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両手いっぱいに百合の花束  作者: 兼定 吉行
第三章 中間テスト
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第25話 同士再び

「……にしてもさ、あいつは自分の好きなものに真っ直ぐ打ち込んでたり、格好いいよなぁ。テスト期間でもお構い無しとか……」


「うん……そういう人って素敵だよね……」


「嫌味の無いイケメンだよな。ってかあいつ自身は、キザなことやってるって自覚も無いだろ。天然の垂らしだよな」


「すっごいわかるっ!!」と、雪野が激しく同意する。


「しかもねっ、それだけじゃないよっ? 可愛いところもあるんだからっ!」


「もちろんわかってるよ。完璧人間に見えてそうじゃない、隙のあるところがチャーミングなんだよなぁ……」


 雪野は目をキラキラさせ、テンションを上げて喜んだ。


「そうなのーっ!! わかってくれるの嬉しーっ!!」


「あいつ、自分が女として魅力的だってことほぼ失念してるからな。男友達の距離感で接してくるし。そういうとこは意外と抜けてるんだよな」


「斎木君の目に入りそうだった睫毛取る時とか、ちゅーしちゃいそうなくらい顔近づけててキュンとくるシーンだったけど、ヤキモチ妬いちゃったよっ!」


「あ、やっぱりあの時見てたのか……」


「えっ、気付いてたっ!? もし無意識に睨んでたらごめんっ!?」


「いや、睨んではいなかったけど、アホ面だったかな?」


 そうからかうと雪野は顔を赤くしながら、テーブル越しにこちらをポカポカ叩くような仕草を見せた。


「もぉぉぉっ!?」


「あははっ!」


 ――っとにかわいいな、雪野は……。


「のろけてきたお返しだ」


「えっ、私のろけてたっけ?」


「自覚症状無しかよ!? これは重症ですねぇ」


 雪野はしみじみとした様子で、自身に語り掛けるように呟く。


「……そっか、だからこんなに楽しいんだ……」


「えっ」


「こんなこと話せるの、斎木君くらいだよ……」


「……」


 ……まあ、道ならぬ恋だもんな。


 人よりつらい部分も多いだろう。


 学年の人気者で、周囲には常に人が居ながら、その実、本心を打ち明けられない。


 そんな状況はストレス以外の何物でもないはずだ。


 黒戸だけじゃなく雪野だって、そういう孤独を抱えていたんだよな……。


「……まあ、たまにならお前らバカップルののろけ話を聞いてやってもいいけどな」


 これを聞いた雪野が、なぜか噴き出した。


「ぷぷっ!」


「いやなぜそこで笑う?」


「ぷくくっ……だって、今の斎木君の台詞……ツンデレのヒロインみたいだったから……」


「あ……」


 確かにツンデレ構文だわ……。


 そう気付かされた一朗は、それを逆手に取って笑わせに掛かる。


「……べ、別に雪野のためとかじゃないからねっ!?」


「あっはっはっはっはっ!?」


「たまたま食材が余っただけなんだからっ!」


「おっ、お弁当のよくあるやつっ!? あははははっ!」


「つ、付き合うって、買い物のことだからっ! デートとか思わないでよねっ!?」


「ぶふっ!? やめてっ!? もうやめっ!? 死んじゃうっ! 息できなくて死んじゃうからっ! あははははっ!?」


 雪野は涙を滲ませながら、文字通り、腹を抱えて転げ回っていた。


 パンツ丸見せで――。


「――!?」


 黒戸だけじゃなくて、雪野も隙だらけじゃないか……。


 自分の部屋だから油断してるのか……? 


 これは役得ッ!! 


 ふとももおぱんちゅ天国! 


 一朗は瞼の裏にいつでもこの光景を再生できるよう、しっかりと網膜にrecする。


 ――結局、この日は勉強が一切手につかず、二人は雑談に終始してしまうのだった。

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