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両手いっぱいに百合の花束  作者: 兼定 吉行
第三章 中間テスト
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第28話 クラーク船団編

 昨日に引き続き余計なことに時間を割いてしまったが、ようやく本題に入る。


「ということで、今日からは私達が二人体制で勉強を教えるよっ!」


「ボクらに任せてくれたまえ」


「マジで助かる。心強いぜ!」


「それでだけど、一朗の苦手科目はなんだい?」


「あ―……日本史とか歴史系が苦手だわー……。公式さえ押さえとけば、意外となんとかなる数学はまだマシなんだけど……」


「歴史なんてものは丸暗記すればいいだけなんだ、簡単だろう?」


「お前とは頭の出来が違うんだよこっちは!」


「キレながら自分を卑下しなくても……」


「北条ドキ胸と北条ハト胸がごっちゃになるんだよなぁ」


 これに雪野がつっこんだ。


「どっちも居ないよ!? そもそも範囲じゃないしっ!? 日本史は中間テストの科目にすら無いしっ!? 英、国、数、理、社の五教科だよっ!」


「ふむ」と、黒戸。


「覚えることが多いのは化学と社会だね。その辺りから始めようか」


「苦手だなぁ」


「だからやるんだろう?」


 こうして、二人から教わる必要があるのかどうかわからない、暗記を中心に勉強は開始された。


 だが、そこは優等生。


 暗記のコツを教えるのもうまく、何より一朗がサボらないよう監視の目を光らせていたことが攻を奏する。




 ◇




「水兵リーべ、召喚先の異世界でガレオン船を駆る! ―七曲のクラーク船団編―」


「ああ……うん、もう一朗はそれでいいよ」


 記憶の仕方は変だと一朗も自覚していたが、周期表にストーリーを持たせるという黒戸のアドバイスのお陰で、一応中身はしっかりと覚えることができた。


 それ以外にも――。


「さっき私が教えたみたいに、重要な部分を絞れば覚えることも少なくて済むんだよっ!」


「その重要なところがどこかわからなかったから、マジで助かったよ。今まではページ丸暗記とか無謀なことやってたからなぁ」


「それはお世辞にもいい勉強の仕方とは言えないね……」


 雪野の発言に黒戸も頷く。


「ああ、非効率の極みだ。逆に尊敬するよ」


「仕方ないだろ? お前らと違ってこっちは出来が悪いんだからな。感謝してるよ……」


 更に一朗は、気に掛かっていたことも訊ねた。


「でも本当によかったのか? 俺に付きっきりで、二人とも全然自分の勉強できてないだろ?」


「そんなことないよっ! 人に教えることも、理解が深まって勉強になるんだからっ!」


「ああ、そういうことさ」


「お前ら……」


 じーんと、感動した一朗だったが――。


 無慈悲にも黒戸が告げる。


「特に不出来な一朗に教えるとなると、こっちも知恵を絞らないといけないからね。むしろ普段よりいい勉強になったといえるよ」


「チクショーッ!? バカだと思ってバカにしやがって! バカをバカだと言うヤツはバカはバカでもバカなのはバーカだ!」


「うん、長い自己紹介をありがとう。じゃあ今日はこんなところでお開きにしようか。もういい時間だしね」


「そうだねっ! 私もお腹減ってきちゃった!」


「二人ともありがとうな」


「どういたしましてっ!」


 お開きムードになり、一朗も帰り支度を始めた時、黒戸がこんな提案をした。


「明日はどの科目に重点を置くか、今の内に決めておこうか」


「そうだな……明日はお前らで保健体育の実演をしてくれてもいいんだぞ。……子作りのな」


 雪野が頬を赤らめながらつっこむ。


「保体は範囲じゃないよっ!?」


 そこへ更に黒戸がツッコんだ。


「そのツッコミはおかしいね。範囲なら披露するみたいだ」


「しないよっ!? 変態じゃんっ!? 言い方を間違えちゃっただけなのっ!!」


 黒戸が失笑する。


「本当に栞は……からかうと可愛いし、楽しいね」


 一朗も同意した。


「セクハラのしがいがあるよな!」


 これにはさすがの雪野も怒りを露にする。


「二人とも最ッ低だからねっ!?」


 ――結局明日は順当に社会をやることになった。

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