれでいいんだよ!」


「低い志だねぇ……」


「うっせ! 赤点さえ回避して、平均点が取れたんだから中卒の俺にしちゃあ上出来だぜ!」


「いや、中卒なのはみんな一緒だから……」


 ツッコむのにも飽きたのか、黒戸があからさまに話題を変えた。


「ああ、ところで一朗」


「ん? なんだ?」


「今日の放課後、ささやかだけどテストお疲れ様会なんてどうかな?」


「ああ……そういうのは苦手なんだよなぁ」


「それなら栞から聞いて知ってるよ。テスト最終日の放課後にカラオケ屋で催された、クラスの集まりにも顔を出さなかったんだってね?」


「あんなもんは陽キャが楽しんでるだけで、俺みたいなのにとっては苦痛な時間が続くだけだからな。行く訳ないだろ」


「まあボクも気持ちはわかるよ。大勢人が集まるところは苦手なんだ。だから今日の会は、一朗を含めてたったの三人だけだよ。ボクと後、もう一人はわかるよね?」


 ……なるほど。


「そういうことなら」と、一朗も了承した。


 黒戸がニコリと微笑む。


「じゃあ決まりだ。放課後うっかり家に帰らないでくれよ?」


「おう!」


 ――お疲れ様会の場所は雪野宅。


 放課後になると一朗達は、道中お菓子やら飲み物やらを買い、それらを持ち寄った。


 そしてパーティが始まる。


「カンパーイ!」

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