第3話 「護神」
「ガウム、頼みがある。私たちのこと、守ってくれない?」
突然の願いに、ガウムは驚きを隠せなかった。
言葉の意味は、分かる。
しかし、右も左もわからないガウムなんかに頼むことだろうか。
「――賛成!!ガウム、斬撃魔法を使える人はね、とっても貴重なの!ガウムくらいの強さがあれば『護神』になれると思うの!」
「私たち姉妹の傍にいてくれればいいだけ。何かあったら、戦ってもらうけど、ガウムなら大丈夫よ!」
――「護神」。
ドールとテールのことを守ればいいとのことだ。
そんなこと、私にできるのか。
斬撃魔法も、さっきの的を斬ったときにしか使ったことがない。そんな私に、守護者を任せていいのか。
「わかりました。でも、私にできるか…」
「――絶対、大丈夫だから」
ドールの言葉は、自信に満ち溢れたものだった。
ドールとテールとは、ついさっき出会った。
なのに、なぜここまで自信があるのだろうか。
どちらにせよ、ガウムには護神になるという選択肢しかない。
無知なガウムこの街で、一人でいるのも危険だろう。
「おふたりのこと、必ずお守り致します」
期待に応えるためにも、頑張らなければ。
「――あっ」
ガウムのお腹が鳴った。
そういえば、ここに来てから何も食べていない。
「よーし!ご飯にしよう!」
こうして三人は、食事に向かった。
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「ホワイルティ」は内部まで真っ白だ。
広く長い廊下、たくさんの部屋。
ガウムは思わず見惚れながらドールやテールの後を歩く。
そうして、しばらく歩いた先に、大きな部屋があった。
扉を開くと、円い机が置いてあり、奥にはキッチンのようなスペースもある。恐らく、ここで食事を行うのだろう。
「ここでいつも食事をしているわ。テール、お願い」
「任せなさーい!」
テールは胸を張ってそう言い、キッチンへ向かった。
「テールはね、料理が得意なの」
「テールさんのご飯…!」
ドールが太鼓判を押すほどだ。よっぽど美味しいのだろう。
しばらくすると、ふんわりと美味しそうな香りが漂う。
匂いのほうへ目を向けると、料理を持ったテールが居た。
「おまたせー!時間なかったから簡単なものにしちゃった!ごめんね!」
テールはそう言って謝ったが、とても美味しそうだった。ドールの言葉通りだ。
「早く食べましょ!」
「それじゃあ――」
「「「いただきまーす!」」」